2022年04月11日

リウマチ医療に関する産官学連携の国際展開推進事業

2021年の活動

グローバルヘルス 社会貢献 医療

Webセミナーの様子

「インドネシア共和国におけるリウマチ医療に関する医療技術等国際展開推進事業」* は、慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科が推進し、国立国際医療研究センターによって採択されたプロジェクトです。当社は本プロジェクトを支援し、産官学連携の一役を担うことで、インドネシアにおける持続可能なリウマチ医療の実現と質の向上に貢献することを目指しています。
2020年度の活動レポートはこちらをご覧ください

COVID-19感染拡大に伴い、遠隔診療は大きく発展しました。また、5GやVR技術、センシング技術の進歩により、診療にデジタル技術を応用する取り組みが全世界で広がっています。こうした状況を背景に、2021年度は「デジタルヘルス」をテーマに、先進的なリウマチ診療を学ぶことをゴールとしたWEBセミナー「The Future of Digital Health Symposium in Japan and Indonesia」をインドネシアの医療関係者を対象に実施しました。

当日は50名を超える先生方に参加頂き、世界のデジタルヘルスの潮流、またインドネシア、日本両国の取り組み事例を紹介しました。共に島国であり、オンライン診療への期待やニーズが高く、またオンライン上での診療をどう充実させるかといった次なる課題へのアプローチなど、両者が価値観を共有し、お互いが学びを得るセミナーとなりました。

「The Future of Digital Health Symposium in Japan and Indonesia」
講演内容


・Global trend of Digital Technologies in Healthcare and Challenge of Chugai
(中外製薬株式会社 デジタル戦略推進部長 中西義人)

世界および日本のヘルスケア産業におけるデジタルトランスフォーメーションやデジタルセラピーの開発が進む一方で、創薬開発のコストは上昇し続け、デジタルを活用した効率化が求められています。中外製薬は「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を策定し、デジタル技術によって自らのビジネスを変革し、社会を変えるヘルスケアソリューションの提供を目指しています。「デジタル基盤の強化」、「すべてのバリューチェーンの効率化」、「デジタルを活用した革新的な新薬創出」の戦略に加え、デジタルバイオマーカー開発連携について講演しました。
「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の詳細はこちらをご覧ください。


・Experience of an Online Medical Service in Indonesia
(Alomedika Dr. Andi Marsali)

インドネシアにおいて人口当たりの医師の数が少ない、地域ごとの格差が大きいといった課題や実際の患者がたどる経過を説明した上で、オンラインメディカルサービスの取り組みを紹介いただきました。COVID-19パンデミック後の需要の拡大とデータのAI解析によるベネフィットの向上について講演いただきました。


・The reality and future of next-generation online RA telemedicine using mixed reality and artificial intelligence
(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 先進予防医学共同専攻 地域医療学分野 講師 / 長崎大学病院 リウマチ膠原病内科 川尻 真也 先生)

長崎県は離島・へき地が多く、少子高齢化が進む地域です。慢性的な医療人財の不足、都市部との医療格差(医師の偏在化)、慢性期医療・在宅医療需要の増加など、高水準なリウマチ医療を届けるにあたって、数多くの課題が存在します。加えて、COVID-19パンデミックの影響により、医療のICT化、遠隔医療の需要が急増しました。こうした社会課題解決を目的とし、世界初の複合現実(MR:Mixed Reality)技術を活用したリウマチ専門遠隔医療支援システムNURASを実現しました。最先端技術を活用したリウマチ診療の実例を講演いただきました。

慶應義塾大学 鈴木勝也先生(リウマチ・膠原病内科)によるコメント

「最初は手探りの中で始めたプロジェクトでしたが、4年間、現地の方々の熱意に支えられ、多くの皆様に協力を頂き、これまでにない成果を実現することができたと思っています。パンデミックの影響もありましたが、既に現地との関係性を築いていたため、遠隔でも精力的に推進することができました。プロジェクトを通じて、各地でのオンライン研修に加え、患者さん向け9本を含む計27本の現地の医師向けのビデオと4つの疾患ガイドラインが開発され、インドネシアリウマチ協会(IRA)のHPで一部公開されています。一方で、薬剤師及び看護師向けの資材はまだ少なく、多職種連携やチーム医療の重要性に関しては、オンライン研修のみで実感頂くのは難しいと感じています。
今回の「デジタルヘルス」をテーマとしたWEBセミナーは、技術によって今後の医療が大きく改善されることを実感できる内容でした。技術を用いてインドネシアのリウマチ医療でどのように実践に結び付けるかという点については、更に踏み込んだ議論が必要です。
パンデミック収束後には、対面の訪問研修も実施することで現地ニーズに沿った課題解決を目指し、今後もインドネシアにおけるリウマチ医療の発展に貢献していきたいと思います。」

 

*厚生労働省が国立国際医療研究センターを窓口として「医療分野における国際貢献」を目的に、医療機関や企業などの国際展開を支援する事業です。「インドネシア共和国におけるリウマチ医療に関する医療技術等国際展開推進事業」 として慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科が思案し、2018年に初めて応募して採択されました。

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