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2025年06月26日
- 医薬品
- 研究開発
アレセンサ、ALK融合遺伝子陽性固形がんに対するがん種横断での小児を含む適応拡大申請
- 切除不能な進行又は再発のALK遺伝子異常を有する希少がんを対象にアレセンサの有効性と安全性を評価する医師主導の国内第II相臨床試験の成績に基づく適応拡大申請
- 承認されれば、アレセンサはALK融合遺伝子陽性固形がんに対する世界初のがん種横断での治療薬となる見込み
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ®(一般名:アレクチニブ塩酸塩)について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の固形がんに対する小児を含む適応拡大申請を、本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「ALK融合遺伝子陽性固形がんに対するがん種横断の治療薬として、アレセンサが承認申請に至ったことを大変嬉しく思います。今回の申請は、本剤が既に承認を取得している非小細胞肺がんや血液腫瘍である未分化大細胞リンパ腫に加えて、ALK融合遺伝子陽性の様々な固形がんへの治療可能性を広げる重要な一歩です。多様ながん種の患者さんに対して、アレセンサを新たな治療薬として1日でも早くお届けできるよう、承認取得に向け取り組んでまいります」と語っています。
今回の適応拡大申請は、切除不能な進行又は再発のALK遺伝子異常(融合遺伝子、活性化型遺伝子変異、遺伝子コピー数増加)を有する小児を含む希少がん患者を対象に、アレセンサの有効性および安全性を評価した医師主導の国内第II相臨床試験であるTACKLE試験の成績に基づいています。本試験において、主要評価項目である中央判定委員会による奏効率は、ALK融合遺伝子陽性の部分集団において76.5%(95%信頼区間:50.1%~93.2%)(13/17例)でした。副作用発現頻度は、73.1%(19/26例)であり、主な副作用はリンパ球数減少、好中球数減少各23.1%(6/26例)、貧血19.2%(5/26例)、血中クレアチニン増加15.4%(4/26例)でした。本試験で認められた安全性はこれまでに認められているアレセンサの安全性プロファイルと同様であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、革新的な医薬品によりがん治療におけるアンメットメディカルニーズを充足し、患者さんおよび医療関係者に貢献できるよう引き続き取り組んでまいります。
TACKLE試験について
TACKLE試験(NCCH1712/MK003、jRCT2091220364)は、ALK遺伝子異常(融合遺伝子、活性化型遺伝子変異、遺伝子コピー数増加)を有する切除不能の小児を含む希少がんを対象に、アレセンサの有効性および安全性を評価した、医師主導の多施設共同非盲検単群国内第II相臨床試験です。本試験では、26名の患者さんにおいて安全性・有効性が検討されました。主要評価項目は奏効率で、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性等でした。TACKLE試験は、国立がん研究センター中央病院が産学共同で希少がんの治療開発を推進するMASTER KEYプロジェクト1の副試験として実施されています。
ALK融合遺伝子固形がんについて
ALK融合遺伝子とは、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)遺伝子と他の遺伝子(EML4、NPMなど)とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子です2,3。ALK融合遺伝子から作られるALK融合タンパク質により、がん細胞の増殖が促進されると考えられています。ALK融合遺伝子は、炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍、肺がん、乳がん、大腸がんなどの患者さんで確認されています2,4,5。
アレセンサについて
アレセンサは中外製薬で創製された、ALKに対する選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。ALK融合遺伝子陽性肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)の約3-5%に見られるとされています4。同剤はすでに、日本、米国、欧州、中国、台湾を含む世界100カ国以上でALK融合遺伝子陽性の転移性NSCLCに対する一次治療および二次治療に対して承認されています。ALK融合遺伝子陽性NSCLCの術後補助療法としては、2024年4月に米国で承認を受け、続けて欧州では同年6月に、日本では同年8月にそれぞれ承認されています。日本では、再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対しても承認を取得しています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- 国立研究開発法人国立がん研究センター. MASTER KEYプロジェクト [Internet; cited May 2025]. Available from: https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/masterkeyproject/index.html.
- Morris, SW. et al.: Fusion of a kinase gene, ALK, to a nucleolar protein gene, NPM, in non-Hodgkin’s lymphoma. Science 267(5196): 316-317, 1995.
- Soda, M. et al.: Identification of the transforming EML4-ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer. Nature 448(7153): 561-566, 2007.
- 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK融合遺伝子検査の手引き第4.0版
- Lin, E. et al.: Exon array profiling detects EML4-ALK fusion in breast, colorectal, and non-small cell lung cancers. Mol. Cancer Res. 7: 1466-1476, 2009.
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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