中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2023年12月25日

  • 医薬品
  • 研究開発

セリアック病で開発中のマルチスペシフィック抗体DONQ52、非臨床研究成果がNature Communicationsに掲載

  • 中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術を適用したマルチスペシフィック抗体であるDONQ52の非臨床研究成果を、著名な総合科学ジャーナルが採択
  • セリアック病においてグルテンに対する免疫反応を選択的に抑制できる可能性が非臨床研究において示唆
  • 現在、セリアック病を対象に第I相臨床試験を実施中

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社が創製し現在、セリアック病を対象に第I相臨床試験を実施中のマルチスペシフィック抗体DONQ52の非臨床研究の成果が、Nature Communicationsに掲載されたことをお知らせいたします。同誌は、Nature Publishing Groupが出版する著名なオープンアクセスの総合科学ジャーナルで、生物学、物理学、化学および地球科学のあらゆる領域における高品質な研究を出版しています。

“Characterizations of a neutralizing antibody broadly reactive to multiple gluten peptide:HLA-DQ2.5 complexes in the context of celiac disease”
https://doi.org/10.1038/s41467-023-44083-4

 本研究では以下の点が示され、これらの知見により、DONQ52がセリアック病においてグルテンに対する免疫反応を選択的に抑制できる可能性が示唆されました。

  • 異なる配列を持つ複数のグルテンペプチドとHLA-DQ2.5との複合体に対する交差反応性抗体の取得を目指し、ウサギ免疫及び多次元分子エンジニアリングを行い、新たなマルチスペシフィック抗体であるDONQ52を創製したこと
  • in vitroにおいて、DONQ52はセリアック病の主要因となる25種類以上のHLA-DQ2.5/グルテンペプチド複合体を選択的、かつ広範に認識し、代表的な複数のグルテンペプチド依存的なT細胞の活性化を直接かつ広範に中和することが示されたこと
  • 構造解析において、DONQ52はセリアック病の病態に重要な複数のグルテンエピトープが共通して持つ特徴的なアミノ酸モチーフを柔軟に認識することが示されたこと
  • マウスを用いた動物実験において、DONQ52は良好な薬物動態プロファイルを示すことが確認されたこと
  • マウスを用いた動物実験において、DONQ52は全身免疫に影響を与えずに、グルテンに対する免疫を選択的に抑制することが確認されたこと

 中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「当社が開発したマルチスペシフィック抗体DONQ52の基礎研究の成果がNature Communicationsに掲載されたことを大変嬉しく思います。これまで技術的ハードルにより実用化に至っておりませんでしたが、本研究はHLAとT細胞の相互作用を特異的かつ広範に阻害することがセリアック病の治療アプローチとして有用であることを、非臨床研究で初めて示しました」と述べるとともに、「現在実施中の第I相臨床試験で、DONQ52がより良い安全性プロファイルとグルテン特異的な免疫抑制作用を示し、承認された治療薬のないセリアック病の方に貢献できる薬剤となることを大いに期待しています。中外製薬が誇る世界トップレベルの抗体エンジニアリング技術により、従来の抗体医薬品では不可能であったことを可能にする次世代抗体の開発に取り組んでまいります」と語っています。

DONQ52について
 DONQ52は、様々なグルテンペプチドとHLA-DQ2.5との複合体を標的とした自社創製のマルチスペシフィック抗体で、承認された治療薬のない遺伝型の自己免疫疾患であるセリアック病を対象に開発中です。DONQ52がT細胞受容体とHLA-DQ2.5/グルテンペプチド複合体の結合を広範に阻害することで、セリアック病の主要因となるT細胞の活性化を直接中和します。グルテン特異的な阻害により、血中で長い間機能し(皮下投与可)、高い安全性が期待されています。本剤には、中外製薬独⾃の抗体エンジニアリング技術として、より多くのグルテンペプチドへの交差反応性を実現させるとともに、工業生産性を向上させる抗体のバイスペシフィック化技術である「FAST-Ig」技術1の他、薬物動態の改善が期待される「ACT-Fc®」技術2等が適用されています。現在、セリアック病を対象に第I相臨床試験を実施中です。

 上記本文中に記載された名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Hikaru Koga et al. Efficient production of bispecific antibody by FAST-Ig and its application to NXT007 for the treatment of hemophilia A, mAbs, 15:1
  2. Atsuhiko Maeda et al. Identification of human IgG1 variant with enhanced FcRn binding and without increased binding to rheumatoid factor autoantibody, mAbs, 9:5, 844-853

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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