中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2025年10月24日
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レナリスファーマ株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
| 上場会社名 | 中外製薬株式会社 | |
| コード番号 | 4519(東証プライム市場) | |
| 本社所在地 | 東京都中央区日本橋室町2-1-1 | |
| 代表者 | 代表取締役社長 CEO | 奥田 修 |
| 問い合せ先 | 責任者役職名 | 広報IR部長 |
| 氏名 | 宮田 香絵 | |
| 電話番号 | ||
| 報道関係者の皆さま | 03(3273)0881 | |
| 投資家の皆さま | 03(3273)0554 | |
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、本日開催の取締役会において、以下のとおり、国内バイオベンチャー企業であるレナリスファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役:Brian Taylor Slingsby、以下、「レナリスファーマ」)のすべての株式及び新株予約権を取得すること(以下、「本件株式等取得」)により、当社がレナリスファーマを完全子会社化することについて決議しましたので、お知らせいたします。レナリスファーマは、IgA腎症を主要適応症とするsparsentan(米国製品名:FILSPARI®)のアジア地域での開発及び販売を目的として設立された会社であり、同社の完全子会社化を通じて、当社はsparsentanの日本、韓国、台湾における独占的な開発・販売権を取得いたします。当社はIgA腎症を予定適応症とする開発プロジェクトとして核酸医薬品sefaxersen(開発コード:RG6299)を有しており、今回のsparsentanの追加により、同適応症において作用機序の異なる複数の治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズを包括的に満たすことを目指し開発を進めてまいります。
1. 株式取得の理由
レナリスファーマは、ベンチャーキャピタルであるキャタリスパシフィックとSR Oneにより2023年4月に設立され、IgA腎症を主要適応症とするsparsentanの日本、韓国、台湾における独占的な開発・販売権をTravere Therapeutics, Inc.(本社:米国サンディエゴ、CEO:Eric M. Dube、以下、「Travere社」)より取得しています。レナリスファーマは、sparsentanの開発と販売を目的に設立された会社であり、当社はsparsentanの当該地域における独占的な開発・販売権を取得するために、レナリスファーマのすべての株式及び新株予約権を取得し、完全子会社化することを決定いたしました。
IgA腎症(指定難病66)は、腎臓の糸球体に異常な免疫グロブリンA(糖鎖異常IgA)が沈着することにより、血尿や尿蛋白などが持続的にみられる慢性糸球体腎炎の一つです1)。疾患の進行により腎機能が低下し、末期腎不全になると腎移植や透析が必要になることがあります1)。既存の薬物治療としてはレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬または副腎皮質ステロイド薬による治療が行われますが、十分な効果が得られない場合もあり、アンメットメディカルニーズが存在します2)。sparsentanは、単一分子でエンドセリン受容体A型(ETAR)とアンジオテンシンII 1型受容体(AT1R)の双方を阻害する低分子、経口投与製剤です。成人のIgA腎症患者を対象に韓国、台湾を含む世界18カ国で実施された国際共同第III相治験(PROTECT study)における有効性及び安全性に関する試験成績に基づき、当社はsparsentanがIgA腎症に対するファーストインクラスになることが期待される新薬であると評価しております。米国では2023年2月、欧州では2024年4月に承認されていること、日本ではレナリスファーマがブリッジング戦略により小規模の第III相臨床試験を実施中であることから、開発権を獲得した3カ国での成功確度は高い状況と考えております。加えて、米国では、Travere社が本年、IgA腎症と同様に希少難治性腎疾患である巣状分節性糸球体硬化症の効能追加申請を行っています。また、当社では同症に対する治療薬として、国際共同第III相治験を実施中のsefaxersen(補体B因子mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド)を有しています。MoAの観点から、sefaxersenとsparsentanは実臨床での異なるポジショニングが想定されており、これらの2剤を有することによって、IgA腎症の幅広い病態への治療アプローチを提供し、アンメットメディカルニーズを満たすことを目指しています。
当社は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献」するというミッションを掲げ、人々が待ち望む、高い科学性・倫理性に裏付けられた革新的な製品・サービスの提供を目指しています。また、資本配分に関する基本方針において、患者さんにとって真に価値あるソリューションを提供し、株主に安定的なリターンを提供できるよう、資本を適切に配分していくことを掲げています。本方針に沿って、「革新的な医薬品の創出および提供」、「価値創造エンジンの拡大」をはじめとする共有価値の創造に向けた成長投資と、配当などの株主還元のバランスを慎重に検討し、最適な資本配分を行っております。とりわけ、買収を含む戦略的投資をさらに活発化させる必要があると認識しており、今後より重要な位置づけを占めると考えています。
今回上記の戦略的投資の一環として、有望な開発品であるsparsentanの日本、韓国、台湾における開発・販売権を取得し、IgA腎症及びその他腎疾患におけるパイプラインを強化することにより、患者さんや医療関係者への貢献、ならびに企業価値・株主価値のさらなる向上を目指してまいります。
2. 株式取得の対価及び方法
本件株式等取得に係る対価は、①株式取得時に支払う一時金(以下、「クロージング対価」)と、②sparsentanの承認の進捗及び将来の収益に基づく支払(以下、「アーンアウト対価」)で構成されます。クロージング対価とアーンアウト対価の内容は以下のとおりです。
①クロージング対価
当社は、本件株式等取得が実行される日(以下、「クロージング日」)に、本売主に対しクロージング対価15,000百万円に加え、株式譲渡契約に基づく価格調整を反映した金額を現金にて支払います。
②アーンアウト対価
当社は、本売主に対しsparsentanの承認の進捗に応じた複数のマイルストンにより、最大16,000百万円のマイルストン対価、及びsparsentanの日本、韓国、台湾における純売上高に連動する対価を現金にて支払います。
3. 異動する子会社(レナリスファーマ)の概要
| (1) | 名称 | レナリスファーマ株式会社 | |
|---|---|---|---|
| (2) | 所在地 | 東京都中央区日本橋本町2丁目3番11号 | |
| (3) | 代表者の役職・氏名 | 代表取締役(CEO) Brian Taylor Slingsby | |
| (4) | 事業内容 | 医薬品の研究開発及び販売 | |
| (5) | 資本金 | 非開示 | |
| (6) | 設立年月日 | 2023年4月 | |
| (7) | 大株主及び持株比率 | 非開示 | |
| (8) | 当社とレナリスファーマとの間の関係 | 資本関係 | 当該事項はありません |
| 人的関係 | 当該事項はありません | ||
| 取引関係 | 当該事項はありません | ||
(注) レナリスファーマの最近3年間の連結経営成績及び連結財政状態については、相手先の意向により開示を控えさせていただきます。
4. 取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
| (1) | 異動前の所有株式数 | 0株 |
|---|---|---|
| (2) | 取得株式数 | レナリスファーマが発行するすべての株式及び新株予約権 |
| (3) | 取得価額 | ①クロージング対価 15,000百万円 上記に加え、株式譲渡契約に基づく価格調整を反映した金額 ②アーンアウト対価 最大16,000百万円のマイルストン対価及びsparsentanの日本、韓国、台湾における純売上高に連動する対価 |
| (4) | 異動後の所有株式数 | レナリスファーマが発行するすべての株式及び新株予約権 |
5. 日程
| (1) | 取締役会決議日 | 2025年10月24日 |
|---|---|---|
| (2) | 契約締結日 | 2025年10月24日 |
| (3) | クロージング日 | 2025年11月末(予定) |
6. 今後の見通し
本件に伴う、2025年1月30日に公表した2025年12月期連結業績予想への影響は軽微です。
出典
- 難病情報センター「IgA腎症(指定難病66)」より一部改変
Available from: https://www.nanbyou.or.jp/ アクセス日:2025年10月 - エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020
Available from: https://jsn.or.jp/academicinfo/report/evidence_IgA_guideline2020.pdf
アクセス日:2025年10月
以上
本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部
- 報道関係者の皆様
- メディアリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0881
- mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
- 投資家の皆様
- インベスターリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0554
- mailto: ir@chugai-pharm.co.jp