2019年09月13日

サトラリズマブが厚生労働省より視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連疾患に対する希少疾病用医薬品に指定

  • サトラリズマブの単剤およびベースライン治療との併用療法でそれぞれ有効性および安全性を示した2本の第III相国際共同治験(SAkuraStar試験、SAkuraSky試験)に基づく指定

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、開発中のヒト化pH依存的結合性IL-6受容体モノクローナル抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)が、厚生労働省より「視神経脊髄炎及び視神経脊髄炎関連疾患」に対する希少疾病用医薬品の指定を受けたことをお知らせいたします。今回の指定は、単剤およびベースライン治療との併用療法それぞれで有効性および安全性を示した、2本の第III相国際共同治験(SAkuraStar試験、SAkuraSky試験)に基づきます。

 上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「指定難病の視神経脊髄炎を含む視神経脊髄炎スペクトラムは、治療選択肢が限られ、アンメットメディカルニーズの高い自己免疫疾患です。サトラリズマブは、当社独自のリサイクリング抗体技術により、病態に深くかかわっているとされるIL-6シグナル伝達を効果的に阻害するようデザインされています」と述べるとともに、「単剤、併用療法の両方で効果が確認されたサトラリズマブを一日も早く患者さんご提供できるよう、承認申請に向けて準備を進めてまいります」と語っています。

【参考情報】
サトラリズマブの視神経脊髄炎関連疾患に対する第III相国際共同治験の成績を欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2018で発表(2018年10月15日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181015120001_772.html

視神経脊髄炎スペクトラムに対するサトラリズマブの2つ目の第III相国際共同治験のポジティブな成績を欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2019で発表(2019年9月12日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20190912140300_873.html

サトラリズマブについて
 サトラリズマブは中外製薬が創製した、ヒト化pH依存的結合性IL-6受容体モノクローナル抗体で、リサイクリング抗体技術を利用しています。視神経脊髄炎スペクトラム(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder:NMOSD)の病態に深くかかわっているとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されています。NMOSDの患者さんを対象とした2つの第III相国際共同治験において、ベースライン治療に対する上乗せ投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。米国および欧州では希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、2018年12月に米国食品医薬品局からBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けました。

視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)について
 NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、生涯にわたって衰弱を引き起こします。NMOSDの患者さんは、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDは病原性の抗体であるAQP4抗体に関わっているとされています。AQP抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的としており、視神経や脊髄、脳に炎症を引き起こすことが知られています。またAQP4抗体はNMOSDの患者さんの3分の2で認められます1-4。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります5-8。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの診断基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています9。NMOSDに対する日本語訳として視神経脊髄炎スペクトラムや視神経脊髄炎関連疾患等が用いられています。

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について
 医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、又は、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等、医療上の必要性が高いこと、対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることが必要とされています。

出典

  1. Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  2. Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  3. Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  4. Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  5. Kimura A, Kishimoto T. IL-6: regulator of Treg/Th17 balance. Eur J Immunol 2010;40:1830-5.
  6. Lin J, Li X, Xia J. Th17 cells in neuromyelitis optica spectrum disorder: a review. Int J Neurosci2016;126:1051-60.
  7. Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur AC, et al. Effects of neuromyelitis optica-IgG at the blood-brain barrier in vitro. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2016;4(1):e311.
  8. Obermeier B, Daneman R, Ransohoff RM. Development, maintenance and disruption of the blood-brain barrier. Nat Med 2013;19:1584-96.
  9. Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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