中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年12月20日

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ロシュ社、ポライビーが未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する新たな標準治療であることを示す5年データを発表

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が12月8日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2024-12-08をご覧ください。

 ロシュ社は12月8日、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の患者さんを対象に、ポライビー®(ポラツズマブ ベドチン)とR-CHP療法[MabThera®/リツキサン®(リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン]の併用を評価する主要な第III相POLARIX試験の5年間のフォローアップデータを発表しました。本データは12月7日~10日に米国サンディエゴで開催された第66回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)年次総会および展示会のオーラルセッションで発表されました。中央値60.9カ月の追跡調査後に実施されたこの最新の解析には、主要評価項目と副次評価項目に関する記述データ、および安全性の結果が含まれます1

 5年後の追跡調査解析では、ITT(intent-to-treat)集団において、ポライビーとR-CHP療法の併用が、R-CHOP療法(MabThera/リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)の併用と比較して、全生存期間(OS:overall survival)において良好な改善傾向を示しました。結果は、ポライビーの併用により、未治療のDLBCL患者さんの死亡リスクが減少する傾向を示し(ハザード比:0.85、95%信頼区間:0.63–1.15)、3年間の追跡調査データ(ハザード比:0.94、95%信頼区間:0.67–1.33)から改善が見られました。POLARIX試験の5年間の解析では、治療群間のOSの完全な差はまだ観察されておらず、さらに2年間の追跡調査が継続される予定です。

 OSの良好な改善傾向に加えて、観察分析では、R-CHP療法と併用してポライビーを投与された患者さんは、R-CHOP療法で治療された患者さんと比較して、放射線療法、全身化学療法、CAR-T細胞療法などのフォローアップ治療が約25%減少することが示されました(38.3%対61.7%)1。再発または難治性DLBCL において、治療ラインの追加に伴い医療費総額が増加するという過去の経済分析に基づくと、その後の治療回数を減らすことで、再発や病気の進行に伴う経済的負担の一部を軽減できる可能性があります2

 5年間の追跡調査では、R-CHP療法とポライビーの併用による無増悪生存期間および無病生存期間のベネフィットが維持され、3年間の追跡調査データと一致しており、R-CHP療法とポライビーとの併用が持続的で長期的な寛解をもたらす可能性を示しています。最新のフォローアップデータでは、R-CHP療法とポライビーとの併用で治療した患者さんは、R-CHOP療法で治療した患者さんと比較して、リンパ腫に関連する死亡率が数値的に減少したことも示されました(9.0%対11.4%)。安全性プロファイルは、個々の試験薬の既知のプロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは観察されず、ポライビー併用の良好なベネフィット・リスクプロファイルを示しています1

POLARIX試験について
 POLARIXNCT03274492)は、未治療のDLBCL患者さんを対象に、ポライビーとR-CHP療法[リツキサン(リツキシマブ)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾン]の併用と、R-CHOP療法[リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン]の有効性、安全性および薬物動態を比較評価した国際共同第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。
 879名の患者さんを1:1にランダム化し、ポライビー+R-CHP療法+ビンクリスチンのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与、またはR-CHOP療法+ポライビーのプラセボを6サイクル投与後、リツキサンを2サイクル投与しました。
 主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphomaに基づく治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)です。PFSは、未治療のDLBCL患者さんにとって臨床的に意義のある疾患関連アウトカムであり、初回治療の目標である疾患悪化リスクの低減を表しています。副次的評価項目は全生存期間です。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)について
 DLBCLは、非ホジキンリンパ腫(NHL:non-Hodgkin lymphoma)の中で最も多い病型で、NHLの約3分の1を占めます3。DLBCLはNHLの中でも攻撃的な(急速に成長する)タイプです。通常はフロントライン治療に反応する一方で、最大40%の患者さんが再発するか難治性となるものの、その場合の救援療法の選択肢は限られており、生存期間も短いとされています4,5。早期の治療改善と新たな治療選択肢の提供が、長期的な予後を改善する可能性があります。世界では毎年約160,000人がDLBCLと診断されると推定されています1,6

ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)について
 ポライビーは、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL:non-Hodgkin lymphoma)に影響を与える免疫細胞であるB細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望なターゲットとなっています。ポライビーは、CD79bなどのがん細胞に結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられています。ポライビーは、ファイザーのADC技術を用いてロシュ社により開発されており、現在、数種類のNHLの治療薬として研究されています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Gilles S, et al. Five-Year Analysis of the POLARIX Study: Prolonged Follow-up Confirms Positive Impact of Polatuzumab Vedotin Plus Rituximab, Cyclophosphamide, Doxorubicin, and Prednisone (Pola-R-CHP) on Outcomes. Presented at: ASH Annual Meeting and Exposition; 2024 Dec 7-10; San Diego, CA, USA. Abstract #469.
  2. Gatwood J, et al. Total cost of care in Relapsed/Refractory (R/R) Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL). Presented at: ASH Annual Meeting and Exposition; 2022, Dec 10-13. Abstract #3527
  3. Cancer.Net. Lymphoma - Non-Hodgkin: Subtypes. [Internet; cited December 2024]. Available from: https://www.cancer.net/cancer-types/lymphoma-non-hodgkin/subtypes
  4. Sehn LH, et al. Diffuse Large B-Cell Lymphoma. N Engl J Med. 2021;384(9):842-858.
  5. Maurer MJ, et al. Event-free survival at 24 months is a robust end point for disease-related outcome in diffuse large B-cell lymphoma treated with immunochemotherapy. J Clin Oncol. 2014;32:1066-73.
  6. World Health Organization. Numbers derived from GLOBOCAN 2022. Non-Hodgkin Lymphoma Factsheet [Internet; cited December 2024]. Available from: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/34-non-hodgkin-lymphoma-fact-sheet.pdf.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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