2022年04月11日
医療統計を楽しく学べるアニメ動画「宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ」を公開
医薬品の適正使用のためには、医療関係者の皆さまのみならず患者さんやそのご家族においても、情報に対する適切な理解が必要です。そこで、一般の方々のヘルスリテラシー向上を目的に、医療統計を楽しく学べるアニメ動画を制作し、当社公式YouTubeチャンネルにて公開しました。
ヘルスリテラシーとは「健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力」です。世の中には、残念ながら信頼性の低い情報が多く存在しています。また、信頼性がある情報も、ヘルスリテラシーが低いと正しく理解することができません。
医療統計の基礎を学ぶことにより、情報に対する適切な理解が進み、医薬品の適正使用にもつながることを願い、また、本動画が医療関係者の皆さまや患者さんとそのご家族はもとより、中学・高校、大学を含む教育現場等でも活用されることを期待しています。
アニメ動画「宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ」
第1話「率と比と割合」:「発現割合」と「発現率」。普段意識せずよく使う言葉ですが、この2つ、実は意味が違います。臨床試験でもよく出てくる「割合」「率」「比」の違いについて確認しましょう。
第2話「死亡率」:都道県別に死亡率をみると大都市で低く地方で高くなっていました。しまりす君は医療機関へのアクセスが原因では?と考えます。年齢構成が違う集団を比較するために年齢調整死亡率を計算します。
第3話「薬の効き目を調べるには」:かぜをひいたしまりす君。かぜ薬「ヨクナール」を飲んで元気に。しまりす君は薬が効いたと思っているようですが…「3た論法」の落とし穴と「ランダム化」について学びます。
第4話「病気の原因を調べる方法」:病気の原因「人-原因-環境」理論をもとに、たばこと肺がんの関係について考えます。健康に害のあるものを無理やり与える研究はできません。ここで予防試験について紹介します。
第5話「脱落」:あかりす先輩の調査で、心筋梗塞発症割合が喫煙者と非喫煙者であまり差がなかったことに疑問を持ったしまりす君。その原因と対処方法を探るため、脱落した人の特徴に着目しながら考察していきます。
第6話「感度と特異度」:しまりす君の卒業研究発表です。陽性・陰性を判定する検査やバイオマーカー等の性能評価で一致度や陽性予測値を用いることの問題点、評価指標で感度と特異度がよく使われる理由を学びます。
動画は中外製薬公式YouTubeチャンネルにてご覧いただけます。
医療統計アニメ「宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ」
著者:京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療統計学 佐藤俊哉教授
イラスト原案:京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康情報学分野 佐藤恵子特任准教授
企画・制作:中外製薬株式会社
「宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ」著者からのコメント
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療統計学 佐藤俊哉教授
健康はわたしたちの生活の中でもっとも身近な話題ですので、病気の予防や治療は公衆衛生・医療の重要な課題となっています。この公衆衛生・医療を支えているのが疫学や医療統計という領域です。「統計」というと数式がいっぱいでてきて数学がわからないと理解できない、と誤解されがちなのですが、大事なことは数式ではなく医療統計の考え方を理解することだと思います。
死亡率ってなにを調べているの、死亡率の地域比較をしたいんだけどどうしたらいいの、新薬の効果や病気の原因はどうやって調べたらいいの、などなど、一見わかっているようだけどちゃんと説明できないことってありますよね。でも医療統計の考え方がわかればこういったことに答えることができるんです。
この医療統計アニメを通じて、科学は進んでいるけど、疫学・医療統計だけは遅れているりすりす星からやってきたしまりす君と一緒に、楽しく医療統計の考え方をわかってもらえたら、作者としてとってもうれしく思います。