病院実習で感じた問題意識を、解決したい。
そんな富田が、就職活動中に興味を持ったのが「育薬研究」だった。患者さん一人ひとりにふさわしい医薬品を提供していくためには、その薬が『どんな患者さんに、なぜ効くのか』をより明らかにして、医療の現場に知見を提供していく必要がある。それを担うのが育薬研究であり、まさに自分がやりたいことに合っていると富田は思ったという。「なかでも中外製薬は、私が就職活動を始めた時にはすでに『個別化医療』の推進を明確に掲げていて、個人的にとても注目していました。また、中外製薬の研究所を見学させていただいたとき、先輩の育薬研究者の方から『私たちが取り組んでいるのは、創薬研究と実臨床のギャップを埋めることだ』とうかがい、やりがいのある仕事に挑戦できそうだと入社を志望したのです。」
臨床試験では得られないエビデンスを求めて。
「育薬」とは、臨床試験で見られた事象や予測できなかった事象に対し科学的根拠を提示し、医薬品が発売された後にその薬を患者さんや医療関係者の方がより使いやすく、より安全性・有効性の高いものに育てていく取り組みだ。中外製薬に入社後、プロダクトリサーチ部に配属となった富田がいま携わっているのは、開発中のある抗がん剤の非臨床育薬研究。「この抗がん剤は臨床開発の後期段階にあり、患者さんに対する安全性と有効性の評価が行われていますが、臨床試験だけでこの薬の全容が明らかになるわけではありません。『こんな特徴を持つ患者さんには、どんな治療効果がもたらされるのか』という疑問を想定し、臨床試験では得られないエビデンスを非臨床で収集して、成果を論文にまとめて医療現場に知見を提供することが私の役割です。」
具体的に富田が取り組んでいるのは、既存の治療法に耐性が生じた患者さんに対して、新規の抗がん剤を用いた併用療法によって耐性を克服することができるのか、できるのであればどのようなメカニズムによるのかを、細胞や動物を用いた実験により解明していくこと。「私が考えた実験モデルが妥当かどうか、上司や先輩と議論しながら育薬研究を進めています。常に意識しているのは、私が実験で取得しようとしているデータは、患者さんと医療従事者の方々にとって、本当に価値があるものなのかどうかということ。単に研究者としての興味を満足させるような実験ではなく、常に患者さんと医療関係者の方々を思い描いて研究に取り組んでいます。」
結果ベースではなく理解ベースで医療の現場に貢献。
「どのような患者さんになぜ効くのか?」を解き明かしていくことが、富田が入社前から実現したいと望んでいた個別化医療につながっていく。そのために、非臨床研究の視点から実臨床を理解できるようになりたいと富田は考えている。「個別化医療を推進していくためには、さまざまな特徴を持つ患者さんの生体内で起こる分子的な動きや、ひとつひとつの細胞のふるまいを正確に把握するなど、非臨床研究からのアプローチが非常に重要です。非臨床育薬研究に携わる中で、真に実臨床にとって価値のあるエビデンスを見出し、個別化医療に貢献できる社員になりたい。一人ひとりが「患者中心」にこだわりを持って活躍している中外製薬でなら、きっとそんな人財になれると信じています。」
※本記事の内容は取材当時のものです。