中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年04月02日

入院をしていないCOVID-19患者を対象とした第III相臨床試験において、casirivimabimdevimabの抗体カクテル療法が入院または死亡のリスクを70%減少

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が3月23日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-03-23.htmをご覧ください。

 ロシュ社は3月23日、入院をしていない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する治療を評価したこれまでで最大規模に相当する試験(4,567名、REGN-COV 2067試験)において、良好なトップライン結果を確認しました。入院をしていない高リスクのCOVID-19患者を対象とした第III相臨床試験において主要評価項目を達成し、casirivimabimdevimabの抗体カクテル療法はプラセボと比較して、入院または死亡のリスクを70%(1,200mgを静脈内投与)および71%(2,400mgを静脈内投与)と有意に低下させました。

 casirivimabimdevimabは、第III相REGN-COV 2067試験において、症状持続期間を14日から10日(中央値)に短縮するなど、主要な副次評価項目もすべて達成しました。また、並行して実施された入院をしていない低リスク(COVID-19の症状を呈するが重症化のリスク因子をもたない、または、COVID-19の症状を呈さない)のCOVID-19患者を対象とした第II相試験(REGN-COV 20145試験)では、検討された300mg~2,400mgのいずれの投与量においても有意かつ同様のウイルス量の減少が認められました。

 上記試験に加えて、casirivimabimdevimabの抗体カクテル療法の検討は、現在、COVID-19による入院患者を対象に治療を目的とした第II/III相臨床試験、英国の入院患者を対象としたオープンラベル第III相RECOVERY試験、およびCOVID-19患者との家庭内における濃厚接触者に対する予防を目的とした第III相臨床試験が進行中です。2021年3月時点で、casirivimabimdevimabの臨床試験にはこれまでに約25,000名以上が参加しています。

 両試験(REGN-COV 2067試験およびREGN-COV 20145試験)の詳細な結果は、速やかに規制当局と共有し、査読付き医学雑誌に提出する予定です。リジェネロン社は、米国食品医薬品局(FDA)と新たなデータを共有し、ロシュ社およびリジェネロン社は欧州医薬品庁(EMA)をはじめとした世界各国の規制当局と協働していきます。また、欧州医薬品委員会(CHMP)は今年初めに、Regulation 726/2004 Article 5(3)に基づき、COVID-19患者に対する治療選択肢として、casirivimabおよびimdevimabの使用を支持する科学的見解を発表しました。

非入院患者を対象とした第III相REGN-COV 2067試験の主な結果1-3

1,200mg
静脈内投与群
n=736
プラセボ群
n=748
2,400mg
静脈内投与群
n=1,355
プラセボ群
n=1,314
29日までにCOVID-19により入院又は死亡した患者
リスク低下 70%
(p=0.0024)
71%
(p<0.0001)
イベント発現例数 7(1.0%) 24(3.2%) 18(1.3%) 62(4.6%)
COVID-19の症状消失までの期間
短縮期間(中央値、日) 4
(p<0.0001)
4
(p<0.0001)
中央値(日) 10 14 10 14
  1. mFAS集団(modified full analysis set)に基づく試験結果。この集団は、無作為化時点で鼻咽頭ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査で陽性が確認されており、COVID-19重症化のリスク因子を1つ以上有するすべての無作為化された患者に相当します。
  2. 最初に2,400mg投与群とそれに対するプラセボ群を評価し、次に1,200mg投与群とそれに対するプラセボ群を評価する、階層的な手順で解析を行います。
  3. 第I/II相部分の解析の結果、8,000mgと2,400mgの用量に違いが認められなかったため、第III相部分は2,400mgおよび1,200mgとプラセボを比較する試験デザインに変更され、8,000mgのデータは記述的解析に用いるよう変更されました。

 投与日から169日目までに入手可能なすべての患者データを用いて安全性評価が実施され、新たな安全性の懸念は示されませんでした。重篤な有害事象は、主にCOVID-19に関連しており、1,200mg群で1.1%、2,400mg群で1.3%、プラセボ群で4.0%の患者に発現しました。死亡は1,200mg群(n=827)で1名、2,400mg群(n=1,849)で1名、プラセボ群(n=1,843)で5名で認められました。

 すべての患者が、肥満(58%)、50歳以上(51%)および高血圧を含む心血管疾患(36%)など、少なくとも1つのリスク因子を有していました。患者の約35%はラテン系/ヒスパニック系、5%は黒人/アフリカ系アメリカ人で、年齢の中央値は50歳(範囲:18~96歳)でした。入院をしていない患者を対象とした第III相REGN-COV 2067試験において、両用量の治験薬投与群で明確な有効性が認められたため、独立データモニタリング委員会からの勧告に従い、試験途中でプラセボ群への登録を中止するよう試験デザインが変更されました。

REGN-COV 2067試験について
 REGN-COV 2067試験(NCT04425629)は、入院をしていない成人のCOVID-19患者に対する治療を目的に、casirivimabおよびimdevimabとプラセボを比較して有効性、安全性および忍容性を評価する二重盲検ランダム化プラセボ対照アダプティブ第I-III相臨床試験です。4,567名を対象とした検証的な第III相部分の目的は、入院をしていない高リスクのCOVID-19患者に対する入院または死亡のリスクについて臨床的に意義のある有効性を前向きに検証し、安全性を確認することです。本試験では、症状の継続期間に対する効果の可能性も前向きに評価しました。本試験は、無作為化から7日以内に症状が認められた入院をしていない成人のCOVID-19患者であり、かつ、無作為化から72時間以内に分子検査により新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染が確認されたものの、COVID-19に対する治療を受けていない患者が対象でした。本試験は、当初8,000mgおよび2,400mgとプラセボの比較を目的としておりましたが、試験途中で2,400mgおよび1,200mgとプラセボを比較するよう変更されています。
 本試験の第II相部分の初期データでは、主要評価項目および主要な副次評価項目を達成し、入院をしていないCOVID-19患者においてウイルス量の減少および医療機関への受診回数の減少が認められました。これらのデータは、症状を呈する患者799名を対象としたcasirivimabおよびimdevimabまたはプラセボを、標準的な医療措置に追加した場合における2件の解析に基づくものです。本抗体カクテル療法の忍容性は概ね良好でした。

REGN-COV 20145試験について
 REGN-COV 20145試験(NCT04666441)は、入院をしていない低リスク(COVID-19の症状を呈するが重症化のリスク因子をもたない、または、COVID-19の症状を呈さない)の成人患者803名を対象に、複数用量のcasirivimabおよびimdevimabの静脈内投与および皮下投与とプラセボを比較して抗ウイルス効果を評価する無作為化第II相臨床試験です。主要評価項目はウイルス量のベースラインからの日ごとの変化(時間加重平均値)で、主要な副次評価項目には、ウイルス学的有効性の指標、安全性と忍容性、血清中抗体濃度の経時変化、プラセボに対する抗体カクテルの免疫原性が含まれます。本試験は、すべての用量で主要評価項目を達成し、プラセボと比較して患者のウイルス量(log10 copies/mL)が有意に減少し(p<0.001)、すべての用量で同様の有効性が認められました。

casirivimabおよびimdevimabについて
 casirivimabおよびimdevimabは、2種類のモノクローナル抗体のカクテルであり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2による感染防止を目的として、リジェネロン社によって創製されました。創薬過程においては、ヒト免疫機能を持つよう遺伝子組換えされた、リジェネロン社独自のVelocImmune®マウスによって産生された何千もの完全ヒト抗体、およびCOVID-19から回復した患者から同定された抗体が評価されています。
 2種類の変異株の強力なウイルス中和抗体であるcasirivimabおよびimdevimabは、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合することで、SARS-CoV-2に対して中和活性を示し、ヒトの集団で発生したスパイクタンパク質に変異を持つウイルス株に対しても効果を示すことが期待されます1
 casirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法は、いずれの国においても承認されていません。

参考情報
 casirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法の国内開発は中外製薬が実施しており、日本からはREGN-COV 2067試験、REGN-COV 20145試験のいずれにも参加していません。

 VelocImmune®は、法律により保護されています。

出典

  1. Alina Baum, Benjamin O Fulton, Elzbieta Wloga, et al. Science 2020 Aug 21;369(6506):1014-1018.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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