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2024年10月21日
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エブリスディ、2年データにおいて脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児の多くが、独立して座る、立つ、歩くことができるようになったことを示す
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が10月14日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2024-10-14をご覧ください。
ロシュ社は10月14日、2024年10月8日から12日まで開催された第29回World Muscle Society(WMS)年次総会において、進行中のRAINBOWFISH試験の良好な2年データを発表しました。本試験は、生後6週までの乳児期に、発症前から治療を開始した脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)小児(n=23)におけるエブリスディ®(一般名:リスジプラム)の有効性と安全性を評価するものです。多くの小児が主要な運動マイルストーンを達成し、嚥下と摂食が可能であり、SMAでない小児と同様の認知スキルを示しました。また、恒常的に人工呼吸器を必要とする小児はいませんでした。
エブリスディで治療を受けたSMN2コピー数が3以上の小児全員(n=18)が、 Bayley Scales of Infant and Toddler Development Third Edition(BSID-III)とHammersmith Infant Neurological Examination 2(HINE-2)による評価で、「立つ」及び「歩く」のマイルストーンを達成し、その大半が世界保健機関(WHO)により提唱されている健康な小児発達の期間内に達成しています。SMN2コピー数が2の小児(n=5)では、2年間の治療後、全員が座ることができ、60%が独立して立ち上がりと歩行ができるようになりました。2年間の治療後、すべての小児が嚥下し経口摂取可能となり、恒常的に人工呼吸器を必要とする小児はいませんでした。疾患修飾治療を行わない場合の自然経過では、I型SMAの小児は支えなしに座る・立つ・歩くことができないだけでなく、通常2歳を超えて生存することが難しいとされています。
エブリスディによる2年間の治療後、BSID-III認知スケールによる評価で、試験に参加した小児はSMAでない小児と同様の認知スキルを示しました。本試験は、標準化されたスケールを用いて認知機能を探索的評価項目として評価した初めてのSMAに対する臨床試験です。
発症前の早期に治療を開始した場合の転帰を評価するため、試験に参加した小児は生後6週まで(初回投与時の年齢中央値は25日)にエブリスディによる治療を開始しました。試験では、各小児のSMN2遺伝子のコピー数別に、治療に対する転帰を解析しました。一般的に、SMN2遺伝子のコピー数が少ないほど、より重度のSMAと関連しています。
死亡例や投与中止または試験からの脱落に至った有害事象はありませんでした。最も一般的な有害事象は、歯が生える、胃腸炎、下痢、湿疹、発熱でした。2年解析時点で見られた有害事象は、エブリスディのSMAに対する他の試験で見られたものと概ね同様であり、SMAの基礎疾患よりも年齢を反映したものでした。有害事象の多くはエブリスディに関連しないものであり、時間とともに回復しました。
ロシュは、SMA FoundationとPTC Therapeuticsとの協業の一環として、エブリスディの臨床開発をリードしています。
エブリスディについて
エブリスディ(一般名:リスジプラム)は、5q染色体の変異により生存運動ニューロン(Survival Motor Neuron:SMN)タンパク質が欠乏することで引き起こされるSMAを治療するために設計された、SMN2スプライシング修飾剤です。液剤であるエブリスディは、経口または経管投与で毎日自宅で服用します。
エブリスディは、中枢神経系と末梢組織でSMNタンパク質の産生を増加させ、維持することによりSMAを治療することを目指して設計されました。SMNタンパク質は体全体に存在し、健康な運動ニューロンと基本的な運動機能(飲み込む、話す、呼吸など)を維持するために重要です。
エブリスディは、2018年に欧州医薬品庁(EMA)からPRIME指定を、2017年には米国食品医薬品局(FDA)からオーファン指定を受けました。2021年には、エブリスディが英国薬理学会から年間最優秀新薬賞を、また薬物研究学会から新薬発見賞を受賞しました。現在、エブリスディは100カ国以上で承認されており、12カ国で審査中です。また、室温安定性のある新たな剤形として、錠剤が現在規制当局の審査中です。
エブリスディに対しては、以下の複数のグローバル多施設共同試験が実施された、あるいは実施中です:
- FIREFISH試験(NCT02913482) - I型SMAの乳児を対象とした二部構成のピボタルな非盲検試験。乳児は登録時に平均約5.5カ月で、1年間の治療を終えた58人の乳児のうち52人が非盲検延長試験に進みました。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成し、5年のフォローアップ期間を経て終了しました。
- SUNFISH試験(NCT02908685) - 2~25歳のII型またはIII型SMAの方々を対象とした二部構成の二重盲検、プラセボ対照のピボタル試験。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成しました。
- JEWELFISH試験(NCT03032172) - エブリスディを投与する90日前までに、他の治験薬または承認されたSMA治療薬の投与を受けていた6カ月~60歳のSMAの方々を対象とした非盲検の探索的試験。本試験は登録を完了しました(n=174)。
- RAINBOWFISH試験(NCT03779334) - 遺伝学的にSMAと診断され、まだ症状が現れていない乳児(n=26)を対象とした非盲検の単群、多施設共同試験。エブリスディの有効性、安全性、薬物動態、薬力学を評価。本試験は検証的な試験であり主要評価項目を達成しました。
- MANATEE試験(NCT05115110) - 2~10歳のSMAの方々を対象とした第II/III相の臨床試験で、筋肉成長をターゲットとした抗潜在型ミオスタチン抗体GYM329(RG6237)とエブリスディの併用療法の安全性と有効性を評価。2021年12月に、FDAのオーファン医薬品開発局は、SMAの治療を対象にGYM329にオーファン指定を付与しました。現在、本試験は登録を行っています。
- HINALEA 1試験(NCT05861986)、及びHINALEA 2試験(NCT05861999):遺伝学的に確認された5q常染色体劣性SMAの診断後、発症前または発症後にオナセムノゲン アベパルボベク遺伝子治療を受けた登録時2歳未満の患者におけるエブリスディの有効性と安全性を評価する第IV相臨床試験。これらの試験は現在、登録中です。
*訳注:日本から参加したあるいは参加中の試験はFIREFISH試験、SUNFISH試験、MANATEE試験です。現在、日本においてエブリスディは、FIREFISH試験、SUNFISH試験、RAINBOWFISH試験のデータを評価資料として「脊髄性筋萎縮症」を効能又は効果として承認されています。
SMAについて
SMAは、生命にかかわりうる重度の進行性神経筋疾患で、約1万人の乳児のうち1人が本疾患による影響を受けます。SMAは、生存運動ニューロン(SMN)1遺伝子の変異により引き起こされ、これによりSMNタンパクが欠乏します。このタンパク質は体全体に存在し、筋肉と動きを制御する神経の機能に不可欠です。SMNタンパクがないと、神経細胞は正常に機能せず、時間とともに筋力が弱まります。SMAのタイプによっては、身体的な強さや歩く、食べる、呼吸する能力が大幅に減少したり、失われたりする可能性があります。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
以上
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