中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2022年08月24日

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  • 研究開発

ポライビー、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する適応追加の承認を取得

  • 昨年の再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する承認に続き、未治療のDLBCLに対し、20年ぶりに新たな治療選択肢として承認を取得
  • ポライビーとR-CHPの併用療法は、未治療のDLBCLに対し、標準治療であるR-CHOPと比較して無増悪生存期間(PFS)に関する優越性を示した新たな治療
  • 未治療のDLBCL患者を対象とした第III相臨床試験(POLARIX試験)に基づく承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー®点滴静注用30 mg、同140 mg」[一般名:ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)]について、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)に対する適応追加の承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせいたします。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「今回の適応拡大により、ポライビーを未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する20年ぶりの新しい治療法としてお届けできることを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「再発・難治性に加えて、未治療のDLBCLに対しても本剤をお役立ていただけるよう、血液がんにおける長い経験と専門性を生かし、引き続き適正使用情報の提供を行ってまいります」と語っています。

 ポライビーは、抗体と低分子化合物を組み合わせた抗体薬物複合体と呼ばれる医薬品です。今回の承認は、未治療のDLBCL患者を対象とする日本を含むグローバル第III相臨床試験(POLARIX試験)に基づいています。本試験は、ランダム化第III相二重盲検プラセボ対照試験であり、ポライビーおよびR-CHP併用療法と、標準治療であるR-CHOP療法の有効性、安全性および薬物動態を評価しました。879人の患者さんが登録され、主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)でした。

 オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。

電子化された添付文書情報 ※下線部について変更・追加

効能又は効果:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

用法及び用量:
通常、成人には、ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)として、以下の抗悪性腫瘍剤との併用で、1回1.8mg/kg(体重)を3週間間隔で6回点滴静注する。初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

  • リツキシマブ(遺伝子組換え)、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾロン又はメチルプレドニゾロンとの併用
  • ベンダムスチン塩酸塩製剤及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用

【参考情報】
ポライビー、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対し適応拡大申請(2021年12月10日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20211210170000_1172.html

ポライビーとR-CHPの併用療法は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんの病勢進行または死亡リスクを27%減少させる(2021年12月17日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20211217170001_1180.html

ポライビー(ポラツズマブ べドチン)について
 ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL: non-hodgkin lymphoma)に影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっています1,2)。 ポライビーは、がん細胞の細胞膜上に発現する CD79bに結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられています3,4)。 ポライビーは、Seagen社のADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として検討されています。

POLARIX試験について
 POLARIX(NCT03274492)は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者さんを対象に、ポライビーとR-CHP療法(リツキサン®[リツキシマブ]、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン)の併用とR-CHOP療法(リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)の有効性、安全性および薬物動態を評価したランダム化第III相二重盲検プラセボ対照試験です。879人の患者さんを1:1にランダム化しました。

  • ポライビー+R-CHP+ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群
  • R-CHOP+ポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群

 主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)です。
 ポライビーとR-CHP併用療法はR-CHOP療法と比較し、未治療のDLBCL患者さんにおいて、フォローアップ期間中央値28.2カ月ののち、統計学的に有意なPFSの改善を示しました(ハザード比: 0.73、95%信頼区間: 0.57-0.95; p値<0.02)。ポライビーとR-CHP併用療法とR-CHOP療法の安全性プロファイルは同様であり、グレード3-4の有害事象の割合はそれぞれ57.7%、57.5%、重篤な有害事象の割合はそれぞれ34.0%、30.6%で、グレード5(死亡)の有害事象はそれぞれ3.0%、2.3%でした。また、減量に至った有害事象はそれぞれ、9.2%、13.0%でした5)

 POLARIX試験は、The Lymphoma Study Association(LYSA)およびThe Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)共同で実施しています。

LYSAおよびLYSARCについて
 The Lymphoma Study Association(LYSA)はリンパ腫研究を国際的にリードする協働グループです。新薬のヒトにおける最初の臨床試験から、参照すべき治療戦略の策定を目的とするものまで、幅広い臨床試験を実施しています。LYSAは、3カ国(フランス、ベルギー、ポルトガル)に分布する120以上のケアセンターとのネットワークを有し、多数の研究チームと国際的に協働しています。
 Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)は、LYSAの実行機関であり、リンパ腫に関する国際的臨床研究プロジェクトを実施しています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)について
 DLBCLは非ホジキンリンパ腫(NHL: non-hodgkin lymphoma)の中で最も多い病型で、NHLの約3分の1を占めます6)。DLBCLは進行の速い中悪性度のNHLです7)。一般的にはフロントラインでの治療に反応する一方で、約40%の患者さんが再発するか、難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされています7)。世界では毎年約150,000人がDLBCLと診断されると推定されています8)

 救援療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります9)

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

[出典]

  1. Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009;114:2721-29.
  2. Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015;29:1578-86.
  3. Ducry L, et al. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem 2010;21:5-13.
  4. ADC Review. What are antibody-drug conjugates? https://www.adcreview.com/the-review/what-are-antibody-drug-conjugates/[インターネット:2022年8月確認]
  5. Tilly H, et al. Polatuzumab Vedotin in Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma. New Eng J Med. 2021.
  6. World Health Organization Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC Press; 2008.
  7. Maurer JM, et al. Event-free survival at 24 months is a robust end point for disease-related outcome in diffuse large B-cell lymphoma treated with immunochemotherapy. J Clin Oncol 2014;32:1066-73.
  8. Globocan 2020. World Fact Sheet. https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf[インターネット:2022年8月確認]
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kyuenryoho.html [インターネット:2022年8月確認]

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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