中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2020年06月29日

「エンスプリング皮下注120mgシリンジ」、視神経脊髄炎スペクトラム障害に対し、日本で製造販売承認を取得

  • 抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に対する新規作用機序を有する、成人および小児のNMOSDに対する治療薬
  • 当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用し、4週1回の皮下投与による利便性を確保
  • NMOSDの再発リスクを有意に減少した2本の第III相国際共同治験の成績に基づく承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、当社創製のpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング®皮下注120mgシリンジ」[一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)]について、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせいたします。エンスプリングは、2019年9月に希少疾病用医薬品の指定を受けており、同年11月に承認申請を行いました。

 代表取締役社長 COOの奥田 修は、「視神経脊髄炎スペクトラム障害は、予測できない重度の発作により失明や運動機能障害などにつながる恐れがあり、治療選択肢の限られたアンメットメディカルニーズの高い慢性自己免疫疾患です。エンスプリングは、視神経脊髄炎スペクトラム障害の主な原因であるとされるIL-6のシグナル伝達を阻害する新規の作用機序を有する抗体医薬品であり、高い再発抑制効果が示されています」と述べるとともに、「加えて、エンスプリングは当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用しており、4週1回の皮下投与による利便性の高い治療が可能です。本剤が視神経脊髄炎スペクトラム障害に対する新しい治療選択肢として、患者さんの治療に広く貢献できることを確信しています」と語っています。

 本承認は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)を対象に実施された第III相国際共同治験SAkuraSky試験(NCT02028884)およびSAkuraStar試験(NCT02073279)の成績に基づいています。SAkuraSky試験はエンスプリング皮下投与と免疫抑制剤によるベースライン治療との併用療法、SAkuraStar試験はエンスプリング皮下投与の単剤療法の試験です。

 エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用しています。NMOSDの主な原因であるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制するとされています。エンスプリングはカナダで世界で初めて承認されました。日本では視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連疾患を対象として希少疾病用医薬品の指定を受け、欧州および米国においても同じ疾患群に対して希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、2018年12月には米国食品医薬品局(FDA)からBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けました。2019年に欧州医薬品庁(EMA)およびFDAより承認申請が受理され、日本においても同年11月に厚生労働省に承認申請を行いました。

※添付文書の記載について
【効能又は効果】
視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

【効能又は効果に関連する注意】

  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)※の患者に使用すること。
    ※「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」(日本神経学会)を参考にすること。
  • 抗アクアポリン4(AQP4)抗体陰性の患者において有効性を示すデータは限られている。本剤は、抗AQP4抗体陽性の患者に投与すること。

【用法及び用量】
通常、成人及び小児には、サトラリズマブ(遺伝子組換え)として1回120mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。

【用法及び用量に関連する注意】

  • 本剤の投与が予定から遅れた場合は、可能な限り速やかに投与を行い、以降は、その投与を基点とし、当初の投与間隔どおりに投与すること。
  • 本剤を一定期間投与後、再発の頻度について検討し、再発の頻度の減少が認められない等、本剤のベネフィットが期待されないと考えられる患者では、本剤の投与中止を検討すること。
  • 小児患者では、臨床試験で組み入れられた患者の体重を考慮して、投与の可否を検討すること。

【参考情報】

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について

 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDの3分の2以上の患者さんでは、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています1-4。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります5-9。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています10

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  2. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  3. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  4. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  5. Chihara N, Aranami T, Sato W et al. Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica. Proc Natl Acad Sci USA 2011;108:3701-6.
  6. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010;40:1830-5.
  7. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016;126:1051-60.
  8. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016;4(1):e311.
  9. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013;19:1584-96.
  10. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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