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2025年03月28日
- 研究開発
大阪大学免疫学フロンティア研究センターとの共同研究による制御性T細胞に関する研究成果がNature誌に掲載
- 大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)との共同研究成果を科学雑誌Nature電子版に掲載
- ヒト誘導型制御性T細胞において、マスター転写因子FoxP3の発現制御ネットワークを初めて解明
- 本研究成果は、自己免疫疾患治療に対する新たなアプローチの可能性も提示
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)との包括連携契約のもと実施した研究成果を、IFReC実験免疫学(坂口志文特任教授)と共同で科学雑誌Nature誌の電子版に発表したことをお知らせいたします。同誌は、Springer Natureが出版する世界で最も権威のある科学雑誌の一つで、自然科学全般から、医学、環境科学、宇宙科学まで、幅広い分野の最新の重要研究成果を掲載しています。
“Genome-wide CRISPR screen in human T cells reveals regulators of FOXP3”
(https://www.nature.com/articles/s41586-025-08795-5)
中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「大阪大学IFReCとの共同研究の成果がNature誌に掲載されたことを大変嬉しく思います。本研究成果を通じ、制御性T細胞の制御メカニズムが解明され、様々な自己免疫疾患に対する治療に応用されることが期待されます」と述べるとともに、「アカデミアをはじめ、外部との協働、オープンイノベーションは、中外製薬の2030年に向けた成長戦略TOP I 2030のKey Driversの一つであり、非常に重要です。引き続き、ヘルスケアの発展と人々の健康に貢献できるよう尽力してまいります」と語っています。
中外製薬は、国立大学法人大阪大学と2016年にIFReCとの先端的な免疫学研究活動に関わる包括連携契約を締結しました。最先端の基礎免疫学に潜在する医療革新のシーズの発掘・育成を目指し、共同研究およびフィージビリティスタディをそれぞれ複数実施中です。本研究成果は、制御性T細胞研究の第一人者である坂口志文特任教授(常勤)の率いるIFReC実験免疫学と中外製薬との共同研究から生まれました。
本研究は、ヒト誘導型制御性T細胞(iTreg)において、Tregの機能維持に不可欠なマスター転写因子であるFoxP3の発現制御ネットワークを初めて明らかにし、Tregの制御を通じた新たな自己免疫疾患治療の可能性を提案したものです。ゲノムワイドCRISPRスクリーニングと新規シングルセル解析手法を組み合わせることで、FoxP3制御に関わるシグナル経路と関連因子群を同定しました。また、関連因子群より特定した重要因子をノックアウトすることで、より機能的かつ安定的なTreg誘導を可能にしました。本研究は、Tregバイオロジーの科学的理解の促進と共に、Tregの制御を通じた新たな自己免疫疾患治療への応用が期待されます。
*誘導型制御性T細胞:試験管内で人工的にFoxP3が誘導されたCD4陽性T細胞。一般的に、生体内で分化するTregとは区別される
【参考情報】
“iTregの分化・安定性・機能を強化する方法を発見 ~自己免疫疾患に対する画期的治療法の可能性~”
https://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20250327-0101.htm
大阪大学と中外製薬の包括連携契約締結のお知らせ-免疫学フロンティア研究センター(IFReC)に対して10年間で総額100億円を拠出-(2016年5月19日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20160519150000_180.html
以上
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