中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2020年02月13日

ポラツズマブ ベドチン、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とする国内第II相試験の主要評価項目を達成

  • 再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんにおいて、ベンダムスチン、リツキシマブにポラツズマブ ベドチンを併用することで、臨床的に意義のある完全奏効率を達成
  • 本試験結果を基に国内承認申請を実施予定

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、ポラツズマブ ベドチンの国内第II相臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)において、主要評価項目であるPrimary Response Assessment(PRA)時点におけるPET-CTによる完全奏効率(CRR: complete response rate)が達成されたことをお知らせします。本試験は、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)を対象に、ポラツズマブ ベドチンとベンダムスチン、リツキシマブ(以下、BR療法)との併用療法について検討した単群非盲検試験です。BR療法にポラツズマブ ベドチンを併用することにより、これまでに行われているポラツズマブ ベドチンの試験と比較して新たな安全性上の所見は示されませんでした。

 上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「ポラツズマブ ベドチンとBR療法との併用により、再発又は難治性DLBCLにおいて有効性が示されたことを嬉しく思います」と述べるとともに、「DLBCLの患者さんは、標準療法を受けた場合でも約40%の方が再発し、その後の治療選択肢は限られています。今回の試験成績を基に、患者さんに1日も早く新たな治療選択肢をお届けできるよう承認申請に向けた準備を進めていきます」と語っています。

 ポラツズマブ ベドチンは、2019年11月に厚生労働省よりDLBCLに対する希少疾病用医薬品に指定されています。また、米国では2019年6月に迅速承認を、欧州では2020年1月に条件付き承認をそれぞれ取得しています。国内では、P-DRIVE試験に加え、未治療のDLBCL患者さんを対象とした第III相国際共同試験(POLARIX)に参加しています。

【参考情報】
ポラツズマブ ベドチンが厚生労働省よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する希少疾病用医薬品に指定(2019年11月20日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20191120113000_914.html

JO40762(P-DRIVE)試験について
 再発又は難治性DLBCL患者さん35名を対象として、ポラツズマブ ベドチンとBR療法を併用投与する第II相多施設共同単群非盲検試験です。本試験の主要評価項目は治験責任/分担医師評価によるPRA時点(治験薬最終投与後6~8週)におけるPET-CTによるCRRです。治療は3週間を1サイクルとし、合計6サイクルまで投与を行いました。

ポラツズマブ ベドチンについて
 ポラツズマブ ベドチンは、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます1, 2)。ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます3, 4)。シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発したポラツズマブ ベドチンは、現在国内外において、複数のタイプの非ホジキンリンパ腫を対象として臨床開発が行われています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫について
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫の組織型サブタイプの一つであり、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されます。DLBCLの患者数は非ホジキンリンパ腫の中で最も多く、その30~40%を占めると報告されています5-7)。DLBCLは、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発症し8)、診断時年齢の中央値は64歳と報告されています9)

 未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブと化学療法の併用とされていますが、約40%の患者さんで再発が認められ、十分な治療効果が得られていません10)。また、再発又は難治性のDLBCLに対する治療のひとつとして、適応となる患者さんでは自家造血幹細胞移植(ASCT: autologous stem cell transplantation)の実施が推奨されていますが、その約半数はASCT実施前の救援化学療法が奏効せず、ASCTが実施できていません11)。さらに、年齢や合併症等でASCTの適応とならない患者さんでは標準治療は確立されていません12)

救援化学療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります13)

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について
 医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、又は、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等、医療上の必要性が高いこと、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。

以上

[出典]

  1. Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
  2. Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
  3. Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
  4. ADC Review. What are antibody-drug conjugates? Available from: https://adcreview.com/adc-university/adcs-101/antibody-drug-conjugates-adcs/(2020年1月27日確認)
  5. Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, Jaffe ES, Pileri SA, Stein H, et al. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Revised 4th Edition. Lyon, International Agency for Research on Cancer; 2017
  6. Aoki R, Karube K, Sugita Y, Nomura Y, Shimizu K, Kimura Y, et al. Distribution of malignant lymphoma in Japan: Analysis of 2260 cases.2001-2006. Pathol Int 2008; 58(3):174-82
  7. Chihara D, Ito H, Matsuda T, Shibata A, Katsumi A, Nakamura S, Tomotaka S, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol 2014 Feb; 164(4):536-45
  8. 新津望 日本内科学会雑誌 97:1588-1594, 2008
  9. Armitage JO, Weisenburger DD. New approach to classifying non-Hodgkin’s lymphomas: clinical features of the major histologic subtypes. Non-Hodgkin’s Lymphoma Classification Project. J Clin Oncol 1998; 16:2780-95
  10. Friedberg JW. Relapsed/Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2011; 2011:498-505
  11. Gisselbrecht C, Glass B, Mounier N, Gill DS, Linch DC, Trneny M, et al. Salvage Regimens With Autologous Transplantation for Relapsed Large B-Cell Lymphoma in the Rituximab Era. J Clin Oncol 2010; 28: 4184-90
  12. 一般社団法人日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版. 金原出版株式会社
  13. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援化学療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/kyuenkagakuryoho.html(2020年1月27日確認)

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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