中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年05月19日

再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫治療薬「ポライビー点滴静注用」発売のお知らせ

  • ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体であるポライビーを再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療薬として発売

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)」を効能又は効果として、本年3月23日に製造販売承認を取得した抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー®点滴静注用30 mg」「同140 mg」[一般名:ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)]について、本日薬価収載され、販売を開始したことをお知らせいたします。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「ポライビーが再発又は難治性のDLBCLの新しい治療薬として発売できることを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「DLBCLは、再発又は難治性となった場合の治療選択肢が限られているアンメットメディカルニーズが高い疾患です。ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)である本剤により患者さんのより良い治療の実現に貢献できるよう、適正使用に向けた情報提供を行ってまいります」と語っています。

 今回の承認は、再発又は難治性のDLBCLを対象にポライビーとベンダムスチン塩酸塩およびリツキシマブ(遺伝子組換え)を併用(Pola+BR療法)した際の有効性および安全性をBR療法と比較検討した海外第Ib/II相多施設共同臨床試験(GO29365)、およびPola+BR療法について有効性および安全性を検討した国内第II相多施設共同単群臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)等の成績に基づいています。

 なお、未治療のDLBCLを対象に、ポライビーとリツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン(R-CHP)併用療法の有効性と安全性を、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン(R-CHOP)療法と比較する国際共同第III相二重盲検プラセボ対照臨床試験(GO39942/POLARIX試験)が進行中です。

【参考情報】
ポライビー、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対し承認を取得(2021年3月23日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210323170005_1088.html

ポラツズマブ ベドチン、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とする国内第II相試験の主要評価項目を達成(2020年2月13日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200213150000_946.html

添付文書情報

販売名:ポライビー®点滴静注用30 mg、同140 mg

一般的名称:ポラツズマブ べドチン(遺伝子組換え)

効能又は効果:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫

用法及び用量:
ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人には、ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)として1回1.8 mg/kg(体重)を3週間間隔で6回点滴静注する。初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

承認日:2021年3月23日

薬価基準収載日:2021年5月19日

販売開始日:2021年5月19日

薬価:
ポライビー®点滴静注用30 mg 298,825円/1バイアル
ポライビー®点滴静注用140 mg 1,364,330円/1バイアル

GO29365試験について1)
 GO29365試験は、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL: follicular lymphoma)又はDLBCL患者を対象に、ポライビーとBR療法又はベンダムスチン塩酸塩およびオビヌツズマブ(遺伝子組換え)との併用(BG療法)を併用した海外第Ib/II相多施設共同非盲検試験です。第II相ランダム化パートでDLBCL患者80例を対象としてポライビーとBR療法を併用した際の有効性および安全性をBR療法と比較検討しました。主要評価項目は独立評価委員会評価によるPrimary Response Assessment(PRA、本剤最終投与後6~8週)時点におけるPET-CTによる完全奏効割合(CRR: complete response rate)です。治療は3週間を1サイクルとし、合計6サイクルまで投与を行いました。

JO40762(P-DRIVE)試験について
 JO40762(P-DRIVE)試験は、再発又は難治性DLBCL患者35例を対象として、ポライビーとBR療法を併用投与する第II相多施設共同単群非盲検試験です。主要評価項目は治験責任医師評価によるPRA時点におけるPET-CTによるCRRです。治療は3週間を1サイクルとし、合計6サイクルまで投与を行いました。

ポライビーについて
 シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発したポライビーは、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます 2, 3)。ポライビーは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます4, 5)。ポライビーは、米国では2019年6月に迅速承認を、欧州では2020年1月に条件付き承認をそれぞれ取得しています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫について
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫の組織型サブタイプの一つであり、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されます。DLBCLの患者数は非ホジキンリンパ腫の中で最も多く、その30~40%、約23,000人から32,000人程度と推定されます6-10)。DLBCLは、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発症し11)、診断時年齢の中央値は64歳と報告されています12)

 未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブと化学療法の併用とされていますが、約40%の患者さんで再発が認められ、十分な治療効果が得られていません13)。また、再発又は難治性のDLBCLに対する治療のひとつとして、適応となる患者さんではASCTの実施が推奨されていますが、その約半数はASCT実施前の救援化学療法が奏効せず、ASCTが実施できていません14)。さらに、年齢や合併症等でASCTの適応とならない患者さんでは標準治療は確立されていません15)。したがって、再発または難治性のDLBCLに対するより有用性の高い新たな治療選択肢が求められています。

救援化学療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります16)

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

[出典]

  1. Sehn LH, et al. Polatuzumab vedotin in relapsed or refractory diffuse large B-cell lymphoma. Journal of Clinical Oncology 2020; 38: 155-165
  2. Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
  3. Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
  4. Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
  5. ADC Review. What are antibody-drug conjugates? Available from: https://adcreview.com/adc-university/adcs-101/antibody-drug-conjugates-adcs/(2021年4月確認)
  6. Swerdlow SH, et al. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Revised 4th Edition. Lyon, International Agency for Research on Cancer; 2017
  7. Aoki R, et al. Distribution of malignant lymphoma in Japan: Analysis of 2260 cases.2001-2006. Pathol Int 2008; 58(3):174-182
  8. Chihara D, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol 2014 Feb; 164(4):536-545
  9. 厚生労働省 平成29年患者調査 上巻第62表
  10. Lymphoma Study Group of Japanese Pathologists. Pathol Int. 2000 Sep;50(9):696-702.
  11. 新津望 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 日本内科学会雑誌 2008; 97:1588-1594
  12. Armitage JO, Weisenburger DD. New approach to classifying non-Hodgkin’s lymphomas: clinical features of the major histologic subtypes. Non-Hodgkin’s Lymphoma Classification Project. J Clin Oncol 1998; 16:2780-2795
  13. Friedberg JW. Relapsed/Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2011; 2011:498-505
  14. Gisselbrecht C, et al. Salvage Regimens With Autologous Transplantation for Relapsed Large B-Cell Lymphoma in the Rituximab Era. J Clin Oncol 2010; 28: 4184-4190
  15. 一般社団法人日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版. 金原出版株式会社
  16. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援化学療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/kyuenkagakuryoho.html (2021年4月確認)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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