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2023年10月20日

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ネモリズマブ、EADV2023においてアトピー性皮膚炎および結節性痒疹に対する第III相臨床試験で有効性と速やかな効果発現を示す

News Summary

本資料は、中外製薬が創製したヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブの海外導出先であるガルデルマ社が10月11日(ツーク発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。

原文は、https://www.galderma.com/news/galderma-eadv-2023-phase-iii-trials-demonstrate-nemolizumabs-efficacy-and-rapid-onset-actionをご覧ください。

 中外製薬株式会社が、ネモリズマブの開発・販売の独占的実施権を導出しているガルデルマ社が、10月11日、アトピー性皮膚炎および結節性痒疹を対象とした3つのピボタルの第III相臨床試験(ARCADIA 1試験、ARCADIA 2試験、OLYMPIA 1試験)の良好な結果を公表しましたので、お知らせします。

 ガルデルマ社は、ベルリンで開催されたEADV2023(European Academy of Dermatology and Venereology)学術会議において、最新データを発表しました。ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験において、2つの主要評価項目およびすべての主要な副次評価項目を達成し、ネモリズマブがアトピー性皮膚炎患者さんの皮膚病変およびそう痒(かゆみ)を有意(p<0.0001)に減少させ、そう痒改善に関して1週目という早期に臨床的に意味のある結果が示されました1

 ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験の結果からネモリズマブは中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する青年期および成人患者を対象として、プラセボと比較して有意に改善することが示されました(いずれも基礎治療としてコルチコステロイド外用薬またはカルシニューリン阻害外用薬と併用)。両試験において、ネモリズマブを投与した青年期および成人患者では、投与16週時点でプラセボと比較し、2つの主要評価項目のいずれも統計学的に有意な改善が認められました1

  • 治験担当医師によるIGA(Investigator’s Global Assessment)スコアを用いて評価したところ、皮膚病変の消失又はほぼ消失が達成された患者の割合は、ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験のネモリズマブ群ではそれぞれ35.6%および37.7%であるのに対し、プラセボ群では24.6%および26.0%でした(p<0.0006、p=0.001)。
  • EASI(Eczema Area and Severity Index)で75%低下を達成した患者の割合は、ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験のネモリズマブ群ではそれぞれ43.5%および42.1%であるのに対し、プラセボ群ではそれぞれ29.0%および30.2%でした(p<0.0001、p=0.0011)。

 ARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験において、いずれの試験もすべての主要な副次評価項目を達成し、ネモリズマブ群の48.6%および48.1%が、治療16週以内にPP-NRS(Peak Pruritus Numerical Rating Scale)スコアで測定したそう痒を4ポイント以上軽減したのに対し、プラセボ群ではそれぞれ20.5%および20.6%でした(p<0.0001)。16週以前の時点においても統計的に有意な結果が得られており、そう痒およびかゆみによる睡眠障害に対するネモリズマブの効果は速やかに発現することが示されました。ネモリズマブの忍容性は良好であり、安全性プロファイルはARCADIA 1試験およびARCADIA 2試験で一致していました1

 第III相臨床試験のOLYMPIA 1試験では、中等度から重度の成人結節性痒疹患者にネモリズマブを単剤投与したところ、そう痒および皮膚病変がプラセボに比べて有意に改善したことが示されました。ネモリズマブ単剤療法を受けた患者(基礎治療としてコルチコステロイド外用薬又はカルシニューリン阻害外用薬を使用しない)では、投与16週後にプラセボと比較し2つの主要評価項目に臨床的かつ統計学的に有意な改善が認められ、第III相臨床試験のOLYMPIA 2試験の結果とは独立に、確認されました2

  • PP-NRSスコアが4ポイント以上減少した患者の割合は、ネモリズマブ群では58.4%であるのに対し、プラセボ群では16.7%でした(p<0.0001)。
  • IGAスコアで評価したところ、皮膚病変の消失またはほぼ消失が認められた患者の割合は、ネモリズマブ群では26.3%であるのに対し、プラセボ群では7.3%でした(p<0.0001)。

 本試験では、そう痒に対する作用が4週目の早い時期に速やかに発現することを確認するすべての重要な副次評価項目も達成され(プラセボ群の6.3%と比較し41.1%p0.0001)、そう痒および皮膚病変の改善が24週目まで認められました。ネモリズマブの忍容性は良好であり、安全性プロファイルはOLYMPIA 2試験の結果と一致していました2

 ネモリズマブは、IL-31受容体を標的とし、IL-31シグナル伝達を阻害するよう特異的に設計されたモノクローナル抗体です。IL-31は、アトピー性皮膚炎および結節性痒疹の双方における複数の疾患機序において重要な役割を果たしています3-8。これには、睡眠障害を引き起こし、生活の質に悪影響を及ぼすかゆみの原因に対する直接的な作用が含まれます5-13。第III相臨床試験のARCADIAおよびOLYMPIAの結果は、世界中の保健当局に提出される予定です。また、結節性痒疹に伴うかゆみに対して、201912月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyの指定を受けています。

アトピー性皮膚炎(AD:atopic dermatitis)について

 アトピー性皮膚炎は、よく見られる慢性湿疹であり、しつこい猛烈なかゆみ(そう痒)や、皮膚病変および頻回な皮膚感染を特徴とし、世界中で2億3000万人が罹患しているとされています3,14。アトピー性皮膚炎の有病率は、地域や年齢により人口の1~25%と大きく異なることが報告されています10,12,13

結節性痒疹(PN:prurigo nodularis)について

 結節性痒疹は、身体の広い範囲を覆う厚い皮膚結節を特徴とし、強い痒みをともなう慢性的な皮膚疾患です4,15,16。PNは、米国では18〜64歳の成人10万人あたり推定72人で、中年女性およびアフリカ系の人々でより高い有病率を示します4,17

ネモリズマブについて

 ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎および結節性痒疹の治療薬として、世界各国で臨床開発が進められています。中外製薬株式会社が創製し、2016年に開発・販売の独占的実施権を、日本と台湾を除く全世界についてガルデルマに、日本についてマルホ株式会社に導出しました。

ARCADIA試験について

 ARCADIAプログラムでは、1,500例を超える患者を登録した同一デザインのピボタル試験である第III相臨床試験2試験(ARCADIA 1およびARCADIA 2)が含まれています。これらの試験において、中等度から重症のアトピー性皮膚炎を有する青年期および成人患者を対象に、ネモリズマブを4週間ごとに皮下投与した際の有効性および安全性をプラセボと比較して評価しました。16週間の初期治療期間後に評価しています。レスポンダー群ではその後最長32週間の維持投与期間に移行しました。16週時点で臨床的な反応のない患者は、長期継続投与試験に参加することとしていました。

OLYMPIA 1試験について

 OLYMPIA 1試験は、18歳以上のPN患者を対象に16週投与し、プラセボに対するネモリズマブ単剤療法の有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験です。プラセボに対し、ネモリズマブの薬物動態および免疫原性も評価しています。本試験には中等度から重度のPN患者286名が参加しています。

出典:

  1. Silverberg J, et al. Nemolizumab improves skin lesions, itch and sleep disturbance in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: Results from two identical phase 3 multinational studies (ARCADIA 1 and ARCADIA 2). Late-breaking abstract presented at EADV 2023.
  2. Stander S, et al. Nemolizumab monotherapy improves itch and skin lesions in patients with moderate-to-severe prurigo nodularis: Results from a global phase 3 trial (OLYMPIA 1). Late-breaking abstract presented at EADV 2023.
  3. Langan SM, et al. Atopic dermatitis [published correction appears in Lancet. 2020;396(10253):758] Lancet. 2020;396(10247):345-360. doi:10.1016/S0140-6736(20)31286-1.
  4. Williams KA, et al. Pathophysiology, diagnosis, and pharmacological treatment of prurigo nodularis. Expert Rev Clin Pharmacol. 2021;14(1):67-77. doi:10.1080/17512433.2021.1852080.
  5. Nemmer JM, et al. Interleukin-31 signaling bridges the gap between immune cells, the nervous system and epithelial tissues. Front Med (Lausanne). 2021;8:639097. doi:10.3389/fmed.2021.639097.
  6. Wang F, Kim BS. Itch: a paradigm of neuroimmune crosstalk. Immunity. 2020;52(5):753-766. doi:10.1016/j.immuni.2020.04.008.
  7. Zhang Q, et al. Structures and biological functions of IL-31 and IL-31 receptors. Cytokine Growth Factor Rev. 2008;19(5-6):347-356. doi:10.1016/j.cytogfr.2008.08.003.
  8. Tsoi LC, et al. Transcriptomic characterization of prurigo nodularis and the therapeutic response to nemolizumab. J Allergy Clin Immunol. 2021;S0091-6749(21)01557-8. doi:10.1016/j.jaci.2021.10.004.
  9. Pereira MP, et al. Chronic nodular prurigo: clinical profile and burden. A European cross-sectional study. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020;34(10):2373-2383. doi:10.1111/jdv.16309.
  10. Silverberg JI, et al. Patient burden and quality of life in atopic dermatitis in US adults: a population-based cross-sectional study. Ann Allergy Asthma Immunol. 2018;121(3):340-347. doi:10.1016/j.anai.2018.07.006.
  11. Gwillim EC, Nattkemper L, Yosipovitch G. Impact of Itch on Sleep Disturbance in Patients with Prurigo Nodularis. Acta Derm Venereol. 2021;101(3):adv00424. doi:10.2340/00015555-3778. PMID: 33704503.
  12. Urban K, et al. The global, regional, and national burden of atopic dermatitis in 195 countries and territories: An ecological study from the Global Burden of Disease Study 2017. JAAD Int. 2021;2:12-18. doi:10.1016/j.jdin.2020.10.002.
  13. Silverberg JI. Comorbidities and the impact of atopic dermatitis. Ann Allergy Asthma Immunol. 2019;123(2):144-151. doi:10.1016/j.anai.2019.04.020.
  14. Ständer S. Atopic dermatitis. N Engl J Med. 2021;384(12):1136-1143. doi:10.1056/NEJMra2023911.
  15. Elmariah S, et al. Practical approaches for diagnosis and management of prurigo nodularis: United States expert panel consensus. J Am Acad Dermatol. 2021;84(3):747-760. doi:10.1016/j.jaad.2020.07.025.
  16. Whang KA, et al. Prevalence of prurigo nodularis in the United States. J Allergy Clin Immunol Pract. 2020;8(9):3240-3241. doi:10.1016/j.jaip.2020.05.051.
  17. Huang AH, et al. Real-world prevalence of prurigo nodularis and burden of associated diseases. J Invest Dermatol. 2020;140(2):480-483.e4. doi:10.1016/j.jid.2019.07.697.

以上


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