2026年03月04日
カンボジアにおける遠隔眼科検診プロジェクト 2025年活動報告
~失明予防のための医療アクセス改善、患者教育とスタッフ育成による持続可能な医療の実現~
カンボジアでは、眼科医療へのアクセスが都市部に偏り、地方住民が適切な診療を受けることが難しい状況が続いています。白内障は失明の主な原因として特に深刻で、早期発見と治療が急務とされています。この問題に取り組むため、中外製薬は特定非営利活動法人AMDA社会開発機構*¹及び、一般社団法人en Vision*²との連携により、地方の住民にも質の高い眼科医療を届けるプロジェクトへ2023年以降継続して支援を行ってきました。
【プロジェクトの背景】
カンボジアにおける失明有病率は、一般人口で0.37%、50歳以上では2.5%と推計され、人口増加と高齢化の進展、平均寿命の延伸によって、失明者数は今後も増加していくことが予測されています。失明の原因の92.2%は回避可能であり、そのうち80.9%は治療可能、11.3%は予防可能です。しかし、眼科医のおよそ6割が首都プノンペンに集中しており、それ以外の地域では深刻な眼科医不足が問題となっています。人口100万人あたりの眼科医数は5.12人であり、WHO(世界保健機関)が推奨する10人の半分ほどです。このような背景からカンボジアでは、遠隔検診システムを活用した眼科検診が求められていまます。*³
【プロジェクトの詳細】
◆患者教育
検診の待機時間を活用し、以下の内容の啓発ビデオを上映することで、主要な眼疾患に関する正しい知識の普及を図りました。
- 白内障:進行症状と手術治療の有効性
- 糖尿病網膜症:血糖管理および定期検診の重要性
- 翼状片・外傷:紫外線対策と予防方法
◆医療スタッフ教育
検査機器の操作方法や患者対応に関するトレーニングを実施しました。
【成果】
- 検診時間を初年度約35分から2025年度には約16分まで短縮することができました。
- 看護師および医学生が参加、僻地医療の実地経験を得る機会を提供することができました。
2025年度は5日間で214名が検診に参加し、そのうち64名(約30%)が要受診と判定されました。さらに、22名が実際に専門病院を受診し、白内障手術19件、翼状片手術1件を含む治療が行われました。
検診結果では白内障が最も多く確認され、重度8.1%、中等度27.1%だったという結果からも、早期の治療介入の重要性が明らかとなりました。検診待機時間に啓発教材を視聴した参加者全員が「眼の健康に対する意識が向上した」と回答し、再度の検診を希望する率は100%に達しました。
検診の実施風景
提供:一般社団法人en Vision
提供:一般社団法人en Vision
カンボジアにおける遠隔眼科検診プロジェクトは、地方の医療アクセス改善に向けた大きな一歩となり多くの住民にとっての希望の光となっています。これからも眼科医療へのアクセスのさらなる充実に向け、この取り組みを支援して参ります。
【参照】
*1 特定非営利活動法人AMDA社会開発機構 https://www.amda-minds.org/
*2 一般社団法人en Vision https://www.envision.or.jp/blank-1
*3 The National Strategic Plan For Blindness Prevention & Control 2021 - 2030
2023年 カンボジアにおける眼科検診プロジェクトの活動報告:
カンボジアにおける遠隔検診システムを活用した眼科検診プロジェクトの実施~白内障などの発見・治療に貢献~ (2023年12月29日)
2024年 カンボジアにおける眼科検診プロジェクトの活動報告:
カンボジアにおける遠隔眼科検診プロジェクト~失明予防への新たな挑戦、カンボジアの地方医療に光を~ (2025年02月03日)