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2023年12月18日

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ロシュ社、カドサイラについて根治的治療で再発リスクの高いHER2陽性早期乳がんにおける全生存期間の有意な改善を発表

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が12月8日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2023-12-08bをご覧ください。

 ロシュ社は12月8日、術前化学療法後に浸潤性疾患が残存するHER2陽性早期乳がん(術後)を対象としたピボタル第III相KATHERINE試験の追跡調査データを発表しました。本解析により、術後補助化学療法としてのカドサイラ®(トラスツズマブ エムタンシン)は、ハーセプチン®(トラスツズマブ)と比較して、全生存期間(副次評価項目)を統計的に有意に改善しました。7年時点での全生存割合は、カドサイラ群で89.07%、ハーセプチン群で84.37%でした(HR=0.66、95% Cl:0.51,0.87、p値=0.0027)1。また、過去に報告された浸潤性疾患のない生存期間(主要評価項目)のベネフィットが経時的に維持されることも示され、カドサイラ群は再発または死亡のリスクをハーセプチンと比較して46%低減し、KATHERINE試験の主要解析結果を補強しました(HR=0.54、95% Cl:0.44,0.66、p値<0.0001)1,2。カドサイラの安全性プロファイルは過去の所見と同様であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした1

 本データは、12月8日(金)に開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム2023で口頭発表されました。

 カドサイラは世界113カ国で承認されており、術前化学療法後に浸潤性疾患が残存するHER2陽性早期乳がん(術後)患者さんの標準治療です。これまでのKATHERINE試験の肯定的な結果において、カドサイラはハーセプチンと比較し再発または死亡リスクの半減が示されています2,3。加えて、3年後に乳がんが再発しなかった患者の割合は、ハーセプチンでは77.0%に対し、カドサイラでは88.3%であり、その差は11.3%でした2

 乳がんは最も頻度が高く診断されるがんであり、社会的影響が大きいがんです4。乳がん患者の約5人に1人がHER2陽性であり、特に悪性度の高い疾患とされています5。早期乳がんの治療目標は、治癒の機会を患者さんに提供することです6。この目標に近づく一方で、多くの患者さんは長期的には再発しており、再発リスクの軽減や生存期間の延長のために、より個別化された治療選択肢が必要です7,8

 また、カドサイラはトラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者さんの治療薬としても承認されています。

KATHERINE試験について
 KATHERINE試験は、ハーセプチンおよびタキサンを含む術前化学療法後に浸潤性病変が残存するHER2陽性早期乳がん患者さん1,486名を対象に、術後補助療法としてのカドサイラの有効性および安全性をハーセプチンと比較して評価する多施設非盲検ランダム化2群比較の国際共同第III相臨床試験です9。KATHERINE試験では、術前化学療法後に乳房および/または腋窩リンパ節から採取した組織検体に浸潤性病変が残存することを残存浸潤性疾患と定義しました9。術前化学療法後に浸潤性病変が残存する患者は、手術時に病変が検出されなかった患者よりも一般に予後が不良であるとされています10

 本試験の主要評価項目は浸潤性疾患のない生存期間であり、本試験では無作為化から、浸潤性乳がんの再発または死因を問わない死亡が認められない期間と定義されました9。副次評価項目には無病生存期間および全生存期間が含まれます9

カドサイラについて
 カドサイラは、強力な化学療法剤をHER2陽性がん細胞に直接送達するように改変された抗体薬物複合体(ADC)です。カドサイラは、HER2を標的とするトラスツズマブ(ハーセプチンの有効成分)と化学療法剤であるDM1の二つの抗がん特性を安定したリンカーにより結合しています11。カドサイラは、「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」および「HER2陽性の乳癌における術後薬物療法」の治療薬として承認されています。

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

【出典】

  1. Loibl S, et al. Phase III study of adjuvant ado-trastuzumab emtansine vs trastuzumab for residual invasive HER2-positive early breast cancer after neoadjuvant chemotherapy and HER2-targeted therapy: KATHERINE final IDFS and updated OS analysis. Presented at: San Antonio Breast Cancer Symposium; 2023 Dec 5-9; San Antonio, Texas, USA. Abstract #GS03-12.
  2. von Minckwitz G, et al. Trastuzumab Emtansine for Residual Invasive HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med. 2019; 380:617-28.
  3. Roche data on file.
  4. Arnold M, et al. Current and future burden of breast cancer: Global statistics for 2020 and 2040. Breast. 2022;66:15-23.
  5. American Cancer Society. Breast cancer HER2 status [Internet; cited November 2023]. Available from: https://www.cancer.org/cancer/types/breast-cancer/understanding-a-breast-cancer-diagnosis/breast-cancer-her2-status.html.
  6. Scharl A, et al. Geburtshilfe Frauenheilkd. 2015;75(7):683–91.
  7. Jorge Dino Cossetti R, et al. Comparison of breast cancer recurrence and outcome patterns between patients treated in 1986-1992 and 2004-2008. Journal of Clinical Oncology. 2014;32(15):521.
  8. Dieci MV, et al. Biomarkers for HER2-positive metastatic breast cancer: Beyond hormone receptors. Cancer Treat Rev. 2020;88:102064.
  9. Clinical trials.gov. A Study of Trastuzumab Emtansine Versus Trastuzumab as Adjuvant Therapy in Patients With HER2-Positive Breast Cancer Who Have Residual Tumor in the Breast or Axillary Lymph Nodes Following Preoperative Therapy (KATHERINE) [Internet; cited November 2023]. Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT01772472.
  10. Cortazar P, et al. Pathological complete response and long-term clinical benefit in breast cancer: the CTNeoBC pooled analysis. Lancet. 2014;384(9938):164-72.
  11. Verma S, et al. Trastuzumab Emtansine for HER2-Positive Advanced Breast Cancer. N Engl J Med. 2012;367(19):1783-91.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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