中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2020年08月26日

pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング皮下注120 mgシリンジ」発売のお知らせ

  • 成人および小児の視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する皮下注製剤
  • 当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用し、4週1回の皮下投与による利便性を期待

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能又は効果として製造販売承認を取得した当社創製のpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング®皮下注120 mgシリンジ」[一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)](以下、エンスプリング)について、本日、薬価収載され販売を開始したことをお知らせいたします。

 代表取締役社長 COOの奥田 修は「視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する新たな作用機序を有する治療薬として、当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用し創製されたエンスプリングを、日本でお届けできることを心より嬉しく思います」と述べるとともに、「エンスプリングは、視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する4週1回投与による初の皮下注製剤として、成人から小児の幅広い患者さんへ再発抑制と利便性の両面から治療に貢献できることを確信しています」と語っています。

 エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤です。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)の主な原因であるサイトカインのIL-6を阻害することで、NMOSDの再発の抑制が期待されます。視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)およびNMOSDの患者さんを対象とした2つの第III相国際共同治験において、免疫抑制剤によるベースライン治療に対する上乗せ投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患であるNMOSDに対して行われた最も大規模な臨床試験の一つです。エンスプリングはこれまでに日本、米国、カナダ、スイスにて承認されています。欧州では、2019年に欧州医薬品庁(EMA)より承認申請が受理されています。

 中外製薬は、バイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、今後も革新的な技術開発とその技術の応用により、アンメットメディカルニーズに応える医薬品を創製し、世界の医療と人々の健康に貢献していきます。

添付文書情報

販売名:エンスプリング®皮下注120 mgシリンジ

一般的名称:サトラリズマブ(遺伝子組換え)

効能又は効果:

視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

【効能又は効果に関連する注意】

  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の患者に使用すること。
    ※「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」(日本神経学会)を参考にすること。
  • 抗アクアポリン4(AQP4)抗体陰性の患者において有効性を示すデータは限られている。本剤は、抗AQP4抗体陽性の患者に投与すること。

用法及び用量:

通常、成人及び小児には、サトラリズマブ(遺伝子組換え)として1回120 mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。

【用法及び用量に関連する注意】

  • 本剤の投与が予定から遅れた場合は、可能な限り速やかに投与を行い、以降は、その投与を基点とし、当初の投与間隔どおりに投与すること。
  • 本剤を一定期間投与後、再発の頻度について検討し、再発の頻度の減少が認められない等、本剤のベネフィットが期待されないと考えられる患者では、本剤の投与中止を検討すること。
  • 小児患者では、臨床試験で組み入れられた患者の体重を考慮して、投与の可否を検討すること。

承認日:2020年6月29日

薬価基準収載日:2020年8月26日

販売開始日:2020年8月26日

有効期間:24箇月

薬価:エンスプリング皮下注120 mgシリンジ 1,532,660円/1シリンジ

【参考情報】

・SAkuraSky試験
視神経脊髄炎スペクトラムに対するサトラリズマブの第III相国際共同治験成績がThe New England Journal of Medicine電子版に掲載(2019年11月29日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20191129110000_880.html

・SAkuraStar試験
視神経脊髄炎スペクトラム障害に対するサトラリズマブの2本目の第III相国際共同治験のポジティブな成績がLancet Neurologyに掲載(2020年4月24日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200424150001_965.html

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について1

 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDの70~80%の患者さんでは、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています2-5。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります6-10。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在ではNMOSDという疾患名が認められています11

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

1. 視神経脊髄炎(NMOSD)Online. https://nmosd-online.jp/ Accessed Aug 2020.
2. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012; 9:14.
3. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004; 364:2106-12.
4. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013; 80:2194-200.
5. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007; 130:1235-43.
6. Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci USA 2011; 108:3701-6.
7. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010; 40:1830-5.
8. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016; 126:1051-60.
9. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016; 4(1):e311.
10. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013; 19:1584-96.
11. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015; 85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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