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2025年06月30日
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ロシュ社、ルンスミオとポライビーの併用療法による再発又は難治性大細胞型B細胞リンパ腫の無増悪生存期間の有意な延長を示す
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が6月20日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2025-06-20をご覧ください。
ロシュ社は、6月20日、国際共同第III相SUNMO試験の結果を発表しました。本試験では、移植適応のない再発又は難治性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんを対象に、ルンスミオⓇ(モスネツズマブ)の皮下投与とポライビーⓇ(ポラツズマブ ベドチン)の併用療法が、R-GemOx療法[MabTheraⓇ/リツキサンⓇ(リツキシマブ)、ゲムシタビン、オキサリプラチン]と比較し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS:Progression-Free Survival)と客観的奏効割合(ORR:Objective Response Rate)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示されました¹。主要解析データは、第18回悪性リンパ腫国際会議(ICML:International Conference on Malignant Lymphoma)において、Late-breaking演題として口演発表されました。
追跡調査期間の中央値23.2カ月において、ルンスミオとポライビーの併用群は、R-GemOx群と比較し、病勢進行または死亡リスクを59%低下させる結果が示されました(ハザード比:0.41、95%信頼区間:0.28–0.61、p<0.0001)¹。PFS中央値は、ルンスミオとポライビー併用群で11.5カ月(95%信頼区間:5.6-17.6)であり、R-GemOx群の3.8カ月(95%信頼区間:2.9-4.1)の3倍でした。また12カ月PFS率は、48.5%(95%信頼区間:39.6-57.4)対17.8%(95%信頼区間:5.4-30.3)であり2倍以上の改善を示しました。このPFS改善効果は、初回治療抵抗性疾患を有する高リスクの患者さんを含む各サブグループで一貫して認められました(ハザード比:0.46、95%信頼区間:0.29–0.72)¹。中間解析時点では、全生存期間(OS)データは観察期間が十分ではないものの、OSはルンスミオとポライビー併用群で数値的に良好な傾向を示し、中央値18.7カ月(95%信頼区間:14.1–評価不能)対R-GemOx群13.6カ月(95%信頼区間:9.9–評価不能、ハザード比:0.80、95%信頼区間:0.54-1.20)でした¹。
ルンスミオとポライビーの併用群では、R-GemOx群と比較し約30%多くの患者さんが客観的奏効を達成しました(70.3%、95%信頼区間:61.9-77.8 対 40.0%、95%信頼区間:28.5-52.4)。また、完全奏効割合は51.4%(95%信頼区間:42.8-60.0)対24.3%(95%信頼区間:14.8-36.0)と約2倍になりました¹。完全奏効を達成した患者さんの約75%が一年後も寛解を維持(72.6%、95%信頼区間:61.4-83.8)していたのに対し、R-GemOx群では44.1%(95%信頼区間:13.2-74.9)でした¹。
ルンスミオとポライビーの併用療法の安全性プロファイルは、個々の試験における各薬剤の既知のプロファイルと一致しており、外来および地域で投与できるようになることが期待されます¹。ルンスミオとポライビー群におけるサイトカイン放出症候群(CRS)の発現率はおおよそ4人に1人であり、グレード2または3のCRS事象は5%未満でした¹。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は報告されませんでした。グレード3-4(58.5% 対 57.8%)およびグレード5(5.2% 対 6.3%)の有害事象(AE)の発現率は、ルンスミオとポライビー併用群とR-GemOx群で同程度でしたが、治療中止に至る有害事象はルンスミオが2.2%、ポライビー併用群が4.7%でした¹。
SUNMO試験について
SUNMO試験(NCT05171647)は、自家幹細胞移植の適応とならない再発又は難治性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんを対象とし、皮下投与のルンスミオ(モスネツズマブ)と静脈内投与のポライビー(ポラツズマブ ベドチン)の併用療法を、R-GemOx療法[MabThera/リツキサン(リツキシマブ)、ゲムシタビン、オキサリプラチン]と比較評価する多施設共同無作為化国際第III相試験です。評価項目は、無増悪生存期間および客観的奏効割合(二重主要評価項目)、全生存期間、客観的奏効持続期間、完全奏効割合、完全奏効持続期間、安全性と忍容性、および患者報告アウトカム(PRO:Patient Reported Outcome)が含まれます。
ルンスミオ(モスネツズマブ)について
ルンスミオは、B細胞上のCD20とT細胞上のCD3を標的とするように設計されたCD20/CD3に対するT細胞誘導バイスペシフィック抗体です。ルンスミオは、細胞傷害性T細胞を介した免疫を活性化し、CD20を有する腫瘍細胞に対して抗腫瘍効果をもたらすことが期待されます。ルンスミオは世界61カ国で承認されています。現在、濾胞性リンパ腫(二次治療、未治療)および再発又は難治性大細胞型B細胞リンパ腫を対象に臨床試験を実施しています。
ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)について
ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパク質は、非ホジキンリンパ腫(NHL:non-hodgkin lymphoma)のB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっています。ポライビーは、がん細胞の細胞膜上に発現するCD79bに結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられています。ポライビーは、ファイザー社のADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として開発が進んでいます。
大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)について
LBCLは、主にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で構成され、白血球の一種であるB細胞リンパ球に影響を与えるNHLの最も多い病型です。DLBCLは侵攻性NHLの最も一般的な形態であり、LBCLの約80%を占めます。世界中で年間約16万人がDLBCLと診断されています。通常はフロントライン治療に反応する一方で、最大40%の患者さんが再発するか難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- Westin J, et al. Mosunetuzumab plus polatuzumab vedotin is superior to R-GemOx in transplant-ineligible patients with R/R LBCL: primary results of the Phase III SUNMO trial. Presented at: ICML; 17-21 June: Abstract #LBA3.
以上
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