中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年12月17日

ポライビーとR-CHPの併用療法は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんの病勢進行または死亡リスクを27%減少させる

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が12月14日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-12-14.htmをご覧ください。

  • ポライビーとR-CHPの併用療法は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対し、20年以上ぶりの新たな治療レジメンとして、治療成績を改善し本疾患の標準治療を変える可能性を示す
  • 本試験成績は、第63回米国血液学会総会(ASH)のlate-breaking abstractとして発表された

 ロシュ社は12月14日、ポライビー®(ポラツズマブ ベドチン)とR-CHP療法[リツキサン®(リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン]の併用と、R-CHOP療法[リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン]を比較した第III相POLARIX試験の成績を発表しました。

 ポライビーとR-CHP併用療法は現在の標準療法であるR-CHOP療法と比較し、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)患者さんの、病勢進行または死亡リスク(Progression free survival: PFS)を27%減少させました。安全性については、これまでに実施された臨床試験で認められた結果と一貫性があり、ポライビーとR-CHP併用療法とR-CHOP療法の安全性プロファイルは同様でした1,2)。本試験成績は第63回米国血液学会総会(ASH)のlate-breaking abstractとして2021年12月14日(現地時間)に発表されました。POLARIX試験は、The Lymphoma Study Association(LYSA)およびThe Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)と共同で実施されています。

 ピボタルな第III相臨床試験であるPOLARIX試験において、初めて有効性および安全性データが示されました。ポライビーとR-CHP併用療法はR-CHOP療法と比較し、未治療のDLBCL患者さんにおいて、フォローアップ期間中央値28.2カ月ののち、統計学的に有意なPFSの改善を示しました[ハザード比: 0.73、95%信頼区間: 0.57-0.95; p値<0.02]1,2)。PFSはがんの再発、進行または死亡を防ぐことを目指す一次治療のゴールと考えられており、未治療のDLBCL患者さんにとって臨床的に意義のある評価項目です。ポライビーとR-CHP併用療法とR-CHOP療法の安全性プロファイルは同様であり、グレード3-4の有害事象の割合はそれぞれ57.7%、57.5%、重篤な有害事象の割合はそれぞれ34.0%、30.6%で、グレード5(死亡)の有害事象はそれぞれ3.0%、2.3%でした。また、減量に至った有害事象はそれぞれ、9.2%、13.0%でした1,2)。POLARIX試験成績は、進行中の各国の規制当局への承認申請資料として使用されます。

POLARIX試験について
 POLARIX(NCT03274492)は、未治療のDLBCL患者さんを対象に、ポライビーとR-CHP療法[リツキサン(リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン]併用とR-CHOP療法[リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン]の有効性、安全性および薬物動態を評価したランダム化第III相二重盲検プラセボ対照試験です。879人の患者さんを1:1にランダム化しました。

  • ポライビー+R-CHP+ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群
  • R-CHOP+ポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与する群

 主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)です。POLARIX試験は、The Lymphoma Study Association(LYSA)およびThe Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)共同で実施しています。

LYSAおよびLYSARCについて
 The Lymphoma Study Association(LYSA)はリンパ腫研究を国際的にリードする協働グループです。新薬のヒトにおける最初の臨床試験から、参照すべき治療戦略の策定を目的とするものまで、幅広い臨床試験を実施しています。LYSAは、3カ国(フランス、ベルギー、ポルトガル)に分布する120以上のケアセンターとのネットワークを有し、多数の研究チームと国際的に協働しています。
 Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)は、LYSAの実行機関であり、リンパ腫に関する国際的臨床研究プロジェクトを実施しています。

ポライビー(ポラツズマブ べドチン)について
 ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL: non-hodgkin lymphoma)に影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっています3,4)。ポライビーは、がん細胞の細胞膜上に発現するCD79bに結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられています5,6)。ポライビーは、Seagen社のADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として検討されています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)について
 DLBCLはNHLの中で最も多い病型で、NHLの約3分の1を占めます7)。DLBCLは進行の速い中悪性度のNHLです8)。一般的にはフロントラインでの治療に反応する一方で、約40%の患者さんが再発するか、難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされています8)。世界では毎年約150,000人がDLBCLと診断されると推定されています9)

救援療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります10)

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

[出典]

  1. Tilly H, et al. The POLARIX study: polatuzumab vedotin with rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, and prednisone (pola-R-CHP) versus rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine and prednisone (R-CHOP) therapy in patients with previously untreated diffuse large B-cell lymphoma. Presented at: ASH Annual Meeting and Exposition; 2021 Dec 11-14. Abstract #LBA-1.
  2. Tilly H, et al. Polatuzumab Vedotin in Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma. New Eng J Med. 2021.
  3. Dornan D, et al. Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate, anti-CD79b-vc-MMAE, for the treatment of non-Hodgkin lymphoma. Blood 2009; 114:2721-2729
  4. Pfeifer M, et al. Anti-CD22 and anti-CD79B antibody drug conjugates are active in different molecular diffuse large B-cell lymphoma subtypes. Leukemia 2015; 29:1578-1586
  5. Ducry L, Stump B. Antibody-drug conjugates: linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies. Bioconjug Chem. 2010; 21:5-13
  6. ADC Review. What are antibody-drug conjugates? https://adcreview.com/adc-university/adcs-101/antibody-drug-conjugates-adcs/ [インターネット:2021年12月確認]
  7. World Health Organization Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC Press; 2008.
  8. Maurer JM, et al. Event-free survival at 24 months is a robust end point for disease-related outcome in diffuse large B-cell lymphoma treated with immunochemotherapy. J Clin Oncol 2014;32:1066-73.
  9. Globocan 2020. World Fact Sheet. http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf [インターネット:2021年12月確認]
  10. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「救援療法」https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kyuenryoho.html [インターネット:2021年12月確認]

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る