中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年10月11日

抗体カクテル療法ロナプリーブ、新型コロナウイルス感染症の予防薬、および無症状の感染者に対する治療薬として適応拡大申請

  • 予防薬、および無症状の感染者に対する治療薬への適応拡大申請
  • 皮下投与の用法追加を申請
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の濃厚接触者を対象とした海外第III相臨床試験成績、投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相臨床試験成績および日本人を対象とした国内第I相臨床試験成績に基づく申請
  • 特例承認の適用を希望した申請

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」[一般名:カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)]について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防および無症状の感染者の治療に対する適応拡大の申請を、本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。本適応拡大に合わせて、既承認の静脈内投与に加えて、皮下投与を可能にする用法追加の申請をしました。なお、今回の承認申請は、特例承認の適用を希望しています。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「ロナプリーブは7月の特例承認以降、政府や各自治体、医療関係者をはじめとする多くの方々のご尽力の下、軽症・中等症のCOVID-19患者さんの重症化抑制に役立てられてきました。今回の申請により、感染者との濃厚接触者にあたる非感染者、および無症状のCOVID-19患者の発症リスクの低下を実現する医薬品として、本感染症への対策にさらなる貢献を目指します。あわせて、皮下投与の追加を申請し、患者さんの状態や医療提供体制に応じた使用の実現を目指します」と語っています。

 今回の承認申請は、COVID-19の予防および無症状の感染者を対象とした海外第III相臨床試験REGN-COV 2069試験の成績、投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相臨床試験REGN-COV 20145試験、および、日本人における安全性と忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験JV43180試験の成績に基づいています。

 REGN-COV 2069試験は、COVID-19の家庭内における濃厚接触者に対する症候性感染の予防を目的に、ロナプリーブの有効性と安全性を評価する複数コホートからなる二重盲検ランダム化プラセボ対照第III相臨床試験です。予防コホートは、COVID-19の家庭内における濃厚接触者を対象に実施し、ロナプリーブの投与により試験開始時に感染していなかった人の症状を伴う感染(症候性感染)の発症リスクを81%減少することを示しました。また治療コホートは、新たに感染が確認された無症候性患者を対象に実施し、ロナプリーブの投与により、症候性COVID-19に進行するリスクを31%減少することを示しました。有害事象はロナプリーブ群の20%(1,311名のうち265名)、プラセボ群の29%に発現し、重篤な有害事象はロナプリーブ群の1%(10名)、プラセボ群の1%(15名)に発現しました。

 本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体カシリビマブおよびイムデビマブを組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国リジェネロン社およびロシュ社により開発されています。両社は2020年8月に製造、開発、販売について共同で実施することを発表しています。中外製薬は2020年12月に日本における開発権および今後の独占的販売権をロシュ社より取得し、2021年7月に「SARS-CoV-2による感染症」を効能・効果として特例承認を取得しています。

【参考情報】
抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット」、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、世界で初めて製造販売承認を取得(2021年7月19日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210719220000_1129.html

開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体カクテル療法(casirivimab/imdevimab)に関する日本政府との合意について(2021年5月10日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210510150000_1105.html

皮下投与によるcasirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法が、予防目的の第III相臨床試験で症候性COVID-19の発症リスクを81%減少(2021年4月16日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210416160000_1101.html

入院をしていないCOVID-19患者を対象とした第III相臨床試験において、casirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法が入院または死亡のリスクを70%減少(2021年4月2日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210402150000_1096.html

中外製薬、ロシュよりCOVID-19に対する抗体カクテル療法を導入(2020年12月10日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20201210170001_1046.html

ロナプリーブについて
 ロナプリーブは、2種類のモノクローナル抗体のカクテルであり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2による感染防止を目的として、リジェネロン社によって創製されました。創薬過程においては、ヒト免疫機能を持つよう遺伝子組換えされた、リジェネロン社独自のVelocImmune®マウスによって産生された何千もの完全ヒト抗体、およびCOVID-19から回復した患者から同定された抗体が評価されています。
 2種類の強力なウイルス中和抗体であるカシリビマブおよびイムデビマブは、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合することで、SARS-CoV-2に対して中和活性を示し、in vitroの検討からデルタ株を含むすべての懸念される変異株・注目すべき変異株(2021年9月時点)に対しても効果を示すことが期待されます1, 2。また、in vitroの検討からエスケープ変異の発生抑制効果も期待されます3

特例承認について
 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の3第1項の規定に基づき、以下のいずれにも該当する医薬品について、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る承認を与えることができるとされています。
1. 疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、かつ、当該医薬品の使用以外に適切な方法がない
2. 外国(医薬品に関し日本と同等の水準にあると認められる薬事制度を有しているとして認められる国)で販売等が認められている

上記本文中に記載された製品名、およびVelocImmune®は、法律により保護されています。

出典
1.Alina Baum, Benjamin O Fulton, Elzbieta Wloga, et al. Science 2020 Aug 21; 369(6506):1014-1018.
2.FACT SHEET FOR HEALTH CARE PROVIDERS EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF REGEN-COVTM (casirivimab and imdevimab)
3. Richard Copin, Alina Baum, Elzbieta Wloga, et al. Cell. 2021 Jul 22;184(15):3949-3961.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
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  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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