中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2025年10月01日
- 医薬品
- 研究開発
ピアスカイ、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する台湾で初の皮下投与製剤として発売
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社の100%子会社である台湾中外製薬股份有限公司(本社:台北市、董事長:羽原 裕二、以下CPT)が、当社創製のピアスカイ®について、「発作性夜間ヘモグロビン尿症患者(PNH)(13歳以上、かつ体重40kg以上)」を効能・効果として、台湾で初の皮下投与製剤として10月1日に発売したことをお知らせいたします。ピアスカイは未治療およびC5阻害剤による治療を受けたことのある患者さんに対して承認された台湾で初めての皮下投与製剤です。台湾ではPNHは希少疾病に指定されており、ピアスカイは2025年4月24日に衛生福利部(MoHW:Ministry of Health and Welfare)により希少疾病用医薬品に指定され、2025年5月19日に台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA:Taiwan Food and Drug Administration)より希少疾病用医薬品として輸入販売承認を受けています。
CPT董事長の羽原 裕二は、「台湾においてPNHの新規治療薬としてピアスカイを発売できることを大変嬉しく思います。ピアスカイは中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術を適用し、低用量で持続的な効果の発揮が期待できます。PNHの治療は長期に亘り、治療法も限られています。皮下投与という新たな治療オプションにより、患者さんやご家族の負担軽減およびQOL向上への貢献を目指してまいります」と語っています。
【参考情報】
ピアスカイ、台湾において発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する初の皮下投与薬として承認取得(2025年5月19日ニュースリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20250519153000_1480.html
ピアスカイについて
ピアスカイは、中外製薬独自のリサイクリング抗体TM技術を用い、当社が創製した抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。加えて、表面電荷改良技術を導入することにより抗原の血中からの消失速度を高め、従来のリサイクリング抗体よりも抗原を効率的に中和することで、投与量の低減を可能にしています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、少ない投与量での4週ごとの皮下投与による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。ピアスカイは既存薬とは異なる部位でC5に結合することから、既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人においてはPNH患者さんの約3.2%)においても有効な治療選択肢となり得ます1,2。
本剤は、日本において2024年3月にPNHに対して承認後、同年5月より販売されています。米国では2024年6月に、欧州では同年8月に承認を取得しています。加えて、非典型溶血性尿毒症症候群の開発を行っています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について
PNHは、PIG-A遺伝子を含むGPI アンカー合成に関わる遺伝⼦に変異を有する造血幹細胞がクローン性に拡大して生じる、補体介在性 ⾎管内溶⾎を主徴とする造血幹細胞疾患です3。ヘモグロビン尿、血栓症などPNH特有の溶血に起因する症状と、再生不良性貧血と同様の造血不全症状の二面性を持ちますが、症状は患者さんにより異なります。合併症として、慢性腎臓病、肺高血圧症等を併発する場合があります。日本では指定難病の一つ(指定難病62)に数えられる希少な疾患であり、同疾患の令和5年度末の医療受給者証保持者数は、1,121人でした4。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralization of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.
- Nishimura J et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9.
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版.
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)衛生行政報告例 / 令和5年度衛生行政報告例 統計表 年度報(2025年10月アクセス)
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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