研究本部 モダリティ基盤研究部 化学創薬DMPKグループに所属する山川。2021年にキャリア入社後、薬物動態を中心とした中分子医薬の研究を行っている。グループリーダーとしての役割も担う山川が、自ら挑戦した軌跡と中外製薬の魅力、挑戦しやすい組織風土について語る。
※中外製薬公式talentbook(https://www.talent-book.jp/chugai-pharm)より転載。記載内容・所属は2023年7月時点のものです
業界で期待される中分子医薬の研究をしながら、グループリーダーとしても活躍
近年、中外製薬が注力する「中分子医薬」という領域。中分子とは、従来の創薬方法(モダリティ)である「低分子」と「抗体医薬」の間に位置付けられる化合物で特異性が高く、細胞内のターゲットにも結合できるといった特徴があり、低分子と抗体医薬の“いいとこ取り”のようなモダリティ。これまで狙えなかった標的にもアプローチできる経口薬の開発が可能だと期待されている。
「私が所属する化学創薬DMPKグループは、できあがった低・中分子医薬の候補を実際に生物に投与し、体内でどのような働きをするのか調べる薬物動態(Drug Metabolism and Pharmacokinetics : DMPK)を担当しています。その中で私はさまざまな役割を担っていますが、メインの業務は部門横断的なメンバーで構成される創薬プロジェクトにDMPKの代表として参加し、薬物動態の観点から良い開発候補化合物を見出すことです。
また、当社独自の中分子の技術検討チームにリーダーとして参加し、吸収メカニズム解明のためにin vivoの面から実験に取り組んでいます。中分子の研究開発は、業界内でも当社が最先端であり、社内外の期待が高まっている分野。一昨年からついに臨床試験入りしたので、今がまさに正念場でもあります」
そのほかにも、グループ内のPK試験(薬理試験前の薬物動態を確認する試験)を実施するチームのリーダーや、試験データ等の信頼性を担保する信頼性保証委員も務める山川。さらに、新入社員などのOJTも担当している。
「私自身も実は2021年にキャリア入社したばかりなのですが、中外製薬の一番の魅力は『サイエンスベースで判断してくれること』だと感じています。入社直後から自分が思いついたアイデアを周りにどんどん提案したところ、サイエンスの観点からおもしろそう、価値がありそうと判断されたものには挑戦の機会が与えられ、十分に投資してもらっています。
会社の状況や新卒か中途かに関わらずチャンスを掴めるので、『患者中心』を最優先とする価値観のもと、やりたいことが明確で新しいことに挑戦したいという人には、とても魅力的な会社だと思いますね」
サイエンスベースで判断する社風に惹かれて。転職直後の“大発見”から躍進を果たす

前職でも、創薬プロジェクトの一員としてDMPK部門の責任者を担っていた山川。10件以上のプロジェクトを同時進行する忙しい日々を過ごす中で、ある想いが湧き上がったと振り返る。
「中外製薬に興味を持ったきっかけは、数年前に某大学が主催する製薬関係のセミナーに参加したことでした。講師として登壇していた中外社員の話を聞き、『この会社はサイエンスベースの判断を大事にしている』という印象を持っていたので、転職するなら中外だろうなと」
入社後、まずはプロジェクト推進を任された山川だが、新しいモダリティのDMPKを分析する中で、その後の躍進につながる大きな発見をする。
「中分子医薬のPK試験(※)結果が蓄積されてくることで、低分子と比べて血漿中濃度の個体差が大きい特徴が見えてきたんです。その個体差が、小腸内に存在する、ある成分の個体差と似ているなと思い、その成分が中分子の消化管吸収を制御する因子なのでは?という仮説を立てました。
※ 薬物がどのように生体内で処理されるのかを明らかにするための試験
それを証明するために、会社から予算と時間をもらい研究を進めたのですが、試験開始までの過程でマネジャーに試験デザインの相談をして知恵を出し合うなど、とても助けられましたね」
半年後にようやく着手できた試験で導き出されたのは、周囲はもちろん山川自身も驚くほどの結果だった。
「仮説通り、誰が見ても明らかにその因子の影響を受けているデータが出たので、社内に『この基盤研究にもっと注力していくべきだ』という潮流が生まれました。また、その試験を通じて、これまで誰もやったことがない新しい評価モデルを構築することにも成功。自分の部署だけでなく、他部署にも大きなインパクトを与える結果を出せたと思っています。
こうした成果を上げられたのは、マネジャーの理解があったからこそ。もともと私を採用した理由には、より多くのプロジェクトを進めてほしいという期待があったのだと思いますが、私の提案を受け入れ、データが少ない中でも研究に投資してもらえたことにとても感謝しています。中外製薬がサイエンスベースで判断してくれる組織だということを、あらためて実感できた出来事でもありますね」
社内の研究に大きな影響を与える発見をした山川。これを機に中分子創薬の技術検討チームが結成され、リーダーを務めることになる。
「もともと担当していた社内プロジェクトの推進も疎かにできないので、研究の実働部隊はチームメンバーに任せることになりました。とはいえ、自分でも手を動かしたい気持ちは捨てきれず、メンバーが忙しいときなど何かしら理由をつけて参加しています(笑)。
業務量的に自分の首を絞めすぎないようにしないと、とは思いますが、転職の理由にもなった“自分が本当にやりたかったこと”なので楽しいですね」
若手、ベテラン、勤続年数の垣根なく、リスペクトし合う研究現場
入社直後から自らのアイデアを次々と形にし、「研究者としてもっと基盤研究に携わりたい」という想いを実現した山川。中外製薬の研究現場の魅力をこう語る。
「若手、ベテラン、勤続年数に関わらず、研究者同士で良い関係性を築けているなと感じます。たとえば、キャリアを重ねた研究員が異動してしまうとき、会社によっては若手へのナレッジ共有がうまくいかず、技術の空洞化が起こってしまうことがあります。
せっかく蓄積してきたものが一度リセットされ、数年後にまたイチからやり直すという状態になってしまうんです。その点当社は、若手とベテランがお互いにリスペクトし、教え合いながら仕事に取り組める環境が魅力だと思いますね。
また、研究所には試験で使用する化合物や、購入した資材・試薬が自動で輸送されるシステムなど最先端の設備が整っています。全社的に本気でDXを推進しようという機運も高まっていて、今後創薬のプロセスが効率化し、さらに働きやすくなるだろうと感じています」
また、前述の新たな評価モデルを構築する上で、「マネジャーの理解やサポートが心強かった」と言う山川にとって、上司とのコミュニケーション機会が多い環境が嬉しいと続ける。
「当社では、全社員が年度初めに目標を立てるのですが、年度末の評価に向け、四半期に1回、上司と面談をして進捗状況を確認する『クォータリーレビュー』という機会があります。現状を共有して困っていることを相談したり、次の四半期に取り組むことについてアドバイスをもらったり。3カ月に1回しっかり話すことで相互理解が深まりますし、方向性にずれがあった場合も軌道修正しやすいのでありがたいですね。
これに加え、上司との日常的な1on1も行っています。自分が今の仕事にどのくらいやりがいを感じているか、負荷を感じているかを定期的に診断し見える化するツールが導入されているので、その結果をもとに話したり。今後のキャリアについて話すこともあります」
転職して約2年──山川は複数のプロジェクト推進、新たなモダリティの研究、後輩育成など多忙な毎日を過ごしながらも、気持ちは前向きだと話す。
「抱えている業務量は多いものの、他部署との折衝など社内調整的な仕事だけではなく、研究者としての本業に打ち込めているので、充実感がありますね。自分の科学的な興味を尊重してもらえ、そこを突き詰めていける環境には本当に感謝しています」
地道な努力が評価され、誰もがやりたいことに挑戦できる。そんな風土をこれからも

「次世代の医薬品」として注目が高まる中分子医薬。業界を一歩リードする中外製薬の中で、最先端の創薬に携わるやりがいを山川は次のように語る。
「生物製剤である抗体医薬は、効きがいいけど細胞の中には入っていけない。低分子薬は細胞内に入り込めてもタフターゲットを狙えない──こうした既存薬の弱点をクリアできると期待されているのが中分子医薬です。そうした最先端の注目分野の研究に身を置けるのは、研究者としてとても喜ばしいこと。新しい薬を必要としている患者さんにいち早く届けるため、研究を進めて行きたいと思っています」
そんな山川は、自身の経験も踏まえ、次のようなメッセージを語る。
「私自身も経験したことですが、研究者にとって自分のやりたい研究ができず、指示された実験作業だけを繰り返すのはとても苦しいことかもしれません。でも、今振り返ればそうした反復作業によって実験スキルが身についたと思いますし、信念を曲げずに取り組んでいれば、必ず次につながると思っています。
中外製薬への入社が決まったときに、自分の何が評価されて採用に至ったのか、マネジャーに聞いたことがありました。すると『泥臭い実験や試験をたくさん経験してきたこと』という答えが返ってきたんです。迷いながらもやってきたことを評価してもらったことが嬉しかったですし、華々しい実績だけでなく、泥臭い努力も見てくれる会社なんだなと、この会社に貢献したい気持ちが高まりました。中外製薬は、“人”をとても大切にし、挑戦を後押ししてくれる会社です」
地道な努力も評価され、誰もがやりたいこと・新しいことに挑戦しやすい──中外製薬のそんな風土をこれからも守り続けるために、山川はリーダーとしての決意を語る。
「自分が上司にしてもらったように、私もメンバーが何か提案してくれたら、決して止めることなく『まずやってみよう』というスタンスで支えたいと思っています。情熱を持って考えたことや行動に対して外から否定するべきではないし、メンバーの挑戦を後押しするのがリーダーの役目。そうした環境を作ることで、個人もチームも成長できると考えています」
研究者としての信念を持って転職を果たし、会社や医薬品業界にとって意義のある成果を上げた山川。中外製薬の挑戦する文化を守り、新しい薬をいち早く患者さんの元に届けるべくこれからも奮闘を続ける。