中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2024年08月28日
- 医薬品
- 研究開発
アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法として日本で適応追加の承認を取得
- 切除されたALK陽性早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、再発または死亡リスクを76%低下させ、有効性を示した初めてのグローバル第III相臨床試験、ALINA試験に基づく承認
- 術後補助化学療法が治療として存在するにもかかわらず、手術後に約半数の患者さんが再発を経験する早期NSCLCにおいて、重大なアンメットメディカルニーズへの貢献を期待
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ®(一般名:アレクチニブ塩酸塩)について、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加の承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせいたします。アレセンサは、2023年12月に承認申請を行い、また、同月に希少疾病用医薬品の指定を受け優先審査の対象となっていました。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「当社創製のアレセンサが、ALK陽性NSCLCの術後補助療法を対象に、米欧に続き日本で適応追加の承認を取得したことを大変嬉しく思います。早期NSCLCにおいては、腫瘍切除手術を受けた患者さんの約半数が再発する可能性があるとされています。今回の適応拡大により、国内のALK陽性の非小細胞肺がん患者さんにおいて、術後の再発リスクを下げるだけでなく、がんの完治や長期の生存が期待できるようになると確信しています。これにより、患者さんとそのご家族の人生の質が大きく向上するものと考えています。引き続き迅速な適正使用情報の提供に努めてまいります」と語っています。
今回の承認は、病期IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性早期NSCLCを完全切除した患者さんを対象に実施されたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいています。同試験では、病理病期IB~IIIA期のALK陽性NSCLCを完全切除した患者さんにおいて、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを76%低下させることを示しました(ハザード比=0.24、95%信頼区間:0.13-0.43、p<0.0001)1。また、アレセンサの安全性および忍容性は、ALK陽性の転移性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、予期せぬ所見は認められませんでした1。
オンコロジー領域のリーディング企業である中外製薬は、アレセンサがALK陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法における新たな治療選択肢の一つとして治療に貢献できるよう、適正使用の推進に取り組んでまいります。
電子化された添付文書情報 ※下線部について変更・追加
販売名:アレセンサ®カプセル150mg
一般名:アレクチニブ塩酸塩カプセル
効能又は効果:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法
用法及び用量:〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉
通常、成人にはアレクチニブとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
【参考情報】
アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がんの再発または死亡リスクを76%低減(2023年10月20日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20231020170000_1335.html
ALINA試験について
ALINA試験(NCT03456076)は、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を切除した患者さんを対象として、術後補助療法としてアレセンサとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性および安全性を比較する第III相、ランダム化、実薬対照、多施設共同、非盲検臨床試験です。本試験には、アレセンサ群または化学療法群のいずれかにランダム化された257例が登録されました。主要評価項目は無病生存期間です。副次評価項目は、全生存期間、有害事象の発現状況などです。
アレセンサについて
アレセンサは中外製薬で創製された、ALK陽性NSCLCに対する選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。同剤はすでに、日本、米国、欧州、中国、台湾を含む世界100カ国以上でALK陽性の転移性NSCLCに対する一次治療および二次治療に対して承認されています。ALK陽性肺がんは非小細胞肺がんの約3-5%に見られるとされています2。日本では、再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対しても承認を取得しています。
本剤は2024年4月に、米国食品医薬品局(FDA)により承認された検査に基づくALK陽性NSCLC(腫瘍が4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する腫瘍切除後の補助療法としてFDAに承認されました。また、2024年6月には単剤療法として、再発のリスクが高い(病期IB[腫瘍が4cm以上]~IIIA期[UICC/AJCC 第7版])成人のALK陽性NSCLCに対する腫瘍完全切除後の補助療法として、欧州委員会(EC)に承認されました。このたび、日本国内においてもALK陽性NSCLCに対する腫瘍完全切除後の補助療法として承認されました。
肺がんについて
肺がんは世界におけるがんによる主要な死因の一つです3。肺がんによる死亡者数は毎年180万人であり、世界中で毎日4,900人以上が死亡していることになります3。また国内では年間12.7万人が罹患しています(2019年)4。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)の二つに大別されます。NSCLCは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占めます5。早期肺がん患者さんの約半数(疾患のステージにより45-76%)が、術後補助化学療法の選択肢があるにもかかわらず、手術後に再発を経験します6。再発前に早期に肺がんを治療することで、再発を予防し、治癒につながる治療機会となる可能性があります7。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- Solomon B et al. ALINA: efficacy and safety of adjuvant alectinib versus chemotherapy in patients with early-stage ALK+ non-small cell lung cancer (NSCLC). Presentation at: European Society for Medical oncology Congress; 2023 October 20-24. Late-breaking abstract #LBA2.
- 日本肺癌学会バイオマーカー委員会. 肺癌患者におけるALK融合遺伝子検査の手引き第4.0版
- Thandra K C, et al. Epidemiology of lung cancer. Contemp Oncol. 2021;21(1):45-52.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)[Internet; cited 2024 August] Available from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html
- American Cancer Society: What Is Lung Cancer? [Internet; cited 2024 August] Available from:
https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/about/what-is.html - Pignon JP et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol. 2008;26:3552-3559.
- Hendricks LE et al. Oncogene-addicted metastatic non-small-cell lung cancer: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2023;34(4): 339-357.
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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