デジタルの力で開発プロセスに革新を。流体シミュレーション技術×製薬に挑む

  • DX
  • 採用
  • 研究
本インタビューに回答する社員

製薬技術本部の分析研究部でデジタルサイエンスを担う山本。流体シミュレーション技術を用いた製薬プロセスの研究開発のほか、先端技術導入に向けた調査・開発・評価活動にも携わっている。異業界を知る山本が考える、製薬企業、中外製薬だからこその醍醐味とは。デジタル技術を活用した開発プロセス革新の可能性に迫る。

※中外製薬公式talentbook(https://www.talent-book.jp/chugai-pharm)より転載。記載内容・所属は2023年9月時点のものです

良い薬をより早く患者さんのもとへ。流体シミュレーションで製薬プロセス開発を改善

「私が所属するグループは、デジタル技術を使って、薬の製造プロセスや試験法などの開発を支援する部署。中でも私は、流体シミュレーション・機械工学、化学工学を用いた製薬プロセスの研究開発、トラブルシューティングを行っています。


薬を多くの患者さんに届けるためには、実験室から製造実機へとスケールアップしていくプロセスが欠かせませんが、タンク内に設置された羽根(インペラー)の形状や枚数、回転数といった攪拌条件次第で化学反応の速度が大きく左右されます。


ところが、タンク内で流体がどう攪拌されているかを実際に確認するのは困難です。そこで、流体シミュレーション技術を使ってタンク内の流動・混合状態や反応の進み具合を可視化・解析することで、製薬プロセスの改善や効率化に役立てています」


ときには限られた時間の中で精度の高い解析結果が求められることも。研究者としての経験と技術が問われると山本は言う。


「流体シミュレーションを行うには長い時間が必要です。期待される結果をすばやく導き出すためには、実験式など蓄積されたデータをもとに条件を的確に絞り込んでいかなくてはなりません。スケールアップ時に想定外の結果になり、その原因として攪拌不良が疑われるようなトラブルが発生したときなどは、とくに細心の注意を払います」


一方、製薬プロセスの開発・改善と並行して、山本は先端技術の導入や開発にも力を入れてきた。


「機械学習を取り入れてシミュレーションを効率化する手法など、新しい技術が次々に誕生しています。旧来のやり方に固執していれば時代に取り残されるだけ。最新情報をキャッチアップして評価・検証し、知識や技術を常にアップデートするよう心がけてきました。また、自分でプログラミングしてシミュレーションソフトを開発し、論文や学会で成果を発表することにも積極的に取り組んでいます」


専門知識や高い技術を活かして開発にかかる時間やコスト削減に貢献してきた山本。中外製薬で製薬プロセスの研究開発に携わる醍醐味についてこう語る。


「中外製薬には数多くの新薬候補があり、さまざまなプロジェクトが進められています。また、それにともなって新しい工場や施設が新設されていて、 シミュレーションの依頼が引きも切らず寄せられている状況です。活躍機会が多く、病気に苦しむ患者さんの役に立てている手ごたえを感じています」

異業種への挑戦。シミュレーション技術を強みに、新たなフィールドへ

本インタビューに回答する社員

 大学院で原子核工学を専攻し、シミュレーションを用いた磁場閉じ込め方式による核融合プラズマの研究に携わった山本。シミュレーション技術が活かせる環境を求めて選んだのは、大手鉄鋼メーカーだった。


「シミュレーションに仕事の軸を定めたのは、解析結果として生成される流麗なビジュアルに魅せられたからです。プラズマと共通点を持つ流体に対する興味もあり、熱流体解析を用いた鉄鋼製造プロセスの研究開発の道に進みました。


担当したのは、炉内における溶融状態の鉄の流れや反応をシミュレーションし、解析結果をもとに提案する仕事。新しい装置を導入したりトラブルを解決したりするときだけでなく、自動車に使われる鋼板に溶融した亜鉛を付着させてめっき処理する工程に関わったこともありました」


シミュレーション技術が求められる場面が多く、たくさんの専門家が活躍する鉄鋼業界。やりがいを感じながらも新たなフェーズで自身の成長を模索していたところ、出会ったのが中外製薬だった。


「10年以上鉄鋼に関わってきた身として、製薬会社で流体シミュレーション技術が役に立つとは想像もしていませんでしたが、それまで培ってきた知識や経験が活かせる点、専門の技術者・研究者の数がまだそこまで多くなく、新たな挑戦に開かれている点に強く惹かれました。


決め手となったのは社風です。選考中、一貫して穏やかで心地よい雰囲気があり、フラットな組織文化が浸透していると感じて入社を決めました」


入社後、まったくの異業種ゆえに苦労も多かったと話す山本。上司に支えられながらハードルを一つひとつ乗り越えてきた。


「製薬に関する知識がなく、専門用語が理解できないことが最初の壁でした。そんな中、一貫して後ろ盾となってくれたのが上司。取り組みやすい仕事をアサインしてもらったり、疑問を解消するための場を定期的に設けてもらったり。いまも隔週で1on1を実施しています」


一方、それ以上に多いのが、これまでの経験が役に立っていると感じる場面。やりがいを感じながら仕事に取り組めていると山本は言う。


「担当者にヒアリングしてプロジェクトの全体像を把握し、課題を掘り下げた上で最適な解決策を提案するのは前職でもやっていたことです。製鉄と製薬でつくっているものはまるで違いますが、仕事をする上でのスタンスは同じ。前職の経験がそのまま活かせています。


また、熱流体解析の専門家は社内で自分だけなので、そのシミュレーションを一手に担っています。責任が大きいぶん、やりがいも感じています」 

トラブルシュートや新技術導入で手ごたえ。背景にあるのは、中外製薬の自由な企業風土

入社後、とくに印象に残っていることについて山本はこう話す。


「医薬品をつくる過程で問題が生じたため、シミュレーション技術を活用して調査に当たったところ、無事に問題解決につながったケースがありました。こうした課題解決にシミュレーション技術が使われたのは今回が初めてだったこともあり、部内で注目を集めるきっかけになりました」


一方、新技術の導入ではこんな成果も。


「高速計算ができるソフトウェアが欧米の製薬企業で積極的に導入されている情報をキャッチし、社内導入を提案。海外の代理店とのやりとりやソフトウェアの開発者とも打ち合わせを重ねて検証・評価し、導入までを主導しました」


思いのままに振る舞えているのは、中外製薬だからこそ。同社の自由な企業風土を存分に享受できていると山本は言う。


「ソフトウェアの導入について上司に相談をしたところ、その場で許可が下りました。ほかにも自作したソフトウェアを仕事で使わせてもらえるなど、大きな裁量権を与えられて仕事の幅が広がっています。


コミュニケーションコストが低いのも中外製薬の魅力です。上司はもちろん、グループ外の担当者ともチャットツールを通じてスムーズなやりとりができるため仕事の回転が速く、生産性が高いと感じています。


また、中外製薬ではDX推進に注力していて、それが現場に着実に浸透しています。シミュレーションについて話していると相手の反応が良く意欲が伝わってきますし、何より私への問い合わせが多いのはそのため。とても仕事がしやすい環境があります」

デジタルの力で切り拓く製薬の未来。中外製薬だから紡ぎ出せるイノベーションを

本インタビューに回答する社員

 入社前、業界をまたいでキャリアを築くことに不安があったと振り返る山本。流体シミュレーション技術に携わる中で葛藤を感じている技術者・研究者たちにこう呼びかける。


「社会貢献を実感できているのは、新薬候補が多い中外製薬ならでは。大きな裁量権を持って流体シミュレーションに取り組める環境があり、仕事にやりがいを求めている方にとてもふさわしい職場だと思います。


熱流体解析技術は汎用性が高いのが特徴です。知識と経験、そして相手目線でコミュニケーションし課題を掘り下げ、相手が本当に望んでいることを洞察する力と意欲さえあれば、異業種の方でもこれまでの経験を活かして十分に活躍できるでしょう。


製薬の知識は後から身につければいいこと。異業界への転職には勇気が必要ですが、ぜひ挑戦してみてください」


CHUGAI DIGITAL VISION 2030を掲げ、デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターをめざし、DXを本気で推進している中外製薬。そんな組織と想いをひとつにして、山本はこれからも流体シミュレーション技術を活用した製薬プロセスの開発・改善に関わっていくつもりだ。


「デジタルの力で製薬プロセスの時間やコストを短縮することで効率化と革新を実現しようとする当社のビジョンにとても共感しています。流体シミュレーションなどのデジタル技術は、いまよりももっと広い範囲に適用できるはず。当社がこれまで培ってきたサイエンスや技術の力にデジタルの力を掛け合わせ、社会を変えるようなソリューションの提供につなげていけたらと考えています。


また、最先端のデジタル技術の導入にもますます注力していきたいです。近年、製薬業界では現実世界に存在する事象をデジタル技術で仮想空間に複製表現するデジタルツイン技術の応用可能性について盛んに議論されています。こうした新しい技術がやがてありふれた技術となって製薬の可能性を広げていく、そんな終わりなきプロセスに貢献できる存在でありたいです」


サイエンスと技術、そしてデジタルの融合が、製薬の未来への扉を開く。未だ見ぬイノベーションの実現をめざして、山本の挑戦は新章へと続く。