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2025年12月22日
- 医薬品
- 研究開発
テセントリク、希少がんである胸腺がんに対する適応拡大の承認を取得
- 切除不能な胸腺がんに対する、国内で初めて承認された免疫チェックポイント阻害剤
- 一次治療として、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセル)にテセントリクを併用する治療法を評価した、医師主導の国内第II相臨床試験の成績に基づく承認
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗悪性腫瘍剤/抗 PDL1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク®点滴静注」[一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)]について、「切除不能な胸腺がん」に対する適応拡大の承認を、本日、厚生労働省より取得したことをお知らせいたします。テセントリクは、2025年3月31日に同適応症に対する希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省より受けており、同年5月14日に承認申請を行い、優先審査が進められていました。
代表取締役社長CEOの奥田 修は、「切除不能な胸腺がんに対する新たな治療選択肢として、テセントリクをお届けできることを大変嬉しく思います。本疾患は有効な治療法が限られており、新たな治療薬の開発が望まれていました。テセントリクが胸腺がんの患者さんの治療に貢献できるよう、迅速な適正使用情報の提供に努めてまいります」と語っています。
今回の承認は、切除不能な胸腺がんに対し、一次治療としてテセントリクとカルボプラチン、パクリタキセルの併用療法における有効性および安全性を評価した医師主導の国内第II相臨床試験であるMARBLE試験の成績に基づいています。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
電子化された添付文書情報 ※関係部分を抜粋
効能又は効果:切除不能な胸腺癌
用法及び用量:
〈効能共通〉アテゾリズマブ(遺伝子組換え)の初回投与時は60分かけて点滴静注し、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
〈切除不能な胸腺癌〉カルボプラチン及びパクリタキセルとの併用において、通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1200mgを3週間間隔で点滴静注する。
【参考情報】
テセントリク、胸腺がんに対する適応拡大申請(2025年5月14日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20250514153000_1486.html
MARBLE試験について1
MARBLE試験(jRCT2031220144)は、20歳以上の切除不能または進行再発の胸腺がんの患者さんを対象に、テセントリクとカルボプラチン、パクリタキセルとの併用療法における有効性と安全性を評価した、医師主導の多施設共同非盲検単群国内第II相臨床試験です。本試験では、48名の患者さんにおいて安全性・有効性が検討されました。主要評価項目は奏効割合で、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性等でした。
胸腺がんについて
胸腺がんは、Tリンパ球の成熟に重要な役割を果たす胸腺上皮に由来する悪性の胸腺上皮性腫瘍です。日本人における年間発症数は、10万人あたり0.29人と推定されています2。切除不能例の予後は良好とは言えず、新たな治療薬の開発が望まれています。
テセントリクについて3
テセントリクは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。テセントリクはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられています。国内では、2018年4月に発売し、非小細胞肺がんをはじめ6つのがん種(進展型小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、胞巣状軟部肉腫、節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型)で承認を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典
- Shukuya T, et al. Activity and safety of atezolizumab plus carboplatin and paclitaxel in patients with advanced or recurrent thymic carcinoma (MARBLE): a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2025 Mar;26(3):331-342.
- Koizumi T, et al. National incidence and initial therapy for thymic carcinoma in Japan: based on analysis of hospital based cancer registry data, 2009-2015. Jpn J Clin Oncol. 2020;50(4):434 9.
- テセントリク点滴静注840mg・1200mg. 電子化された添付文書(2025年12月改訂、第12版)
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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