2018年05月18日
第III相臨床試験「IMpower150試験」において、テセントリク®とアバスチン®、カルボプラチン、パクリタキセルの併用は、 アバスチンとカルボプラチン、パクリタキセルの併用に比べ特定の転移性肺癌における生存期間の延長を示す
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているF. ホフマン・ラ・ロシュ社が5月17日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることをご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/store/releases/med-cor-2018-05-17.htmをご覧ください。
・PD-L1発現状況による層別化グループをはじめ、EGFR遺伝子変異およびALK融合遺伝子、肝転移など、事前に規定された全てのサブグループ解析において、テセントリクおよびアバスチン、化学療法の併用療法は生存期間延長のベネフィットを示す
・本データは米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、6月4日(現地時間)に発表予定
ロシュは17日、テセントリク®(アテゾリズマブ)とアバスチン®(ベバシズマブ)にカルボプラチンおよびパクリタキセル(化学療法)を併用した転移性非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療について、第III相臨床試験であるIMpower150試験の良好な成績を発表しました。今回の中間解析結果では、テセントリクとアバスチンにカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用した群において、アバスチンとカルボプラチンおよびパクリタキセルの併用群(テセントリク非併用群)に比べ、主要評価項目の一つであるEGFR遺伝子変異またはALK融合遺伝子陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)における生存期間の延長を示しました(生存期間[OS]中央値=19.2カ月 vs 14.7カ月; ハザード比[HR]= 0.78、95% CI: 0.64-0.96、層別log-rank検定; p=0.016)。OSの延長は、事前に規定された探索的バイオマーカーにより選別されたサブグループに共通して認められました。これらのサブグループは、EGFR遺伝子変異またはALK融合遺伝子を有し、適切な分子標的治療を既に実施した患者群、PD-L1発現状況によって層別化された患者群、PD-L1の発現が認められない患者群を含みます。加えて、肝転移を有する患者群においても、テセントリクを含む併用群はOSの延長を示しました。テセントリクとアバスチンにカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用した際の安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されませんでした。
今回の中間解析の時点では、テセントリクにカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用した群(A群)は、アバスチンにカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用した群(C群)と比較し、統計学的に有意なOSの延長が示されなかったため、事前の計画通り、A群は今後最終解析の実施まで継続する予定です。テセントリクおよび化学療法併用における安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されませんでした。
本試験成績は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、現地時間の6月4日午後3時45分-午後3時57分に開催されるセッションにおいて公式発表される予定です(抄録番号:9002)。
OSに関する成績の概要 | ||||
B群(テセントリク+アバスチン+化学療法)vs C群(アバスチン+化学療法) | ||||
母集団 | 患者数 | ハザード比(95% CI) | OS中央値(月) | |
B群 | C群 | |||
ITT-WTa | 696 | 0.78(0.64, 0.96) | 19.2 | 14.7 |
ITT | 800 | 0.76(0.63, 0.93) | 19.8 | 14.9 |
EGFR/ALK陽性 | 104 | 0.54(0.29, 1.03) | NR | 17.5 |
肝転移b | 94 | 0.54(0.33, 0.88) | 13.2 | 9.1 |
ITT-WT群におけるサブグループ | ||||
TC1/2/3 または IC1/2/3 | 357 | 0.77(0.58, 1.04) | 22.5 | 16.4 |
TC0 および IC0 | 339 | 0.82(0.62, 1.08) | 17.1 | 14.1 |
Teff-highc
|
285 | 0.83(0.59, 1.17) | 25.0 | 16.7 |
Teff-low | 377 | 0.78(0.60, 1.02) | 17.6 | 14.3 |
TC: 腫瘍細胞、IC: 腫瘍浸潤免疫細胞、NR: 未達
a WT(野生型)集団はEGFR遺伝子変異またはALK融合遺伝子を有する患者を除く
b ベースライン時点
c T細胞活性調整因子の遺伝子発現
TC1/2/3 または IC1/2/3: TCまたはICにおけるPD-L1の発現が1%以上、TC0およびIC0: TCおよびICにおけるPD-L1の発現が1%未満 |
IMpower150試験の詳細については、2018年3月26日発表のプレスリリースをご参照ください:https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20180326170000_34.html
TECENTRIQ(国内製品名:テセントリク®)について
・国内では、本年1月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症において承認を取得し、4月に発売しました。また、本年3月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用(一次治療)」を予定適応として、承認申請を行っています。
・国内添付文書の【効能・効果】の記載について
【効能・効果】の<効能・効果に関連する使用上の注意>として、以下の通り記載されています。
- 化学療法未治療患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
AVASTIN(国内製品名:アバスチン®)について
・国内では、2007年4月に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症について承認を取得しています。
・上記に加え、「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」ならびに「手術不能又は再発乳癌」、「悪性神経膠腫」、「卵巣癌」、「進行又は再発の子宮頸癌」を合わせ、6つの癌種における適応を現在有しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
以上
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