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2025年05月14日
- 医薬品
- 研究開発
テセントリク、胸腺がんに対する適応拡大申請
- 切除不能な胸腺がんに対する初回治療として、標準的に用いられているカルボプラチンとパクリタキセルにテセントリクを併用して評価する医師主導の国内第II相臨床試験の成績に基づく適応拡大申請
- 希少疾病用医薬品として優先審査の対象
- 承認されれば、テセントリクは胸腺がんに対する国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる見込み
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク®点滴静注」[一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)]について、胸腺がんに対する適応拡大の申請を、本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。テセントリクは、本年3月31日に同適応症に対する希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省より受けており、優先審査の対象となります。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「希少がんである胸腺がんは、再発すると予後不良なため、新たな治療薬の開発が望まれています。標準的に用いられている化学療法との併用において、良好な有効性を示したテセントリクを、胸腺がんの新たな治療薬として患者さんに1日でも早くお届けできるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。
今回の適応拡大申請は、切除不能な胸腺がんに対し、一次治療としてテセントリクとカルボプラチン、パクリタキセルの併用療法における有効性および安全性を評価した医師主導の国内第II相臨床試験であるMARBLE試験の成績に基づいています。本試験において、主要評価項目である奏効割合は56.3%(95%信頼区間:41.2~70.5)でした。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパチー、脱毛症、便秘、貧血、白血球数減少、悪心、斑状丘疹状皮疹、好中球減少症、好中球数減少、食欲減退、倦怠感、関節痛でした。本試験で認められた安全性は各薬剤でこれまでに認められている安全性プロファイルと同様でした。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
MARBLE試験について1
MARBLE試験(jRCT2031220144)は、20歳以上の切除不能または進行再発の胸腺がんの患者さんを対象に、テセントリクとカルボプラチン、パクリタキセルとの併用療法における有効性と安全性を評価した、医師主導の多施設共同非盲検単群国内第II相臨床試験です。本試験では、48名の患者さんにおいて安全性・有効性が検討されました。主要評価項目は奏効割合で、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性等でした。
胸腺がんについて
胸腺がんは、Tリンパ球の成熟に重要な役割を果たす胸腺上皮に由来する腫瘍である胸腺上皮性腫瘍のうち、細胞異形を伴うもので、日本人における年間発症数は、10万人あたり0.29人と推定されています2。切除不能例の予後は良好とは言えず、新たな治療薬の開発が望まれています。
テセントリクについて
テセントリクは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害します。テセントリクはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられています。国内では、2018年4月に発売し、非小細胞肺がんをはじめ5つの適応症(進展型小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、胞巣状軟部肉腫)で承認を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典
- Takehito S, et al. Activity and safety of atezolizumab plus carboplatin and paclitaxel in patients with advanced or recurrent thymic carcinoma (MARBLE): a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2025 Mar;26(3):331-342.
- Koizumi T, et al. National incidence and initial therapy for thymic carcinoma in Japan: based on analysis of hospital based cancer registry data, 2009-2015. Jpn J Clin Oncol. 2020;50(4):434 9.
以上
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