2026年04月06日
ネパールへき地集落における医療アクセス向上への支援
2025年活動報告
グローバルヘルス
中外製薬は2025年より、特定非営利活動法人AMDA社会開発機構(以下:アムダマインズ)*1が実施しているネパールの丘陵地へき地集落における医療アクセスの向上を目的とした以下の活動を支援しています。
- 背景
ネパール極西部カイラリ郡のチュレ地区(人口2.5万人)は、丘陵地に位置しており、カイラリ郡の中でも極めて交通の便が悪く医療サービスへのアクセスが特に乏しい地区です。このような状況を踏まえ、専門の医療チームが集落を訪れ「取り残された人々」の健康増進に取り組みました。
- 活動内容
2025年12月、3カ所のへき地集落において女性と子どもを対象としたヘルスキャンプを実施し、ネパール西部の基幹病院であるネパールガンジ医科大学病院の協力のもと、医療チームを集落に派遣しました。超音波検査装置、子宮頸がん精密検査キット、顕微鏡などの臨床検査機器一式をキャンプ会場に設置し、また、子宮頸がん、乳がんを含む婦人科疾患を適切に診療できる体制を整えるなど、通常では都市部の病院でしか受けることができない医療サービスを集落内で無償提供しました。
- 成果
- 医療アクセスへの貢献
ヘルスキャンプを通じて、女性患者の多くが子宮内のトラブルを抱えていることが判明しました。その背景には違法に入手し、個人判断で服薬した妊娠中絶薬が影響していることも明らかになりました。また、乳がんや子宮頸がんの疑いがある患者も散見され、早期発見によって確実に治療へとつなげる体制の必要性があらためて浮き彫りとなりました。このようなへき地集落でヘルスキャンプを開催することによって、日常的に医療サービスと接することが少ない地域住民に対し、それがどのようなものであるかを具体的に示し、啓発する機会を提供できました。これにより、医療に対する精神的なバイアスを少なくし、必要な医療サービスを利用しようとする行動変容を促すことにもつながりました。
主な成果
・超音波検査、子宮頸がん検査、臨床検査などを無償提供
・受診者669名(うち婦人科393名)、超音波検査327件、子宮頸がん検査255件
・精密な検査と治療が必要な患者77名を総合病院へ紹介 - 患者教育
ヘルスキャンプを実施した地域では、アムダマインズが「コミュニティ女性ヘルスボランティア」(以下、ボランティア)に対する母子保健研修を行っています。保健行政より任命を受け、集落レベルで活動しているボランティアが中心となって、地域の女性たちに対する啓発活動を促進しています。ヘルスキャンプ当日には、ボランティアとアムダマインズのスタッフが会場に常駐し、受付やカウンセリング業務を補佐しながら、受診者一人ひとりの理解度や不安に応じた保健医療情報を提供しました。特に、がん検診の知識や受診経験には大きな幅があり、不安を抱える女性も少なくなかったことから、画一的な説明ではなく個々の状況に応じた丁寧な啓発を心がけました。 - 医療スタッフ教育
ヘルスキャンプ対象地域内には9カ所の公的保健医療施設があり、アムダマインズは同施設に勤務する助産師に対し、妊婦検診にかかる超音波検査実施研修を実施してきました。その学びを実地で定着・発展させることを目的に「オンサイトコーチング」をキャンプに導入し、同研修を受講した助産師が、医療チームの専門医補助として、実際の診療に参画する場を設けました。これにより、超音波検査技術の向上が図られるとともに、公的保健医療施設における保健医療サービスの質や、人材育成の継続性の向上にもつながる成果が得られました。
医療チームと公的保健医療施設の医療関係者
受付にできた長蛇の列
問診風景
超音波検査の様子