カンボジアの医療関係者を対象とした第５回チーム医療ワークショップを開催

飛躍的な経済成長の一方、カンボジアの保健・衛生事情は未だ発展途上であり、国民の医療・衛生に関する知識不足、保険制度の不備、医療設備の不足など、解決すべき課題が数多く残されています。とりわけ医療関係者の絶対数の不足は深刻であり、国民の質の高い医療へのアクセスを阻む大きな障害となっています。この課題の解決に向け、中外製薬は特定非営利活動法人ジャパンハート*¹と共にカンボジアにおける第５回 チーム医療ワークショップを2024年12月13日と14日に開催し３１名（クメール人：25名、日本人：6名）のスタッフが参加しました。

中外製薬は、医療のさまざまな担い手が目的と情報を共有し、互いに連携・補完したうえで医療を提供する「チーム医療」の日本国内での推進に長年携わってきました。この経験をもとに、限られた人的資源の連携を支援し、カンボジアにおける質の高い医療の実現に貢献すべく、現地の医療関係者を対象とするチーム医療のワークショップを2020年から開催しています。

昨年より新たなコミュニケーションWSとして実施した「Co‐Creation Zoo: Artistic Approach to Team Building Workshop（MSC*²提供）」ですが、昨年は、個人として理想の病院像を動物園に見立て描きましたが、今年は、内容をブラッシュアップし、個人ワークからグループワークへと進化させました。医療従事者や事務職などの職種ごとにグループ分けについては、個々の意見を反映しながら最終的にグループごとに1つの理想の職場像を動物園形式で表現する流れを取りました。また、これまでと同様に日本人とクメール人スタッフに分け両グループとも母国語で行いました。クメール人の日本語通訳者を通じ参加者全員にそれぞれのグループの意見の共有については、フィードバックすることで、双方の思いをより深く理解し、普段、お互いが気づかなかったコミュニケーションの課題や理想のJapan Heart像への思いを共有することが出来ました。

当日のワークショップの様子

参加者のコメント

ジャパンハート副理事長・カンボジア病院事業責任者・医師　神白 麻衣子 氏　

本スタッフ研修も、今年で5年目を迎えることができました。今回はカンボジア人スタッフの参加者層をさらに広げ、職種別のグループでワークショップが実施されました。参加者全員が非常に積極的に取り組み、限られた時間内で楽しそうにプロダクトを仕上げていました。
同じ職種内のグループとしたことで、職種間のパワーバランスを考えずに理想を話し合えるまたとない機会となったかと思います。ワークショップの後、今回初めて研修に参加したカンボジア人のアドミンスタッフが笑顔で講師に「とても楽しかったです」とお礼を伝えていた姿が印象的でした。どうしても医療者中心になってしまいがちな病院という組織の中で、このような機会はなかなか作ってあげられていなかったことに気づきました。
研修では言葉の壁がある中で、内容を十分に理解するための工夫が重要となりますが、中外製薬様と講師の方々はこれまでの経験を踏まえ、毎回研修内容を改善・工夫してくださっています。

ジャパンハートこども医療センター　看護師　Chea Sopheak 氏

私が目指しているのは、ジャパンハートの病院が、カンボジアで多くの患者さんの命を救い、様々な要因で医療を思うように受けられず困っている方々にとって頼りになる存在として広く知られるようになることです。さらに、働いているスタッフにとっても学びや経験を得られる場所であれたら何よりだと思っています。今回のワークショップでは、ジャパンハートの病院の理想の姿について、いつも一緒に働いているスタッフたちとともに、様々な想像を膨らませながら思い描いたイメージを共有できました。とても楽しく、有意義な時間となりました。

今後も中外製薬の強みを活かした継続的な支援活動により、患者中心の高度で持続可能な医療の提供を目指し、引き続きグローバルヘルスへの貢献に努めていきます。

過去の活動内容は以下のリンクからご覧ください。

2023年の活動　　　2022年の活動　　　 2021年の活動　　　2020年の活動

参照
＊１　特定非営利活動法人ジャパンハートホームページ　https://www.japanheart.org/
＊２　MSC*　Management Service Center　　https://www.msc-net.co.jp/