中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2025年05月19日

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ピアスカイ、台湾において発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する初の皮下投与薬として承認取得

  • 台湾における初めての皮下投与可能な発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬として承認。中外製薬独自のリサイクリング抗体技術を適用
  • 維持投与期において4週1回のピアスカイ皮下投与の有効性が、2週1回のエクリズマブ静脈内投与に対して非劣性を示したCOMMODORE 2試験等に基づく承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社の100%子会社である台湾中外製薬股份有限公司(本社:台北市、董事長:羽原 裕二、以下CPT)が、台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)より、2025年5月19日付で当社創製のピアスカイ®について「発作性夜間ヘモグロビン尿症患者(13歳以上、かつ体重40kg以上)」に対し希少疾病用医薬品として輸入販売承認を取得したことをお知らせいたします。CPTは、台湾における中外製薬創製品の開発・申請及び輸入販売を担っています。

 CPT董事長の羽原 裕二は、「中外製薬創製のピアスカイが台湾において承認されたことを大変嬉しく思います。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、台湾では治療選択肢が限られ、患者さんやご家族の方のアンメットメディカルニーズが高い疾患です。ピアスカイは中外製薬独自のリサイクリング抗体®技術の適用により、低用量で持続的に効果を発揮するよう設計されています。台湾においてPNH治療薬として初めて維持投与期における4週1回皮下投与を可能とする本剤が、これから広く患者さんやご家族、医療関係者の皆さまにお役立ていただけることを期待しています」と語っています。

 今回の承認は、C5阻害剤による治療歴のないPNH患者さんを対象とした国際共同第III相試験COMMODORE 2試験の成績に基づいています。加えて、現在承認されているC5阻害剤から切り替えたPNH患者を対象とした国際共同第III相試験(COMMODORE 1)および、中国において実施されたC5阻害剤による治療歴のないPNH患者を対象とした第III相試験(COMMODORE 3)も申請資料に含まれています。

【参考情報】
発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、クロバリマブの皮下投与による病勢コントロールと良好な忍容性を示す新たなデータを欧州血液学会で発表(2023年6月12日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230612170001_1305.html

COMMODORE 2試験について
 COMMODORE 2試験は、C5阻害剤による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者を対象にエクリズマブに対するピアスカイの有効性および安全性を評価するランダム化非盲検国際共同第III相臨床試験です。本試験の二つの主要評価項目は輸血回避および溶血(LDH値により測定される進行中の赤血球破壊)のコントロールでした。本試験に登録された成人被験者は2:1の比で4週ごとのピアスカイ皮下投与群または2週ごとのエクリズマブ静脈内投与群にランダムに割り当てられました。18歳未満の被験者は記述的解析群に含まれ、4週ごとにピアスカイが皮下投与されました1,2
※治験実施計画書改訂前に登録された18歳未満の2名を含む

ピアスカイについて
 ピアスカイは、中外製薬独自のリサイクリング抗体技術を用い、当社が創製した抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。加えて、表面電荷改良技術を導入することにより抗原の血中からの消失速度を高め、従来のリサイクリング抗体よりも抗原を効率的に中和することで、投与量の低減を可能にしています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、少ない投与量での4週ごとの皮下投与による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。ピアスカイは既存薬とは異なる部位でC5に結合することから、アジアで報告されている既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人においてはPNH患者さんの約3.2%)において有効な治療選択肢となり得ます3,4
 本剤は2024年2月、中国において補体阻害剤による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の成人および青年患者(12歳以上)に対し初めて承認されました。日本においては2024年3月にPNHに対して承認後、同年5月より販売されています。米国では2024年6月に、欧州では同年8月に承認を取得しています。加えて、非典型溶血性尿毒症症候群の開発を行っており、海外ではロシュ社が鎌状赤血球症に対して臨床試験を実施しています。

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Röth A, et al. Phase 3 randomized COMMODORE 2 trial: Crovalimab versus eculizumab in patients with paroxysmal nocturnal hemoglobinuria naive to complement inhibition. Am J Hematol. 2024 Sep;99(9):1768-1777.
  2. COMMODORE 2 (NCT04434092). [Internet; cited April 2025] Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04434092.
  3. Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralization of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.
  4. Nishimura J et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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