• 中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術を適用したバイスペシフィック抗体であるNXT007の非臨床研究の成果を、著名な血栓止血学のジャーナルが採択
• NXT007によって、血友病Aの方において、血友病Aではない方と同等の血液凝固能を維持できるポテンシャルが非臨床研究において示唆された
• NXT007は現在、血友病Aを対象に第I/II相臨床試験を実施中

　中外製薬株式会社（本社：東京、代表取締役社長 CEO：奥田 修）は、当社が創製し現在、血友病Aを対象に第I/II相臨床試験を実施中のNXT007の非臨床研究の成果が、Journal of Thrombosis and Haemostasis電子版に掲載されたことをお知らせいたします。同誌は、国際血栓止血学会（ISTH）が発行する科学誌で、血栓止血学における画期的な非臨床及び臨床研究を報告する著名なジャーナルに位置付けられています。

“A bispecific antibody NXT007 exerts a hemostatic activity in hemophilia A monkeys enough to keep a non-hemophiliac state”
（https://doi.org/10.1016/j.jtha.2023.09.034）

　本研究では以下の点が示され、これらの知見により、NXT007によって血友病Aの方も血友病ではない方と同等の血液凝固能を維持できるポテンシャルが示唆されました。

• 血液凝固第VIII因子活性の増強を目指し、血友病A治療薬ヘムライブラ^®のアミノ酸配列を基に分子エンジニアリングを行い、新たなバイスペシフィック抗体であるNXT007を創製したこと
• in vitroにおいてNXT007は、血友病Aの方の血漿中で血液凝固第VIII因子100 IU/dL^*に相当するトロンビン生成活性を示したこと
  • *100 IU/dLは血友病でない方と同等の活性
• in vivoにおいて、NXT007による用量依存的な止血活性が示されたこと
• in vivoにおいて、NXT007の良好なPKプロファイルが確認されたこと

NXT007について
　NXT007は、血友病でない方と同等の⾎液凝固能と簡便な投与を⽬指して開発している自社創製のバイスペシフィック抗体です。活性型第IX因子と第X因子に結合し、活性型第IX因子による第X因子の活性化反応を促進することで、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替するよう設計されています。本剤には、中外製薬独⾃の抗体エンジニアリング技術として、バイスペシフィック抗体の⼯業⽣産性を向上させる「FAST-Ig^™」技術¹が初めて適用されたほか、PKプロファイルの改善が期待される「ACT-Fc^®」技術²が適⽤されています。現在、血友病Aを対象に第I/II相臨床試験を実施中であり、2022年8月にはロシュが導入を決定しました。

　上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典：

1. Hikaru Koga et al. Efficient production of bispecific antibody by FAST-Ig^™ and its application to NXT007 for the treatment of hemophilia A, mAbs, 15:1
2. Atsuhiko Maeda et al. Identification of human IgG1 variant with enhanced FcRn binding and without increased binding to rheumatoid factor autoantibody, mAbs, 9:5, 844-853

以上