TOP I 2030実現に向けた医薬品製法開発機能の強化および環境対策推進を目的に新たな研究棟（UKX）の建設を決定

　中外製薬株式会社（本社：東京、代表取締役社長 CEO：奥田 修）は、本日開催の取締役会において、低・中分子およびバイオ医薬品の製法開発機能の強化および環境対策推進を目的として、浮間事業所（東京都北区）における新たな研究棟（以下、UKX）の建設を決議しましたので、お知らせいたします。

　当社は、成長戦略TOP I 2030において、R&Dアウトプット倍増、および自社グローバル品毎年上市を目指しています。中分子や独自の抗体エンジニアリング技術を活用した抗体など、製造方法（製法）開発の難度が高いプロジェクトが増加し、その成功が鍵を握っています。このような中、開発プロジェクトの速やかな臨床試験入りや開発加速を実現するためには、医薬品の製法開発機能の強化・拡充が喫緊の課題です。また、当社が掲げる中期環境目標2030において、フロン対応やCO₂排出量削減に向けた取り組みを進めることも重要な課題です。これらの課題に対応するため、当社は浮間事業所にUKXの建設を決定しました。

　UKXは、最新鋭の研究機能の拡充に加え、環境配慮型の建物として設計されており、2022年10月に購入契約を締結した浮間事業所の西側の事業用地に建設されます。UKXでは、製法開発に関わる多機能間のコミュニケーションを活性化するオフィス設計を採用し、また、研究効率を高めるラボオートメーションの活用にも取り組んでいきます。これにより、イノベーションと研究生産性の向上を促進し、難易度の高まる原薬製法確立までのさらなるスピードアップを実現していきます。

　代表取締役社長CEOの奥田 修は、「今回の新研究棟の建設により、成長戦略TOP I 2030のKey Driversの1つであるRED SHIFT^*の基盤がより強固なものとなります。創薬研究から連続的に生み出される有望な医薬品候補物質を臨床開発に進めるには、医薬品としての製法を速やかに確立することが必要不可欠です。特に創薬研究段階に多数のプロジェクトを有する中分子においては、構造および物性の共通性を活かして効率的に製法を開発できるプラットフォームの構築を進めてまいります。このような医薬品の製法開発研究の機能強化により、臨床開発での早期の価値証明を実現し、患者さんに革新的な医薬品を一日も早くお届けすることを目指します」と述べるとともに、「あわせて、浮間事業所の環境対策も加速させます。中期環境目標2030で掲げる高い目標の達成には、特に医薬品の製法開発研究および生産に関わる機能における取り組みが重要です。社会と企業の持続可能な発展に向け、先進的かつ積極的に環境負荷の低減に努めていきます」と語っています。

　なお、本設備投資に伴う、2025年1月30日に公表した2025年12月期連結業績予想への影響はありません。

　*RED SHIFT：REDはResearch（研究）とEarly Development（早期開発）の総称。研究、早期臨床開発、製薬機能のうち早期開発にかかわる部分を含めたRED機能に経営資源を集中させ、投資を拡大することにより、価値創造の源泉である創薬からPoC取得までのトランスレーショナルリサーチ力を強化し、R&Dアウトプットの向上を図る。

【浮間事業所の概要】

1. 所在地：東京都北区浮間5-5-1
2. 敷地面積：69,065m²
3. 業務内容：医薬品原薬の製造プロセス研究、製品設計（製剤・包装）と製法研究、設備設計と生産技術研究、医薬品の構造・物性解析と品質試験法開発

【UKX研究棟 新設工事の概要】

1. 総投資額：800億円
2. 着工：2026年5月
3. 竣工：2028年8月
4. 建築面積：5,047m²
5. 延床面積：27,136m²

【参考情報】

浮間地区の事業用地購入について
（2022年10月28日ニュースリリース）
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20221028153000_1254.html

【新研究棟（UKX）イメージ図】

以上