中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2024年03月19日

  • 医薬品
  • 研究開発
  • 和訳リリース

ネモリズマブ、American Academy of Dermatologyにて結節性痒疹に対する長期有効性とアトピー性皮膚炎に対する効果の持続を示すデータを発表

News Summary

本資料は、中外製薬が創製したヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブの海外導出先であるガルデルマ社が3月10日(ツーク発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。

原文は、https://www.galderma.com/news/galderma-aad-2024-new-data-demonstrate-long-term-efficacy-nemolizumab-prurigo-nodularis-andをご覧ください。

 ガルデルマ社は、OLYMPIA 長期継続(long term extension:LTE)試験における結節性痒疹の皮膚病変およびその他の症状に対するネモリズマブの長期的な有効性を示す52週時点の新たなデータを発表しました1。また、アトピー性皮膚炎を対象としたARCADIA 1およびARCADIA 2試験のデータにおいて48週目まで皮膚症状およびかゆみに対する作用が維持されたことが示唆され、ネモリズマブを4週ごと(Q4W)または8週ごと(Q8W)に投与した場合でも同様の有効性であったことが示されました2。これらの最新データは、2024年3月8日~12日に開催された2024年米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology:AAD)年次総会で発表されました。

 OLYMPIAオープンラベルLTE試験では、先の第Ⅱ相試験(NCT03181503)および第Ⅲ相試験(OLYMPIA 1およびOLYMPIA 2試験)でネモリズマブの投与またはプラセボの投与を受けた(ネモリズマブ未治療)、中等症から重症の結節性痒疹患者さんを対象として、ネモリズマブの単剤療法(ステロイド外用薬非併用)の長期有効性および安全性を184週間にわたり評価します1,3,4。本試験は現在実施中の試験です。

OLYMPIA LTE試験の中間解析の結果から、ネモリズマブの投与により皮膚病変およびそう痒が52週目まで持続的に改善することが示されました1

  • ネモリズマブの投与を継続的に受けた患者さんの69%、ネモリズマブ投与歴のない患者さんの65%において、Investigator's Global Assessment(IGA)スコアで皮膚病変の消失また消失に近い状態に到達しました
  • ネモリズマブの投与を継続的に受けた患者さんの89%、ネモリズマブ投与歴のない患者さんの83%がPP-NRS(peak-pruritus numerical rating scale)で4点以上の改善がみられ、そう痒において改善が達成されました

 また、SD-NRS(sleep disturbance numerical rating scale)により評価した睡眠障害と、DLQI(Dermatology Life Quality Index)により評価した生活の質(QOL)も継続して改善が見られました1

 また、本データはネモリズマブの速やかな作用発現も示すものでした。ネモリズマブ投与歴のない患者さんにおいて、PP-NRSで測定したそう痒強度が4週目時点で4点以上改善し、ネモリズマブの投与を継続的に受けた患者さんと結果が同様でした。なお、新たな安全性シグナルは認められませんでした1

 ガルデルマ社はさらに、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の青年および成人患者さんを対象としたネモリズマブ(局所コルチコステロイド療法または局所カルシニューリン阻害薬と併用投与)の2つのピボタル第III相試験(ARCADIA 1およびARCADIA 2)の維持投与データの解析結果も発表しました2,5

 ARCADIA 1およびARCADIA 2試験で16週時に皮膚病変に対する臨床効果が認められた患者さん*のうち、維持期にQ4WまたはQ8Wでネモリズマブの投与を受けていた大部分の患者さんは48週時にも皮膚およびそう痒に対する効果が維持されていました2

  • IGAスコアを用いた評価による皮膚病変の消失または消失に近い状態を維持した患者さんの割合が、4週ごと、8週ごとにネモリズマブの投与を受けた患者さんではそれぞれ62%と60%であったのに対して、プラセボの投与を受けた患者さんでは50%でした
  • EASI(The Eczema Area and Severity Index)-75スコアの維持も、4週ごと、8週ごとにネモリズマブの投与を受けた患者さんではいずれも76%であったのに対して、プラセボの投与を受けた患者さんでは64%でした
  • そう痒反応については、プラセボと比べて、4週ごと、8週ごとにネモリズマブの投与を受けた患者さんの大部分でPP-NRSスコアが週平均4ポイント以上改善された状態が維持されました

*IGAスコアが 「消失」(スコア0)又は 「ほぼ消失」(スコア1)、あるいはEASIスコアの75%以上の改善を達成した参加者

 SD-NRSスケールで測定した睡眠の改善、およびDLQIスケールで測定したQOLも良好な状態が維持されました2。安全性プロファイルは投与群間で同様であり、治験薬と関連のある有害事象の大部分は非重篤で、軽度または中等度でした2

 2024年2月、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、結節性痒疹とアトピー性皮膚炎に対するネモリズマブの承認申請を受理しました。また、結節性痒疹に対しては米国FDAの優先審査指定を受けました。その他の国の規制当局への申請も2024年に予定されています。

結節性痒疹(PN:prurigo nodularis)について

 結節性痒疹は、身体の広い範囲を覆う強いそう痒と厚い皮膚結節の存在を特徴とする、慢性で衰弱性の特徴的な神経免疫性皮膚疾患です6-8。結節性痒疹は、十分に認識されておらず、十分に診断されていない皮膚疾患でもあります7, 9

アトピー性皮膚炎(AD:atopic dermatitis)について

 アトピー性皮膚炎は、持続性のそう痒と再発性の皮膚病変を特徴とする一般的な慢性で猛烈な炎症性皮膚疾患です10, 11。アトピー性皮膚炎の患者さんの数は世界中で2億3000万人を超え、炎症性皮膚疾患のなかで最も多くみられます10

OLYMPIA LTE試験について

 OLYMPIA LTE試験は、中等症から重症の結節性痒疹患者さんにおけるネモリズマブの長期有効性と安全性を評価することを目的とした184週間の非盲検試験です1。先立って行われた第II相および第III相臨床試験に参加した適格患者のうち、ネモリズマブまたはプラセボ(ネモリズマブ未投与)の投与を受けた患者さんが含まれました。本試験は現在実施中です1

ARCADIAプログラムについて

 ARCADIAプログラムは、1,700例を超える患者さんが登録された同一デザインのピボタルな第III相臨床試験であるARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験を含みます12,13。これらのランダム化多施設共同二重盲検プラセボ対照グローバル第III相臨床試験では、ネモリズマブを4週間ごとに皮下投与したときの有効性および安全性を、プラセボ(いずれも基礎治療薬のコルチコステロイド外用薬またはカルシニューリン阻害外用薬と併用)と比較して評価しました12,13。これらの試験は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の青年(12歳以上)および成人患者さんを対象に、16週間の初期投与期と、その後最長48週間の維持投与期に分けて実施されました12,13。ふたつの第III相ARCADIA試験は主要評価項目およびすべての主要な副次的評価項目を達成し、ネモリズマブが中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者のそう痒、皮膚病変および睡眠障害を急速かつ有意に改善することを示しました5

ネモリズマブについて

 ネモリズマブは中外製薬株式会社が創製し、2016年に日本と台湾を除く全世界でガルデルマに導出されました。日本でネモリズマブはアトピー性皮膚炎に伴うそう痒の治療薬として承認されており、結節性痒疹に対して開発中です。*ネモリズマブは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)により、結節性痒疹および中等度から重度のアトピー性皮膚炎の治療薬として現在、承認審査を受けています。現在までにガルデルマ社が本剤の承認を取得した国はありません。

*訳注:ネモリズマブは、2016年9月に国内の皮膚科疾患領域における開発・販売の実施権をマルホ株式会社へ許諾するライセンス契約を締結し、同社により開発・販売されています。

出典:

  1. Kwatra, S, et al. Nemolizumab long-term efficacy and safety up to 52 weeks in the OLYMPIA open-label extension study in patients with prurigo nodularis: an interim analysis. Late-breaking abstract presented at AAD 2024.
  2. Silverberg, J, et al. Maintenance of efficacy and safety with nemolizumab at Week 48: results from two global phase III pivotal studies (ARCADIA 1 and ARCADIA 2) in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis. Late-breaking abstract presented at AAD 2024
  3. Ständer S, et al. Nemolizumab monotherapy improves itch and skin lesions in patients with moderate-to-severe prurigo nodularis: Results from a global phase 3 trial (OLYMPIA 1). Late-breaking abstract presented at EADV 2023.
  4. Kwatra SG, et al. Phase 3 trial of nemolizumab in patients with prurigo nodularis. N Engl J Med. 2023;389:1579-89. DOI: 10.1056/NEJMoa2301333
  5. Silverberg J, et al. Nemolizumab improves skin lesions, itch and sleep disturbance in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: Results from two identical phase 3 multinational studies (ARCADIA 1 and ARCADIA 2). Late-breaking abstract presented at EADV 2023.
  6. Pereira MP, et al. European Academy of Dermatology and Venereology European prurigo project: expert consensus on the definition, classification and terminology of chronic prurigo. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32(7):1059-1065. doi:10.1111/jdv.14570
  7. Huang AH, et al. Prurigo nodularis: epidemiology and clinical features. J Am Acad Dermatol. 2020;83(6):1559-1565. doi:10.1016/j.jaad.2020.04.183
  8. Ständer S, et al. IFSI-guideline on chronic prurigo including prurigo nodularis. Itch. 2020;5(4):e42. doi:10.1097/itx.0000000000000042
  9. Kwatra SG, et al. Patient journey and the burden of systemic comorbidities and sequalae in prurigo nodularis. J Drugs Dermatol. 2023;22(12): 12-14. doi:10.36849/JDD.SF365502
  10. Langan SM, et al. Atopic dermatitis [published correction appears in Lancet. 2020;396(10253):758]. Lancet. 2020;396(10247):345-360. doi:10.1016/S0140-6736(20)31286-1
  11. Ständer S. Atopic dermatitis. N Engl J Med. 2021;384(12):1136-1143. doi:10.1056/NEJMra2023911
  12. ClinicalTrials.Gov. Efficacy & Safety of Nemolizumab in Subjects With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis. Available online: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03989349. Last accessed February 2024
  13. ClinicalTrials.Gov. Efficacy & Safety of Nemolizumab in Subjects With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis. Available online: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03985943. Last accessed February 2024

以上


本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る