中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2019年11月20日

ポラツズマブ ベドチンが厚生労働省よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する希少疾病用医薬品に指定

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は非ホジキンリンパ腫の約1/3を占める中悪性度のリンパ腫
  • 海外で実施した第Ib/II相臨床試験等の成績に基づく指定

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、開発中の抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンが厚生労働省より、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)を予定適応症とする希少疾病用医薬品に指定されたことをお知らせいたします。本指定は、未治療のDLBCLおよび再発又は難治性のDLBCLを対象として実施した海外第Ib/II相臨床試験(GO29044試験、GO29365試験)等の成績に基づいています。

 上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「未治療のDLBCLは、リツキサンと化学療法の併用が標準療法ですが約40%の方が再発します。その後の自家造血幹細胞移植(autologous stem cell transplantation: ASCT)でも効果不十分なケースも多く、アンメットメディカルニーズが高い疾患です」と述べるとともに、「我々はポラツズマブ ベドチンを新たな治療選択肢の一つとして一日も早く患者さんにお届けできるよう、承認申請に向けた準備を進めてまいります」と語っています。

ポラツズマブ ベドチンについて
 ポラツズマブ ベドチンは、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate: ADC)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます1, 2)。ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます3, 4)。シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発したポラツズマブ ベドチンは、現在、複数のタイプの非ホジキンリンパ腫を対象として臨床開発が行われています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫について 
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫の組織型サブタイプ一つであり、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されます。DLBCLの患者数は非ホジキンリンパ腫の中で最も多く、その30~40%を占めると報告されています5-7)。DLBCLは、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発生し8)、診断時年齢の中央値は64歳と報告されています9)

 未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブと化学療法の併用とされていますが、約40%の患者さんで再発が認められ、十分な治療効果が得られていません10)。また、再発又は難治性のDLBCLに対する治療のひとつとして、適応となる患者さんでは自家造血幹細胞移植(autologous stem cell transplantation: ASCT)の実施が推奨されていますが、その約半数はASCT実施前の救援化学療法が奏効せず、ASCTが実施できていません11)。さらに、年齢や合併症等でASCTの適応とならない患者さんでは標準治療は確立されていません12)

救援化学療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります13)

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について
医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、又は、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等、医療上の必要性が高いこと、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。

出典

    1. Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
    2. Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
    3. Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
    4. ADC Review. What are antibody-drug conjugates? [Internet; cited June 2019]. Available from: https://adcreview.com/adc-university/adcs-101/antibody-drug-conjugates-adcs/(2019年11月20日閲覧)
    5. Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, Jaffe ES, Pileri SA, Stein H, et al. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Revised 4th Edition. Lyon, International Agency for Research on Cancer; 2017
    6. Aoki R, Karube K, Sugita Y, Nomura Y, Shimizu K, Kimura Y, et al. Distribution of malignant lymphoma in Japan: Analysis of 2260 cases.2001-2006. Pathol Int 2008; 58(3):174-82
    7. Chihara D, Ito H, Matsuda T, Shibata A, Katsumi A, Nakamura S, Tomotaka S, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol 2014 Feb; 164(4):536-45
    8. 新津望 日本内科学会雑誌 97:1588-1594, 2008
    9. Armitage JO, Weisenburger DD. New approach to classifying non-Hodgkin's lymphomas: clinical features of the major histologic subtypes. Non-Hodgkin's Lymphoma Classification Project. J Clin Oncol 1998; 16:2780-95
    10. Friedberg JW. Relapsed/Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2011; 2011:498-505
    11. Gisselbrecht C, Glass B, Mounier N, Gill DS, Linch DC, Trneny M, et al. Salvage Regimens With Autologous Transplantation for Relapsed Large B-Cell Lymphoma in the Rituximab Era. J Clin Oncol 2010; 28: 4184-90
    12. 一般社団法人日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版. 金原出版株式会社
    13. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援化学療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/kyuenkagakuryoho.html(2019年11月20日閲覧)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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