中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2025年09月04日

  • 医薬品
  • 研究開発

再生医療等製品エレビジスに関する安全性情報に基づく対応について

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、サレプタ・セラピューティクスが創製し、ロシュ社から導入したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD:Duchenne muscular dystrophy)に対する再生医療等製品「エレビジス®点滴静注」[一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク](以下、エレビジス)について、安全性情報の評価に基づく対応をお知らせいたします。

 エレビジスは、2025年5月13日に3歳以上8歳未満の歩行可能なDMDを対象に厚生労働省より条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得しました。その後、エレビジスを投与した歩行不能なDMD患者さんで急性肝不全による海外死亡例が2例となったことを受け、厚生労働省および独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)と本品の安全対策等について協議を重ねてまいりました。

 このたび、現時点で得られている安全性情報の評価に基づき、重大な副作用として急性肝不全、投与前および投与後のモニタリングにおける肝機能障害、急性肝不全を早期に検出するための検査の実施、加えて副腎皮質ステロイドの投与による感染症に関する注意喚起を追記する内容について合意し、2025年8月28日付で電子添文の改訂を実施いたしました。医療関係者や今後治療を検討される方々等への情報提供を実施し、緊密に連携してまいります。当社は、今後も継続的に安全性情報を収集・評価し、必要に応じて追加の安全対策を講じる所存です。

 DMDは治療選択肢が限られている進行性の疾患です。当社は、DMDと向き合われている患者さんやそのご家族の切実なニーズにお応えするため、新たな治療の選択肢を一日も早くお届けできるよう努めております。今後、保険適用およびその後の発売に向けて、引き続き厚生労働省と適切に協議を進めてまいります。

【参考情報】

ロシュ社による、歩行不能のデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するElevidysの新たな安全性情報の発表について(2025年6月16日ニュースリリース)

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20250616153000_1495.html

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD: Duchenne muscular dystrophy)について

 DMDは、小児の早期から急速に進行する、希少な遺伝性の筋疾患です。世界では、男児の約5,000人に1人程度で発症するといわれており、女児では非常にまれです1。DMDは、歩行能力、上肢機能、肺機能、心機能が失われ1-3、致死的な転帰を辿ります。DMDと診断された方はフルタイムでの介護が必要となり、中でも親による介護が最も多いです1-3。また学業や仕事、家庭生活を行うことが困難となり、うつ病や身体的な痛みを患うことがあります。

 DMDは、筋肉にかかわるタンパク質であるジストロフィンの産生に影響を及ぼすDMD(Duchenne muscular dystrophy)遺伝子の突然変異が原因で発症します。ジストロフィンは、筋線維を強化し、筋収縮時の損傷から筋細胞を保護するタンパク質複合体の重要な成分です。DMD遺伝子の変異により、DMDでは機能性ジストロフィンを体内で産生できなくなり、筋細胞は損傷に対する感受性が高まり、筋組織の瘢痕化や脂肪化が徐々に進行します2,3

エレビジスについて

 エレビジスは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療用製品で、標的とする骨格筋、呼吸筋および心筋において、本品により短縮型ジストロフィンの発現を介し、DMDの原因に働きかけるようデザインされています。日本においてDMDを対象として希少疾病用再生医療等製品の指定を受けています。米国において、DMDに対する初の遺伝子治療用製品として、2023年6月に承認されており、現在9カ国で承認されています。

 

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

 

出典:

  1. Salvatore Crisafulli et al, Global epidemiology of Duchenne muscular dystrophy: an updated systematic review and meta-analysis. Orphanet J Rare Dis. 2020 Jun 5;15(1):141
  2. David J Birnkrant et al, Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 1: diagnosis, and neuromuscular, rehabilitation, endocrine, and gastrointestinal and nutritional management. Lancet Neurol. 2018 Mar;17(3):251-267
  3. 一般社団法人日本神経学会 デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン. https://neurology-jp.org/guidelinem/dmd.html(2025年9月アクセス)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp