「DX×監査」。守りから価値創造へ。変革をリードする、中外製薬の次世代監査

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本インタビューに回答する社員

企業の健全な成長を支える内部監査。その役割は守りだけではない。中外製薬の監査部は、DXを駆使して未来につながる価値創出をめざしている。事業会社システム部門で培ったシステム領域の知見と、監査法人で磨いたコンサルティングの経験を持つ阿部と竹内が、挑戦を支える環境と、その先に見据える監査部の未来像を語る。

※中外製薬公式talentbook(https://www.talent-book.jp/chugai-pharm)より転載。記載内容・所属は2025年9月時点のものです

会社を未来へ導く“道しるべ”。経営層と伴走する監査部の挑戦

企業の内部監査と聞くと、決められたルール通りに業務が行われているかをチェックする仕事をイメージするかもしれない。しかし、中外製薬の監査部が担う役割は、そのイメージとは一線を画す。同社の監査部に所属する阿部と竹内は、自らの仕事を「未来へつながる提言を行うこと」だと語る。

 

阿部:私たちが担うのは、経営層が気になっているテーマや重要なプロジェクトに対して監査を行う、いわゆる「テーマ監査」です。過去の出来事を評価するだけでなく、その指摘を元に部門の業務改善や、ひいては経営の意思決定に役立ててもらう。いかに会社に貢献できるか、という視点を常に心がけています。

 

竹内:一般的な内部監査のイメージは、毎年ローテーションで各部門を回り、同じような項目をチェックする「部門監査」かもしれません。

しかし中外製薬では、その「部門監査」を原則として行わず、海外子会社などを除いては「テーマ監査」に特化しています。AIの活用状況やサイバーセキュリティ対策といった、経営層の関心が高い最新トピックに切り込んでいく。難易度は高いですが、他社ではなかなか経験できないおもしろさがあります。

 

なぜ、中外製薬は一般的な「部門監査」から大きく舵を切ったのか。そこには、監査の役割を再定義し、より本質的な価値提供をめざす明確な意思があった。

 

阿部:部門監査は、どうしてもルーティン化しがちで、経営の本質的な議論に迫れない側面がありました。もちろん、基本的なチェックは重要です。

しかしそれは、現場である「第1線」や管理部門である「第2線」に任せ、私たち監査部という「第3線」は、私たちにしかできない、より経営の根幹に関わる部分に注力しようという考え方なんです。

 

竹内:まさに今、私たちが取り組んでいるERP(統合基幹業務システム)のプロジェクト監査も、その一例です。通常、監査は完了した事象を見に行くのが一般的ですが、私たちは現在進行形のプロジェクトに入り込み、リアルタイムで監査を行っています。これも、製薬業界の勉強会などで話しても、他社ではほとんど例がない、先進的な取り組みだと思います。

 

会社全体を俯瞰できる視点と、最先端の技術に触れられる環境。それが中外製薬の監査部で働く醍醐味だ。

 

阿部:監査という立場上、会社全体の業務を広い視点で見られるのは大きな魅力です。また、当社はDXを積極的に推進しているので、IT関連のテーマも多い。最新のクラウド技術などを活用している現場を監査することで、私たち自身も常に新しい知識をキャッチアップし、スキルアップし続けることが求められます。

 

竹内:IT関連のテーマについて監査することにとどまらず、監査のやり方自体をDXで効率化していくことにも挑戦できます。たとえば、生成AIを監査業務にどう活用するか考えたり、データ分析のためにプログラミングをしたり。

当社には「CHUGAI DIGITAL ACADEMY(CDA)(※1)」という学びの機会があり、私も手を挙げてデータサイエンスを学びました。部長も「いいね、やってみなよ」と背中を押してくれます。やりたいことにトライできる、最高の環境です。

 

※1 データサイエンティストをはじめとするデジタル人財を体系的に育成する仕組み

事業の当事者へ。それぞれの道で芽生えた、変革への想い

本インタビューに回答する社員

ITベンダーや監査法人でキャリアを積んできた阿部と竹内。2人はなぜ事業会社である中外製薬を選んだのか。その背景には、前職で感じていた共通の想いがあった。

 

阿部:私はITベンダーで社内の情報システムを担当した後、監査法人で会計や内部統制に関するコンサルティング業務を行っていました。その中で、提案した施策の成果を最後まで見届け、事業の成長により深く貢献したいという想いが強くなりました。

そして前職の機械メーカーで、規定されたルールに従っているか確認する準拠性監査を中心に経験を積む中で、より経営の意思決定に踏み込むような、新しい監査のあり方に挑戦したいという想いが芽生えました。そんな時、中外製薬の募集要項に「テーマ監査中心」「経営に役立つ監査」といった言葉を見つけ、まさに自分がやりたいことだと感じましたね。

 

竹内:私は銀行のシステム部門を経験した後、監査法人でシステム監査やJ-SOX対応支援などに従事しました。阿部さんと同じように、私も自分たちが描いた構想が、事業の中でどう実現されていくのか、そのプロセスにまで深く関わりたいという想いを持つように。

中外製薬は「DX銘柄」に選定されるなど先進的なIT環境を持つ企業であり、自分の経験を活かしながらさらに成長できると確信しました。

 

入社後に2人が感じたのは、協力的でオープンな社風だった。

 

阿部:入社して最初に感じたのは、「人が良い」ということ。日々の業務で忙しい中、監査の業務は歓迎されないことも多いのですが、中外製薬の社員は皆、協力的で非常に仕事が進めやすいです。

 

竹内:私も同じことを感じていました。また、監査部は20人程度の少数精鋭の組織だからか、非常に柔軟です。やりたいと声を挙げればやらせてくれるし、きちんとロジックを説明すれば提案も通る。パートナーであるロシュ社のオープンな文化も、この柔軟な風土を後押ししていると思います。

挑戦を加速させるDX環境。あらゆる武器を手に、監査は進化の最前線へ

本インタビューに回答する社員

中外製薬の監査部が先進的な取り組みを推進できる背景には、グローバルな知見の活用と、全社的に整備されたデジタル環境がある。阿部は昨年、スイスのロシュ社へ約1カ月間赴き、現地の監査手法を学んできた。

 

阿部:ロシュ社とは常々情報交換をしていますが、やはり百聞は一見に如かずということで、現地で直接学んできました。私のテーマは、デジタルやデータをいかに監査に活用するか。ロシュ社は企業規模も大きく、データ分析の体制やシステムが非常に進んでいます。

たとえば、膨大な経費データから異常値を自動で検知する仕組みなど、参考にしたい事例が多くありました。持ち帰った知見を、いかに中外製薬流にアレンジして導入できるか、今まさに検討しているところです。

 

一方、竹内は自身の興味と部門の方向性を重ね合わせ、ボトムアップで監査業務のDXを推進している。

 

竹内:生成AIが登場したとき「これはおもしろい」と個人的に注目していたんです。ちょうど部門としてもデジタル活用を推進し始めたタイミングだったので、まさに自分の興味が仕事に活かせる絶好の機会でした。

たとえば、経費データのモニタリング。人の目ですべてをチェックするのは不可能ですが、AIを使えば効率的に不正の兆候をつかめるかもしれないと考え、AIをコーディングに活用し、モニタリング用のプログラム作成にトライしています。

 

このような挑戦ができるのは、「やりたい」と思った時にすぐ実行できる環境が整っているからだと2人は口をそろえる。

 

阿部:他社の方と話すと、「DXの必要性はわかっているが、具体的に何から手をつければいいか……」と悩んでいるケースが多いように感じます。その点、われわれは非常に恵まれています。

 

竹内:当社は 「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されていることもあり、たとえば監査部専用のクラウドサーバーを立てたいと思えば、AWSの環境がすぐに用意されたり、随時機能拡張が行われるChugai AI assistantでさまざまなAIエンジンを使えたり、Microsoft Copilotの有料ライセンスも監査部員は全員、当たり前のように持っています。他社なら、ツール利用の申請から始めなければいけないようなことが、中外製薬では「標準装備」なんです。

あとは、私たちがその環境をどう使いこなすか。DXで何ができるかを考えることだけに集中できるのは、大きな強みです。

未来を案内する「ナビゲーター」へ。ビジョンが導く、監査の新たな境地

本インタビューに回答する社員

最先端の業務環境に加え、柔軟な働き方ができることも中外製薬の大きな魅力だ。2人はワークライフバランスの充実を実感している。

 

竹内:私は幼い子どもが2人いるのですが、毎日の保育園の送迎は私の担当です。仕事を早めに切り上げて迎えに行き、子どもを寝かしつけてからまた業務に戻る、といった柔軟な働き方ができます。

先日、子どもが1カ月入院した際も、上司や同僚の理解のもと、リモートワークで対応させてもらえました。制度として存在するだけでなく、誰もが気兼ねなく利用できるカルチャーが根付いているのは、本当にありがたいですね。

 

阿部:私の子どもはもう大きいですが、学校行事などに合わせてフレキシブルに休暇を取得できます。午前は在宅、午後は出社といった働き方も自由に組めるので、プライベートと仕事の両立は非常にしやすい環境です。

 

先進的な監査に挑戦できるやりがいと、それを支える柔軟な働き方。そんな中外製薬の監査部が求める人財とは。

 

阿部:私たちが求めているのは、決まった正解がない中で、自ら考えて提案し、トライ&エラーを繰り返しながら手を動かせる人です。

 

竹内:とにかく、失敗を恐れずにチャレンジできる人に来てほしいですね。論理的な報告書の作成やインタビューなど、監査業務で求められるスキルも必要ですが、これらは実践を通じて入社後に学べます。

当社は挑戦を前向きに評価してくれる会社です。自発的に「もっとこうすれば良くなるのでは」と気づき、行動できる人にとっては、最高の環境だと思います。

 

最後に、2人は監査部の未来について熱く語った。

 

阿部:監査部には「信頼されるアドバイザー」「ナビゲーター」「チェンジエージェント」という3つのビジョンがあります。データドリブンなアプローチで、過去を評価するだけでなく未来を案内する「ナビゲーター」として、そしてDXで社内の変革を支援する「チェンジエージェント」としての役割を、さらに強化していきたい。

ロシュ社という良い手本も参考にしながら、内部監査組織のトップイノベーターをめざします。

 

竹内:私は、デジタル活用によって、監査する側だけでなく、される側の負担も軽減したいと考えています。監査は、現場にとって負担であることも事実。その負荷を減らし、お互いがWin-Winな形で、会社の健全な成長に貢献していく。そんな理想の世界を実現したいですね。

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