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2024年06月10日
- 医薬品
- 研究開発
アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がんに対する初めての術後補助療法として欧州で承認取得
- アレセンサは第III相臨床ALINA試験において、切除されたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの再発または死亡リスクを76%低下
- 術後補助化学療法が治療として存在するにもかかわらず、手術後に約半数の患者さんが再発を経験する早期NSCLCにおいて、重大なアンメットメディカルニーズへの貢献を期待
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ®[一般名:アレクチニブ塩酸塩]の単剤療法について、再発のリスクが高い(病期IB[腫瘍が4cm以上]~IIIA期[UICC/AJCC 第7版])成人のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する腫瘍切除後の補助療法として、欧州委員会(European Commission:EC)より承認を取得したことをお知らせいたします。販売承認申請は、腫瘍切除手術後のALK陽性NSCLC患者さんを対象に再発または死亡のリスクを76%低下させたアレセンサの第III相臨床ALINA試験のデータに基づいて行われました1。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「当社創製のアレセンサが、ALK陽性早期NSCLCの術後補助療法として、米国に続き欧州で承認されたことを大変嬉しく思います。新たな治療の機会を提供する今回の承認は、腫瘍切除手術後も再発リスクに向き合われてきた患者さんに、大きなインパクトをもたらすものと考えています。本剤によるベネフィットを世界中の患者さんにお届けできるよう、引き続きロシュ社と取り組んで参ります」と語っています。
ALINA試験では、病期IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性早期NSCLCを完全切除した患者さんにおいて、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを76%低下させることを示しました(ハザード比=0.24、95%信頼区間:0.13-0.43、p<0.0001)1。また、探索的解析では、中枢神経系の無病生存期間についても、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを78%低下させました(ハザード比0.22、95%信頼区間:0.08-0.58)1。本結果は他のNSCLCと比べて脳転移のリスクが高いALK陽性NSCLC2の患者さんにとって意義深いことです。ALINA試験におけるアレセンサの安全性および忍容性は、ALK陽性の転移性NSCLCを対象とした過去の試験と概ね一貫しており、予期せぬ所見は認められませんでした1。これらのデータは、2024年4月にNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。
アレセンサは、進行ALK陽性NSCLC患者さんに幅広く使用されている治療選択肢です。アレセンサは、一次治療および二次治療として100カ国以上で承認され、臨床現場では94,000名を超える進行期の患者さんの治療に使用されています。術後補助療法での承認を受けて、重大なアンメットメディカルニーズが存在するALK陽性の切除可能な本疾患において、アレセンサは中心的な役割を果たします。欧州における今回の承認は、米国食品医薬品局(FDA)により承認された検査に基づくALK陽性NSCLC(腫瘍が4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する腫瘍切除後の補助療法として、2024年4月にFDAがアレセンサを承認したことに続くものです。一人でも多くの患者さんにこの新たな治療選択肢をお届けするため、世界各国の規制当局へ申請を行っています。
National Comprehensive Cancer Network®の腫瘍学診療ガイドライン(NCCN Guidelines ®)を含む国際的ガイドラインにおいては、臨床医の意思決定を支援するため、進行NSCLC患者さんと病期IB~IIIAと一部のIIIB患者さん(UICC/AJCC第8版)の外科切除された腫瘍組織または生検組織を、ALK、EGFR、PD-L1バイオマーカーに対して検査することが推奨されています。
ALINA試験について
ALINA試験(NCT03456076)は、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を切除した患者さんを対象として、術後補助療法としてアレセンサとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性および安全性を比較する第III相、ランダム化、実薬対照、多施設共同、非盲検臨床試験です。本試験には、アレセンサ群または化学療法群のいずれかにランダム化された257例が登録されました。主要評価項目は無病生存期間です。副次評価項目は、全生存期間、有害事象の発現状況などです。
アレセンサについて
アレセンサは中外製薬で創製された、ALK陽性NSCLCに対する選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。同剤はすでに、日本、米国、欧州、中国を含む世界100カ国以上でALK陽性の転移性NSCLCに対する一次治療および二次治療に対して承認されています。本剤は2024年4月に、米国食品医薬品局(FDA)により承認された検査に基づくALK陽性NSCLC(腫瘍が4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する腫瘍切除後の補助療法としてFDAに承認されました。また、2024年6月には単剤療法として、再発のリスクが高い(病期IB[腫瘍が4cm以上]~IIIA期[UICC/AJCC 第7版])成人のALK陽性NSCLCに対する腫瘍完全切除後の補助療法として、欧州委員会(EC)に承認されました。日本では再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対しても承認を取得しています。
肺がんについて
肺がんは世界におけるがんによる主要な死因の一つです3。肺がんによる死亡者数は毎年180万人であり、世界中で毎日4,900人以上が死亡していることになります3。また国内では年間12.7万人が罹患しています(2019年)4。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)の二つに大別されます。NSCLCは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占めます5。早期肺がん患者さんの約半数(疾患のステージにより45-76%)が、術後補助化学療法の選択肢があるにもかかわらず、手術後に再発を経験します6。再発前に早期に肺がんを治療することで、再発を予防し、治癒につながる治療機会となる可能性があります7。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
出典:
- Solomon B, et al. ALINA: efficacy and safety of adjuvant alectinib versus chemotherapy in patients with early-stage ALK+ non-small cell lung cancer (NSCLC). Presentation at: European Society for Medical oncology Congress; 2023 October 20-24. Late-breaking abstract #LBA2.
- Griesinger F, et al. Brain metastases in ALK-positive NSCLC – time to adjust current treatment algorithms. Oncotarget. 2018;9(80):35181-35194.
- Thandra KC, et al. Epidemiology of lung cancer. Contemp Oncol. 2021;21(1):45-52.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)[Internet; cited 2024 May] Available from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html
- American Cancer Society: What Is Lung Cancer? [Internet; cited 2024 May] Available from: https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html.
- Pignon JP, et al. Lung adjuvant cisplatin evaluation: a pooled analysis by the LACE collaborative group. J Clin Oncol. 2008;20;26(21):3552-9.
- Hendricks LE, et al. Oncogene-addicted metastatic non-small-cell lung cancer: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2023;34(4):339-357.
以上
本件に関するお問い合わせ先:
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