2019年10月26日

非感染性疾患(NCDs)の診断および治療の支援(2019年度)

ミャンマーでの持続的な保健医療へのアクセス向上を目指して

患者さん中心の持続可能な医療 グローバルヘルス 社会貢献 医療

メティラ郡 モバイルクリニックの様子

中外製薬は、AMDA – MINDS(AMDA – Multisectoral and Integrated Development Services)1と連携し、2018年11月よりミャンマーのマンダレー地域メティラ郡の農村部において、非感染性疾患(Non-communicable diseases; NCDs)患者の診断と治療を支援しています。

この地域では、地域病院の利用は緊急時や重症の入院治療に限定されるケースが多くあります。低所得層の患者さんにとって、通常の外来受診や治療は移動距離やコスト負担の面からハードルが高く、結果として初期治療が遅れて重症化につながることが課題となっています。

*本活動の開始計画は非感染性疾患(NCDs)の診断および治療の支援(2018年度)をご覧ください。


2019年の活動内容

1. ワークショップの開催
NCDs対策のための活動計画の詳細は、郡の保健局とメティラ総合病院のスタッフが進行役を務めるワークショップで決定しています。NCDs対策強化をサポートするこの活動が主体的に運営されるよう、地域住民だけでなく地域の病院および行政の参加支援を行いました。今回、ワークショップには、郡の保健局とメティラ総合病院の医師・看護師を含むスタッフ計41人が参加し、活発な議論が繰り広げられ、対象とする計8村を活動地域として選定しました。

2. モバイルクリニック(移動型診療)と健康教育の実施
パイロットケースとして8村を訪問し健康診断と治療を行いました。受診した742人中、何らかのNCDsを発症する割合は約44%と高く、約34%が高血圧という診断結果となりました。高血圧と糖尿病に関する啓発パンフレットを各250部ずつ作成して配布を行い、病気や健康についての知識を深めてもらうための教育活動も実施しました。
診断結果データを分析し、その後のフォローアップ対象となる村の選定に活用しました。フォローアップ対象の2村については、月に2回ずつ計6回のモバイルクリニックを実施し、2村合計で1回につき平均100人以上の患者さんが受診しました。さらに重篤な患者さんの外来治療や入院治療のサポートも行いました。

メティラ郡 モバイルクリニックの様子

メティラ郡 モバイルクリニック(保健教育)の様子

住民の方々からはモバイルクリニック機に、NCDsに関する知識を新たに得たという意見が多く寄せられ、患者さんからは、病院への移動負担無しで受診することができ、医師や処方される薬が本当に良いので助かった、との声がありました。また、実際に足の痛みや頭痛に悩まされていた女性が、糖尿病や高血圧が原因であることを理解し、定期的に薬の服用につながったとの例が見られました。

メティラ Regional Health Center(Yai Cho)訪問

メティラ Regional Health Center(Nyaung Kai)訪問

AMDA-MINDS Meiktila Project Coordinator, Ma Thidaさんによるコメント
このプロジェクトを開始するまで、NCDs対策は地域の保健局には受け入れられませんでした。持続性を持たせるためには、行政を巻き込んで実施することが非常に重要であると考えています。今回、中外とAMDA-MINDSがパイロットデータを示したことにより、保健局の認識が変わったと感じています。保健局より、今後メティラ全域でモバイルクリニックを実施したいとの要望がありました。

2020年は保健局の要望により、モバイルクリニックの規模を約6倍に拡大し、メティラ郡全域の48か所で実施、12か所でフォローアップ診療を行うことを計画しています。
これらの活動が中外製薬の目指す持続可能な解決策の提供に繋がるものと期待しています。


*1 岡山市に本拠を置くGlobal Healthに取組むNGO(https://www.amda-minds.org/

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