患者団体との協働

- Proposal & Action - 「真の患者さん中心の医療へ」 「患者さんはパートナー」 「聞いて終わりにしない」

私たちが目指すこと

一人ひとりが最適な治療を
選択できる医療

私たち中外製薬は、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて世界の医療と人々の健康に貢献することをミッションとしています。その中心となるのは「患者さん」です。
患者さん一人ひとりが最適な治療を選択できる医療を実現するために、私たちは患者さんが医療や薬の情報を身につけられ、そして薬の開発や医療に参画していける社会を目指していきたいと考えています。
私たちは、こうした社会づくりに向け、患者さんを「ともに課題解決を行うパートナー」ととらえ、患者さんの声を聞き、事業活動に落とし込みます。
患者さんが思い描く環境になるよう医療の変革につなげることが、私たちの役割です。

課題解決に向け、患者団体とともに歩むこと

「一人ひとりが最適な治療を選択できる医療」の実現に向けては、患者さんやそのご家族の声を代表する患者団体との協働は重要になります。その活動において、まず前提となり基盤となるのが「相互理解」です。同じ目的に向かいながらも、立場は異なるため、対話を通じて互いの認識・意見を組み交わすことが大切になります。
そして、「声の反映」として、患者さんの声を医薬品の創薬・研究開発等の活動に反映し、患者さんにとっての製品価値を高めるとともに、情報提供や疾患啓発による患者さんの「リテラシー※1向上」に取り組みます。
同時に、教育プログラムの提供やアドボカシー※2支援などを通じ、患者団体の「医療参画」をサポートしていきます。

  • ※1 知識や情報を活用できる能力
  • ※2 権利擁護・代弁
一人ひとりが最適な治療を選択できる医療を目指します。 そのために、患者さんとの相互理解を促進し、患者さんの声の反映、リテラシー向上、医療参画を推進します。

注力取り組み

相互理解

相互理解を促進するためのコミュニケーション

中外製薬では、さまざまな事業活動において患者中心の意識を高めるため、各部門が患者団体とのダイアログを行うとともに、2020年からは経営トップが参画する患者団体ダイアログを実施しています。
大切なのは、意見を聞いて終わりにしないこと。対話で得られた意見を「声の反映」、「リテラシー向上」、「医療参画」の各取り組みに活かしていきます。

患者団体と製薬企業のトップ対談

2023年は患者団体側からお声がけをいただき、PPI*推進に向け、患者団体2団体と製薬企業3社のトップ対談を実施しました。

*Patient and Public Involvementの略で医療分野における患者・市民の参画のこと

PPI推進に向けた、患者団体2団体と製薬企業3社のトップ対談を受けての当社代表取締役社長 CEOの奥田 修のPPI推進に向けた想いと患者団体の皆様からの当社への期待

奥田 修(中外製薬株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO))

写真:奥田 修 氏

2020年から毎年実施している患者団体代表の方々とのダイアログでは、対話を通じて課題を抽出し、その課題に対して実施した取り組みを翌年のダイアログで報告するサイクルを回してきました。その一つの成果として、「創る会」*のようにマルチステークホルダーによる取り組みが始動しました。一方で、まだ解決されていない患者さんを取り巻く社会課題も多くあります。そうした課題を解決するためにも、今後はより一層、社内はもちろんのこと、製薬業界、マルチステークホルダーに対してもPPIの認識を向上させ、PPI活動を拡大していきます。

*臨床試験にみんながアクセスしやすい社会を創る会:患者団体、研究者、アカデミアなどが疾患を越えて臨床試験へのアクセス改善を共に目指すことを目的として設立

天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)

写真:天野 慎介 氏

PPI推進に重要なのは対話と相互理解、そして継続だと思います。特に毎年経営トップと患者団体との対話を実施し、企業活動にどう取り入れているのかフィードバックをされているのは、非常に意欲的な取り組みだと思っています。今後もマルチステークホルダーを巻き込んだ、さらなる展開に期待しています。

桜井 なおみ氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事)

写真:桜井 なおみ 氏

これまでのダイアログでも取り上げてきた臨床試験情報へのアクセス課題に対して、「創る会」の取り組み始動により環境整備に向かってマルチステークホルダーで動いているのは非常に良いことだと思っています。この取り組みのように社会課題の解決に向けて、これからも一緒にロードマップを描きながら取り組んでいけたらと思っています。

辻 邦夫氏(一般社団法人日本難病・疾病団体協議会 常務理事)

写真:辻 邦夫 氏

患者と製薬会社が、対話を重ねていくことが具体的な行動にもつながるので、今後もこうした機会を持ち続けて、お互いにパートナーとして取り組んでいくことが大事だと思います。

患者団体と当社CEOによるダイアログ

2020年より患者団体代表等と当社CEOによるダイアログを開催しています。

声の反映

患者さんにとっての製品価値最大化

中外製薬では、ダイアログなどの対話を通じて得られた患者さんの声を、創薬・研究開発のプロセスや企業活動の改善に活かすことを考えています。患者さんの声を創薬研究に活かしていくためのスキームの構築や、臨床開発の計画段階への患者参画、患者さんの実態をとらえるePRO(患者報告アウトカム電子システム)の実臨床での導入です。
患者さんのQOL(生活の質)や痛み・負担なども踏まえた、患者さんの真のニーズに即した医薬品を創出します。

PHAERMONY ONE

PHARMONY(ファーモニー)

「中外製薬が患者さん・ご家族の声を聞き、相互理解を目指しながら、共有価値創造に向けて取り組む活動の総称」

創薬研究に患者さんの声を取り入れる活動として始動し、2023年より全てのバリューチェーンで展開する活動として再定義しました。

バリューチェーン 研究、開発、承認・発売、販売・育薬

主な取り組み

写真:大山 有子 氏

患者団体から一言

脊髄性筋萎縮症(SMA)は患者さんの年齢層や重症度の幅が広く、処方や投薬、効果の評価に於いて細やかな配慮が必要です。中外製薬さんには製品発売後も患者調査による使用感等の声を届け、薬品の保管方法や専用の服薬器具の改善等に向けて、継続的にご尽力頂いております。今後も良好な協働関係を維持しながら、治療の選択が患者さんにとって最善の利益に繋がるよう、共に歩んで頂けたら嬉しいです。

SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会
会長 大山 有子 氏
https://www.sma-kazoku.net/

リテラシー向上

患者さんのリテラシー向上のための疾患啓発

患者さん一人ひとりに最適な治療を選択できる医療を目指すには、患者さん自らが疾患について知り、情報を取得できるような環境整備が不可欠です。しかし、環境が整わない状態では、自らの疾患を学ぶための情報が不足していたり、適切な情報にたどり着けなかったり、たとえたどり着いても専門的表現でわかりにくい場合も少なくありません。
私たちは、疾患情報に関する課題を共有していくとともに、市民公開講座などの啓発活動やWEBサイトなどを通じた情報提供などを積極的に行っていきます。

主な取り組み

  • 適切な情報へアクセスできるための環境整備
  • 一般市民への疾患啓発
写真:天野 慎介 氏

患者団体から一言

臨床試験は、新しい治療の有効性や安全性を検証することが目的ですが、患者にとって臨床試験が治療選択肢の一つとなることもあり、臨床試験情報は患者にとって不可欠な情報です。臨床試験の情報を患者にしっかり届けること、患者と研究者が対話をしながら新しい治療を作ることが求められており、かねてからこれらの課題に取り組んでいる中外製薬には、今後の更なる取り組みを期待しています。

一般社団法人全国がん患者団体連合会
理事長 天野 慎介 氏
http://zenganren.jp/

医療参画

患者さんの医療参画のアドボカシー活動支援

患者さんの「声」を医療や政策の現場に届けていくためには、産業界、アカデミア、行政、そして患者さんの産学官患が連携できる環境を整えることが必要です。現在、疾患課題の意見交換、患者団体の人材育成サポートなどに取り組んでおり、こうした活動を今後も広げていきます。また、医療分野における患者・市民の参画(Patient and Public Involvement:PPI)の推進にも注力していきます。

主な取り組み

  • 患者さんが声を届けるステークホルダーになるための教育支援
  • PPI推進への参画
写真:眞島 喜幸 氏

患者団体から一言

日本でもゲノム医療がスタートしました。しかし、まだ標準療法としては定着しておらず、患者さんの理解も進んでいない状況です。そのような事態を改善するために、日本希少がん患者会ネットワークでは、がんゲノム医療に関する教育プログラム『学ぼう!活かそう!がんゲノム医療』を中外製薬様と一緒に作りました。それを活用することで患者さん、ご家族のゲノム医療の理解が進み、パネル検査を適切なタイミングで受けることができ、マッチした治療薬のある遺伝子変異が見つかり治療成績が改善されることも願っております。

一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク
理事長 眞島 喜幸 氏
https://rarecancersjapan.org/

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