中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年03月26日

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中外製薬創製の「ピアスカイ注340mg」、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、日本で製造販売承認を取得

  • 指定難病の一つである発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する未治療の患者さんまたは他のC5阻害剤から本剤に切り替える患者さんに、4週1回の皮下投与による利便性を提供
  • 未治療のPNHだけでなく、既存のC5阻害剤からの切替えも含む本剤の承認は世界初
  • 当社独自のリサイクリング抗体技術を適用した2つ目の承認された薬剤、当社創製の5つ目のグローバル品
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する国際共同第III相臨床試験であるCOMMODORE 2試験、およびCOMMODORE 1試験等に基づく承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、pH 依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ®注340mg」(一般名:クロバリマブ(遺伝子組換え)点滴静注・皮下注)について、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせいたします。本剤は本年2月、中国において補体阻害剤による治療歴のないPNHの成人および青年患者(12歳以上)さんに対し承認されています。ピアスカイとして、既存のC5阻害剤からの切替えに対する制限、および体重40kg以上の患者さんにおいて年齢に対する制限のない承認は本邦が世界で1カ国目です。現在、米国、欧州および台湾を含む各国においてもPNHに対する新薬として規制当局による審査中です。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「当社創製のピアスカイが指定難病の一つであるPNHの治療薬として本邦で承認され、新たな治療選択肢を提供できることを大変嬉しく思います。ピアスカイは、当社の抗体技術の採用により4週1回、かつ少量での皮下投与が可能です。PNHの治療は長期にわたるため、皮下投与における利便性の向上により患者さんや介護者の負担軽減と生活の質の改善に繋がると考えています。また、年齢に関わらず体重に基づいた投与が可能なため、幅広い患者さんへの治療に貢献できることを期待しています」と語っています。

 今回の承認はC5阻害剤による治療歴のないPNH患者さんを対象としたCOMMODORE 2試験、および既存のC5阻害剤からクロバリマブに切替えたPNH患者さんを対象としたCOMMODORE 1試験等の成績に基づいています。いずれもロシュとの協働による国際共同第III相臨床試験であり、国内からも参加しています。

 ピアスカイは、中外製薬のリサイクリング抗体®技術を用いています。一般的な抗体では、抗原に一回しか結合することができないのに対し、クロバリマブは繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量での補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与を実現しています。リサイクリング抗体技術を適用した治療薬の承認は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders)に対する治療薬であるエンスプリング®に続き2剤目です。

電子化された添付文書情報

販売名:ピアスカイ®注340mg

一般名:クロバリマブ(遺伝子組換え)点滴静注・皮下注

効能又は効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症

用法及び用量:通常、クロバリマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1日目に1回1,000又は1,500mgを点滴静注し、2、8、15及び22日目に1回340mg、29日目以降4週ごとに1回680又は1,020mgを皮下投与する。

【参考情報】
発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、クロバリマブの皮下投与による病勢コントロールと良好な忍容性を示す新たなデータを欧州血液学会で発表(2023年6月12日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230612170001_1305.html

ピアスカイについて
 ピアスカイは、中外製薬が開発したリサイクリング抗体技術を用いた抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、皮下注射による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。クロバリマブは既存薬とは異なる部位でC5に結合することから、アジアで報告されている既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人においてはPNH患者さんの約3.2%)において有効な治療選択肢となり得ます1,2
 2024年2月、中外製薬創製の5つ目のグローバル製品として中国において補体阻害剤による治療歴のないPNHの成人および青年患者(12歳以上)さんに対し承認され、現在、米欧、台湾を含む各国においてもPNHに対する新薬として規制当局による承認審査中です。加えて、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS:atypical hemolytic uremic syndrome)の開発を行っており、海外ではロシュが鎌状赤血球症(SCD:sickle cell disease)、ループス腎炎に対して臨床試験を実施しています。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について
 PNHは、PIG-A遺伝子に後天的に変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより、自己補体による血管内溶血を生じる造血幹細胞疾患です3。ヘモグロビン尿、血栓症などPNH特有の溶血に起因する症状と、再生不良性貧血と同様の造血不全症状の二面性を持ちますが、症状は患者さんにより異なります。合併症として、慢性腎臓病、肺高血圧症等を併発する場合があります。日本では指定難病の一つ(指定難病62)に数えられる希少な疾患であり、同疾患の令和4年度末の医療受給者証保持者数は、1,035人でした4

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralisation of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.
  2. Nishimura J et al. Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab. N Engl J Med. 2014 Feb 13;370(7):632-9.
  3. 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ.発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版.
  4. 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)衛生行政報告例 / 令和4年度衛生行政報告例 統計表 年度報(2024年3月アクセス)

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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