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2025年04月17日

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バビースモ、網膜色素線条を対象とした第III相試験において日本人で初めて良好な視力改善を示した結果を日本眼科学会で発表

  • 新生血管を伴う網膜色素線条に対し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある視力改善を示すNIHONBASHI試験の結果を発表
  • バビースモの忍容性はおおむね良好であり、安全性プロファイルは既知のプロファイルと一致
  • 承認されれば、新生血管を伴う網膜色素線条に対し、日本で初めての治療薬となる見込み

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、抗VEGF/抗Ang-2 ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ®硝子体内注射液120mg/mL」[一般名:ファリシマブ(遺伝子組換え)](以下、バビースモ)について、新生血管を伴う網膜色素線条を対象とした国内第III相臨床試験(NIHONBASHI試験)の結果が、第129回日本眼科学会において4月17日に発表されたことをお知らせいたします。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「本試験結果により、国内で承認された治療薬がない網膜色素線条に対して、バビースモは初めての治療薬となることが期待されます。現在、優先審査のもと、承認審査が進められており、治療を待ち望む患者さんに一日も早く本剤をお届けできるよう、日本での承認取得に向けて尽力してまいります」と語っています。

 NIHONBASHI試験は、新生血管を伴う網膜色素線条患者を対象に、バビースモの有効性と安全性を評価した国内多施設共同オープンラベル単群第III相臨床試験です。本試験では、網膜色素線条患者24例が登録され、バビースモを4週間隔で3回投与後、4週間隔の来院時に疾患活動性を評価し必要に応じてバビースモが投与されました。本試験において、主要評価項目である12週時点におけるベースラインからの平均視力改善効果は+5.8文字(90%信頼区間:3.0~8.5文字)であり、事前に規定された臨床的意義の高い閾値0文字を90%信頼区間の下限が上回ったことが確認され、統計学的に有意であることが示されました。また、血管漏出を原因として生じうる網膜液は、網膜の浮腫や霧視を生じることがあります。副次評価項目の一つである中心領域網膜厚のベースラインからの変化量は、12週時点において−106.4µm(90%信頼区間:−123.4~−89.4)でした。

 バビースモの忍容性はおおむね良好でした。安全性プロファイルは、既知のプロファイルと一致しており、新たな安全性上の懸念は示されませんでした。試験眼における有害事象は20.8%(5/24例)で認められ、重篤な有害事象、治験薬の投与中止又は治験中止に至った有害事象は認められませんでした。眼以外の有害事象は50.0%(12/24例)で認められ、治験薬の投与中止又は治験中止に至った有害事象は認められませんでした。重篤な有害事象は2例で認められましたが、いずれもバビースモとの因果関係は認められませんでした。眼および眼以外で認められたいずれの有害事象もバビースモとの因果関係は認められませんでした。

【参考情報】
バビースモ、網膜色素線条を対象とした第III相試験において日本人で初めて良好な視力改善を示す(2024年4月15日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20240415113000_1388.html

バビースモ、視力障害の原因となる網膜色素線条に対し、国内で適応拡大申請(2024年9月6日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20240906150000_1424.html

網膜色素線条について
 網膜色素線条は網膜の一部が断裂し、眼底に特徴的な線状の色調変化(色素線条)がみられる疾患です。無症状であることが多いですが、眼底の中央の黄斑部に脈絡膜新生血管が及ぶと視力低下やゆがみなどの症状が出現します。新生血管を伴う場合は予後不良で、従来の手術やレーザー等の治療では十分な効果を得ることが難しく、新たな治療薬が求められています。国内における患者数は明らかにはなっておらず、網膜色素線条を約半数で合併すると知られている弾性線維性仮性黄色腫(指定難病の一つ)の患者数は約300名です1,2

バビースモについて
 バビースモは眼科領域において承認された初のバイスペシフィック抗体です3,4,5。アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、視力を脅かす多くの網膜疾患の原因である2つの経路を標的とし、阻害します。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすとされています。バビースモはAng-2とVEGF-Aが関与する経路を遮断することで、血管を安定させるよう設計されています5,6。バビースモは、新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬として、米国、日本、英国、EUを含む世界100カ国近くで承認されており、網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫の治療薬として、米国、EU、日本を含む複数国で承認されています。その他の規制当局による審査は継続中です3,4,7,8

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典

  1. Chatziralli I, Saitakis G, Dimitriou E, Chatzirallis A, Stoungioti S, Theodossiadis G, et al. ANGIOID STREAKS: A Comprehensive Review From Pathophysiology to Treatment. Retina. 2019;39(1):1-11.
  2. 難病情報センター 弾性線維性仮性黄色腫(指定難病 166)[Internet; cited April 2025]. Available from: https://www.nanbyou.or.jp/.
  3. United States (US) Food and Drug Administration (FDA). Highlights of prescribing information, Vabysmo. 2024 [Internet; cited April 2025]. Available from: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/761235s005lbl.pdf.
  4. Medicines and Healthcare products Regulatory Agency approves faricimab through international work-sharing initiative. [Internet; cited April 2025]. Available from: https://www.gov.uk/government/news/mhra-approves-faricimab-through-international-work-sharing-initiative.
  5. Heier JS, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab up to every 16 weeks for nAMD (TENAYA and LUCERNE): two randomised, double-masked, Phase III, non-inferiority trials. The Lancet. 2022; 399:729-40.
  6. Wykoff C, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab with extended dosing up to every 16 weeks in patients with DME (YOSEMITE and RHINE): two randomised, double-masked, Phase III trials. The Lancet. 2022; 399:741-755.
  7. European Medicines Agency. Summary of product characteristics, Vabysmo. 2024. [Internet; cited April 2025]. Available from: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/vabysmo-epar-product-information_en.pdf.
  8. Roche data on file.

以上

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