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2018年10月15日

サトラリズマブの視神経脊髄炎関連疾患に対する第III相国際共同治験の成績を欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2018で発表

-サトラリズマブがベースライン治療に対する上乗せ投与により再発リスクを有意に減少-

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、承認された治療薬のない疾患である視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)を対象として開発中のヒト化抗IL-6受容体リサイクリング抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)について、ドイツ・ベルリンで開催された欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2018(10月10~12日)で、第III相国際共同治験SAkuraSky試験(NCT02028884)の結果を発表したことをお知らせいたします。

 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 免疫研究部 特任研究部長 山村 隆先生は、「このたび発表されたサトラリズマブの主要第III相臨床試験成績は、再発リスクの有意な減少を示し、NMOSD治療の可能性を大きく開くものです」と述べたうえで、「NMOSDは再発を繰り返す患者さんが多く、永続的な運動機能障害や感覚障害を経て、車椅子による生活や失明に至ることもあります。この疾患の患者さんには、現在承認された治療選択肢がありません。医学界は、開発中の新薬であるサトラリズマブがこれらの症状を軽減し、患者さんの生活に改善をもたらすことを期待しています」。

 本試験の主な成績は以下の通りです。

  • 免疫抑制剤に対するサトラリズマブの上乗せ投与は、NMOSDの患者さん(抗アクアポリン4[AQP4:aquaporin-4]抗体陽性/陰性をいずれも含む)における再発リスクを62%減少させ、統計学的な有意差をもって主要評価項目(二重盲検期間における治験計画書に規定された初回再発までの期間)を達成しました(ハザード比:0.38[95%信頼区間:0.16-0.88]、p=0.0184[層別log-rank検定])。治験開始48週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で88.9%、プラセボ群で66.0%であり、治験開始96週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で77.6%、プラセボ群で58.7%でした。
  • 事前に規定されたサブグループ解析の結果、サトラリズマブは抗AQP4抗体陽性群において、プラセボ群と比較し再発リスクを79%減少させました(N=55、ハザード比:0.21[95%信頼区間:0.06-0.75])。抗AQP4抗体陽性群において、治験開始48週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で91.5%、プラセボ群で59.9%であり、治験開始96週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で91.5%、プラセボ群で53.3%でした。サトラリズマブは抗AQP4抗体陰性群において、プラセボ群と比較し再発リスクを34%減少させました(N=28、ハザード比:0.66[95%信頼区間:0.20-2.23])。抗AQP4抗体陰性群において、治験開始48週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で84.4%、プラセボ群で75.5%であり、治験開始96週時点の無再発率は、サトラリズマブ群で56.3%、プラセボ群で67.1%でした。
  • サトラリズマブは約2年間の治療期間(平均値)を通じて良好な安全性プロファイルを示しました。重篤な感染症を含む重篤な有害事象の生じた患者の比率は、サトラリズマブ群とプラセボ群で同様であり、死亡およびアナフィラキシー反応は認められませんでした。

 上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康は、「このたびのサトラリズマブの良好な第III相試験成績は、IL-6阻害がNMOSD治療における有効なアプローチであることを示すものです」と述べるとともに、「NMOSDは、症状の進行により失明や運動機能の障害につながり、承認された治療薬もない、アンメットニーズの高い疾患です。この重篤な疾患に対し、サトラリズマブを治療選択肢として世界の患者さんにお届けできるよう、引き続き努力いたします」と語っています。

SAkuraSky試験

概要:
NMOSDを対象として、サトラリズマブをベースライン治療に上乗せ投与した際の有効性および安全性を評価した多施設共同第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験
<主要評価項目>
二重盲検期間における治験計画書に規定された初回再発(独立委員会により判定)までの期間
<主な副次的評価項目>
疼痛用Visual Analogue Scale(VAS)スコアの変化
Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(FACIT)疲労尺度スコアの変化
試験デザイン:
  • 13~73歳の男女83例をランダム化
  • 患者を1:1の割合で以下の2群のいずれかに無作為に割り付け、ベースライン治療に加え、サトラリズマブ(120mg)またはプラセボを0、2および4週目、その後は4週間隔で皮下投与する。ベースライン治療は、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチルもしくは経口ステロイドの単剤療法、または、経口ステロイドとアザチオプリンもしくはミコフェノール酸モフェチルの併用療法。
  • 二重盲検期間は、治験計画書規定の再発の総数が26件に達した段階で終了する。二重盲検期間終了後は、非盲検継続投与期間に移行し、両群ともサトラリズマブにより治療を継続することができる。
  • 視神経脊髄炎(NMO:Neuromyeritys Optica)又はNMOSD(それぞれ2006年、2007年に提唱)の診断基準に合致した患者を組み入れる。ただしNMOSDの症例は抗AQP4抗体陽性を対象とする。

視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)について

視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD: Neuromyeritys Optica spectrum Disorder)は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、生涯にわたって衰弱を引き起こします。NMOSDの患者は、症状の繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDは、アクアポリン4に対するIgG型自己抗体が中枢神経系に侵入することで発症すると考えられていますが、NMOSDの患者さんのうち、3分の1には抗AQP4抗体の発生が認められません。炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎(NMO)の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの診断基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています。

出典

  • Jarius S, Ruprecht K, Wildemann B et al. Contrasting disease patterns in seropositive and seronegative neuromyelitis optica: A multicentre study of 175 patients. J Neuroinflammation 2012;9:14.
  • Lennon VA, Wingerchuk DM, Kryzer TJ et al. A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis. Lancet 2004;364:2106-12.
  • Marignier R, Bernard-Valnet R, Giraudon P et al. Aquaporin-4 antibody-negative neuromyelitis optica: Distinct assay sensitivity-dependent entity. Neurology 2013;80:2194-200.
  • Takahashi T, Fujihara K, Nakashima I et al. Anti-aquaporin-4 antibody is involved in the pathogenesis of NMO: a study on antibody titre. Brain 2007;130:1235-43.
  • Wingerchuk DM, Lennon VA, Pittock SJ, et al. Revised diagnostic criteria for neuromyelitis optica. Neurology 2006;66:1485-9.
  • Wingerchuk DM, Lennon VA, Lucchinetti CF, et al. The spectrum of neuromyelitis optica. Lancet Neurol 2007;6:805 15.
  • Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85:177-89.

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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