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2025年10月21日

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アレセンサ、ALK陽性転移性非小細胞肺がんにおいて全生存期間の中央値を80カ月以上に延長

  • 国際共同第III相ALEX試験の最終結果により、未治療のALK陽性進行非小細胞肺がんの患者さんにおいて、アレセンサによる一次治療は81.1カ月の生存期間中央値と、奏効期間の中央値は42.3カ月を達成し、臨床的に意義のある長期生存効果が引き続き示された1
  • 国際共同第III相ALINA試験の最新結果により、ALK陽性非小細胞肺がんを完全切除した患者さんに対する標準療法としてアレセンサの役割の重要性が改めて示された2

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、10月20日、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ(一般名:アレクチニブ塩酸塩)について、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした国際共同第III相ALEX試験(NCT02075840)の最終データ、および国際共同第III相ALINA試験(NCT03456076)の最新結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO:European Society for Medical Oncology)2025 年次総会で発表されたことを、お知らせします1, 2

 ALEX試験の副次的評価項目である全生存期間(OS)の最終的な解析では、アレセンサの生存期間中央値は81.1カ月であったのに対し、クリゾチニブは54.2カ月でした(ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.56-1.08)1
 この生存期間の優位性は中枢神経系転移を含む、すべてのサブグループで一貫していました1。奏効期間の中央値は、アレセンサがクリゾチニブと比較して約4倍長く(42.3カ月 対 11.1カ月、ハザード比:0.41、95%信頼区間:0.30-0.56)、安全性プロファイルはアレセンサの既知のプロファイルと一致していました。主な有害事象(30%以上)は便秘(40.1%)であり、アレセンサの投与期間中央値はクリゾチニブと比較して長期にわたったにもかかわらず(28.1カ月 対 10.8カ月)、新たな、または予期せぬ安全性シグナルは認められませんでした1

 ESMO 2025では、ALINA試験(NCT03456076)の最新結果も発表されました。ALINA試験は、切除可能なステージIB~IIIA(UICC/AJCC第7版)のALK陽性NSCLCを対象とした、有効性が示されたALK阻害薬の第III相試験です。主要解析において、アレセンサは化学療法と比較して有意な無病生存期間(DFS)の延長効果を示しました(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.13-0.43、p<0.001)2
 4年間にわたる追跡調査の結果、ステージII~IIIAおよびステージIB~IIIA(ITT:intent-to-treat)の患者群において、アレセンサは化学療法と比較してDFSの改善効果が継続していました。アレセンサは、完全切除されたステージII~IIIAのALK陽性NSCLCにおいて、プラチナ製剤ベースの化学療法と比較して再発または死亡のリスクを64%低減し(ハザード比:0.36、95%信頼区間:0.23-0.56)、完全切除されたステージIB~IIIAのALK陽性NSCLCのITT集団では65%低減させました(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.23-0.54)。このDFSの改善効果は、各サブグループで一貫して示され、CNSにおけるDFSの臨床的に意義のある改善効果も維持されていました。安全性については、主要解析と一致しており、新たな安全性の懸念や予期せぬ問題は確認されませんでした2

ALEX試験について3

 ALEX試験(NCT02075840/B028984)は、未治療のALK陽性NSCLCを対象に、アレセンサ(アレクチニブ)とクリゾチニブの有効性と安全性を評価する無作為化、多施設共同、非盲検第III相試験です。患者さんはアレセンサ、またはクリゾチニブのいずれかを1:1の割合で無作為に割り当てられました。病勢進行前の群間交差(別の治療薬への変更)は認められていませんでした。ALEX 試験では、アレクチニブを1回600mg、1日2回経口投与されており、国内で承認されている用法及び用量とは異なります。
 ALEX試験の主要評価項目は、治験責任医師による評価に基づく無増悪生存期間(PFS)です。副次的評価項目には、独立審査委員会による評価に基づくPFS、中枢神経系進行までの期間、客観的奏効率(RECISTの基準による定義)、奏効期間、全生存期間、健康関連生活の質、および安全性が含まれます。この多施設共同試験は、31カ国161施設にわたる303人を対象に実施されました。

ALINA試験について4

 ALINA試験(NCT03456076)は、無作為化、実薬対照、多施設共同、非盲検第III相試験で、切除された病期IB(腫瘍≥4cm)からIIIA(UICC/AJCC第7版)のALK陽性NSCLCにおける、アレセンサの術後補助療法とプラチナ製剤ベースの化学療法との有効性および安全性を比較評価するものです。この試験には257名の患者さんが登録され、アレセンサ群または化学療法群にランダムに割り付けられました。主要評価項目は無病生存期間です。副次的評価項目には、全生存期間および有害事象が発現した患者さんの割合が含まれています。

アレセンサについて
 アレセンサは中外製薬で創製された、ALKに対する選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。ALK融合遺伝子陽性肺がんはNSCLCの約3-5%に見られるとされています5。同剤はすでに、日本、米国、欧州、中国、台湾を含む世界100カ国以上でALK融合遺伝子陽性の転移性NSCLCに対する一次治療および二次治療に対して承認されています。ALK融合遺伝子陽性NSCLCの術後補助療法としては、2024年4月に米国で承認を受け、続けて欧州では同年6月に、日本では同年8月にそれぞれ承認されています。日本では、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」に対して承認を取得しています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Mok T, et al. Final overall survival (OS) and safety analysis of the phase 3 ALEX study of alectinib vs crizotinib in patients with previously untreated, advanced ALK-positive (ALK+) non-small cell lung cancer (NSCLC). Presented at: ESMO Congress; 2025 October 17-21; Berlin, Germany. Abstract #LBA73
  2. Dziadziuszko R, et al. Updated results from the phase III ALINA study of adjuvant alectinib vs chemotherapy (chemo) in patients (pts) with early-stage ALK+ non-small cell lung cancer (NSCLC). Presented at: ESMO Congress; 2025 October 17-21; Berlin, Germany. Abstract #1787MO.
  3. ClinicalTrials.gov. A study comparing alectinib with crizotinib in treatment-naive anaplastic lymphoma kinase-positive advanced non-small cell lung cancer participants (ALEX) [Internet; cited 2025 October]. Available from:
    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02075840.
  4. ClinicalTrials.gov. A Study Comparing Adjuvant Alectinib Versus Adjuvant Platinum Based Chemotherapy in Patients With ALK Positive Non-Small Cell Lung Cancer. [Internet; cited 2025 October]. Available from:
    https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT03456076
  5. 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK融合遺伝子検査の手引き第4.0版

以上

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