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2020年04月24日

視神経脊髄炎スペクトラム障害に対するサトラリズマブの2本目の第III相国際共同治験のポジティブな成績がLancet Neurologyに掲載

  • ベースライン治療との併用療法に続き、サトラリズマブの単剤療法は、視神経脊髄炎スペクトラム障害に対して再発リスクを有意に減少
  • サトラリズマブ単剤療法による本試験の患者集団は、実臨床における幅広い視神経脊髄炎スペクトラム障害成人患者さんに相当

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)を対象として開発中のヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)について、第III相国際共同治験であるSAkuraStar試験の成績が4月22日(現地時間)にLancet Neurologyに掲載されたことをお知らせいたします。本試験は、NMOSDを対象としてサトラリズマブ単剤投与の有効性および安全性を評価した試験です。

論文:https://doi.org/10.1016/S1474-4422(20)30078-8

 代表取締役社長 COOの奥田 修は、「ベースライン治療との併用療法に続き、サトラリズマブの単剤療法で示した長期有効性の結果は、IL-6シグナルの阻害がNMOSDの治療において重要な役割を担っていることを示しています」と述べるとともに、「患者さんの状態に応じた新たな治療候補として、サトラリズマブを患者さんのもとに一日でも早くお届けできるよう、今年中のグローバルでの承認を目指してロシュと協働してまいります」と語っています。

 SAkuraStar試験は、抗アクアポリン4(AQP4:aquaporin-4)抗体陽性/陰性いずれも含む、実臨床における幅広いNMOSD患者さんに相当する全体集団を対象に実施されました。サトラリズマブ単剤療法はプラセボに対して再発リスクを55%減少させ、統計学的な有意差をもって主要評価項目を達成しました(ハザード比:0.45[95%信頼区間:0.23~0.89]、p=0.018[層別log-rank検定])。また、サトラリズマブ単剤療法を受けた患者さんは、治療開始48週、96週、144週の時点でそれぞれ76.1%、72.1%、62.8%が無再発でしたが、プラセボ投与を受けた患者さんでは、それぞれ61.9%、51.2%、34.1%が無再発でした。再発までの期間に対する事前に規定されたサブグループ解析の結果、抗AQP4抗体陽性患者におけるサトラリズマブ群のプラセボ群に対するハザード比は0.26でした(N=64、95%信頼区間:0.11~0.63)。重篤な有害事象の発現率は、サトラリズマブ群とプラセボ群で同様でした。サトラリズマブ群の主な有害事象は尿路感染および上気道感染でした。

SAkuraStar試験(NCT02073279)
概要:

NMOSD患者を対象として、サトラリズマブを投与した際の有効性および安全性を評価した多施設共同第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験

<主要評価項目>
二重盲検期間における治験実施計画書に規定された初回再発(独立委員会により判定)までの期間

試験デザイン:

  • スクリーニング前12カ月以内に少なくとも1回以上の再発(初発含む)をした、20~70歳の男女95例をランダム化
  • 患者をサトラリズマブまたはプラセボのいずれかに2:1の割合で無作為に割り付け、サトラリズマブ(120 mg)単剤またはプラセボを0、2および4週目、その後は4週間隔で皮下投与する。
  • 二重盲検期間は、治験実施計画書に規定された再発の総数が44件に達した時点、または最終症例の登録後1.5年経過した時点で終了する。二重盲検期間終了後は、非盲検継続投与期間に移行し、両群ともサトラリズマブにより治療を継続することができる。
  • 抗AQP4抗体陽性および陰性の視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)*または抗AQP4抗体陽性のNMOSDの基準に合致した患者を組み入れる。
    *NMOは2006年に提唱された診断基準による

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について

 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDの3分の2以上の患者さんでは、病原性の抗体であるAQP4抗体が検出されており、AQP抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています1-4。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります5-9。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています10

サトラリズマブについて

 サトラリズマブは中外製薬が創製した、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体です。NMOSDの病態に深くかかわるとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されています。NMOおよびNMOSDの患者さんを対象とした2つの第III相国際共同治験において、免疫抑制剤によるベースライン治療に対する上乗せ投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患に対して行われた最も大規模な臨床試験の一つです。日本で視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連疾患を対象として希少疾病用医薬品の指定を受け、欧州および米国においても同じ疾患群に対して希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、2018年12月には米国食品医薬品局(FDA)からBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けました。2019年に欧州医薬品庁(EMA)およびFDAより承認申請が受理され、また厚生労働省に承認申請を行いました。

出典

  1. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  2. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  3. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  4. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  5. Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci USA 2011;108:3701-6.
  6. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010;40:1830-5.
  7. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016;126:1051-60.
  8. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016;4(1):e311.
  9. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013;19:1584-96.
  10. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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