中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年05月22日

  • 医薬品
  • 研究開発

発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬に対する国内初の皮下投与抗C5抗体薬「ピアスカイ注340mg」国内発売のお知らせ

  • 指定難病の発作性夜間ヘモグロビン尿症の標準治療である抗補体C5抗体において、国内初の皮下投与薬として発売。投与時間短縮による患者さんの治療負担軽減を期待
  • 独自のリサイクリング抗体技術の適用により、低用量での4週1回皮下投与を実現。同技術を適用した2剤目の自社創製品

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、本年3月26日に製造販売承認を取得したpH 依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ®注340mg」(一般名:クロバリマブ(遺伝子組換え)点滴静注・皮下注)(以下、ピアスカイ)について、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能又は効果として、本日、薬価収載され、販売を開始したことをお知らせいたします。

 中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「発作性夜間ヘモグロビン尿症の新規治療薬としてピアスカイを発売できることを大変嬉しく思います。発作性夜間ヘモグロビン尿症の標準治療である抗補体C5抗体において、皮下投与可能な薬剤はピアスカイが国内初です。投与時間の短縮を通じ、患者さんや介護者の負担軽減とQOLの改善に寄与することを期待しています」と語るとともに、「今回の発売により、自社創製の抗体医薬品としては5つ目の国内上市となりました。本剤の発売としては日本が1カ国目となり、欧米でも承認に向けた審査が進行中です。当社の技術ドリブンな創薬戦略により、様々な疾患の影響を受ける患者さんに新たな価値を継続的に提供していけるよう、研究開発を一層推進してまいります」と語っています。

 ピアスカイは、中外製薬のリサイクリング抗体®技術を用いています。一般的な抗体では、抗原に一回しか結合することができないのに対し、ピアスカイは繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量での補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与を実現しています。リサイクリング抗体技術を適用した治療薬の承認は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders)に対する治療薬であるエンスプリング®に続き2剤目です。

 今回の承認はC5阻害剤による治療歴のないPNH患者さんを対象としたCOMMODORE 2試験、および既存のC5阻害剤からピアスカイに切替えたPNH患者さんを対象としたCOMMODORE 1試験等の成績に基づいています。いずれもロシュ社との協働による国際共同第III相臨床試験であり、国内からも参加しています。

製品情報

販売名:ピアスカイ®注340mg

一般名:クロバリマブ(遺伝子組換え)点滴静注・皮下注

効能又は効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症

用法及び用量:通常、クロバリマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1日目に1回1,000又は1,500mgを点滴静注し、2、8、15及び22日目に1回340mg、29日目以降は4週ごとに1回680又は1,020mgを皮下投与する。

承認日:2024年3月26日

薬価基準収載日:2024年5月22日

販売開始日:2024年5月22日

薬価:ピアスカイ®注340mg 1,978,062円/1瓶

【参考情報】

疾患啓発サイト「よりよい明日のために。知ろう、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のこと。」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/oshiete-pnh/ (5月22日新規公開)

中外製薬創製の「ピアスカイ注340mg」、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、日本で製造販売承認を取得(2024年3月26日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20240326160001_1378.html

発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、クロバリマブの皮下投与による病勢コントロールと良好な忍容性を示す新たなデータを欧州血液学会で発表(2023年6月12日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230612170001_1305.html

ピアスカイについて
 ピアスカイは、中外製薬が開発したリサイクリング抗体技術を用いた抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、皮下注射による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。ピアスカイは既存薬とは異なる部位でC5に結合することから、アジアで報告されている既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人においてはPNH患者さんの約3.2%)において有効な治療選択肢となり得ます1,2
 2024年2月、中外製薬創製の5つ目のグローバル製品として中国において補体阻害剤による治療歴のないPNHの成人および青年患者(12歳以上)さんに対し承認され、現在、米欧、台湾を含む各国においてもPNHに対する新薬として規制当局による承認審査中です。加えて、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS:atypical hemolytic uremic syndrome)の開発を行っており、海外ではロシュ社が鎌状赤血球症(SCD:sickle cell disease)に対して臨床試験を実施しています。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について
 PNHは、PIG-A遺伝子に後天的に変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより、自己補体による血管内溶血を生じる造血幹細胞疾患です3。ヘモグロビン尿、血栓症などPNH特有の溶血に起因する症状と、再生不良性貧血と同様の造血不全症状の二面性を持ちますが、症状は患者さんにより異なります。合併症として、慢性腎臓病、肺高血圧症等を併発する場合があります。日本では指定難病の一つ(指定難病62)に数えられる希少な疾患であり、同疾患の令和4年度末の医療受給者証保持者数は、1,035人でした4

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralisation of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.
  2. Nishimura J et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9.
  3. 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版
  4. 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)衛生行政報告例 / 令和4年度衛生行政報告例 統計表 年度報(2024年5月アクセス)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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