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2023年09月01日

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アレセンサ、ALK陽性の早期肺がんを対象とした第III相臨床試験において良好な結果を示す

  • ALINA試験において、進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し長期に亘る治療実績を有するアレセンサがALK陽性早期NSCLC患者さんの再発を減少させることが示された
  • NSCLCは、術後補助化学療法が実施される場合があるものの、患者さんの約半数が手術後に再発するため、治癒の可能性をもたらす新たな術後補助療法が早急に必要とされている
  • 本データは世界各国の規制当局への提出と学会での発表を予定

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ®[一般名:アレクチニブ塩酸塩]とプラチナ製剤ベースの化学療法を比較した第III相ALINA試験において、予め規定された中間解析で主要評価項目である無病生存期間(DFS)の延長を達成したことをお知らせいたします。IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を完全切除した患者さんにおいて、アレセンサは術後補助療法としてDFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。アレセンサは、第III相臨床試験においてALK陽性早期NSCLCを対象に再発または死亡のリスクを低下させた初のALK阻害剤です。

 全生存期間(OS)は今回の解析時点では未成熟でした。また、予期せぬ安全性の所見は認められませんでした。ALINA試験の結果は、今後開催される医学学会で発表されるとともに、日米欧を含む世界各国の規制当局へ提出される予定です。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「ALK陽性進行NSCLCの一次治療薬として広く使われているアレセンサが、早期NSCLC患者さんにおいて再発または死亡リスクの低下を示したことを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「早期NSCLCにおいて治癒の可能性をより多くの患者さんにもたらすために、再発を防ぐことが重要です。しかしながら、現在、NSCLCの術後補助療法として承認されたALK阻害剤はありません。本剤を必要とされる患者さんにいち早くお役立ていただけるよう、本データの日本および世界各国の当局への提出に向けてロシュと協働してまいります」と語っています。

 現状、早期NSCLC患者さんの約半数(疾患のステージにより45-76%)は、術後補助化学療法の選択肢があるにもかかわらず、手術後に再発を経験します1。免疫療法を含む近年の治療技術の革新により、一部の早期NSCLC患者さんの予後は改善していますが、早期のALK陽性NSCLCに対し承認されているALK阻害剤はありません2。NSCLC患者さんの約5%はALK陽性であり3、喫煙歴が軽度または喫煙歴のない若年者(55歳以下)に多く認められます4, 5。National Comprehensive Cancer Network®が発行する NCCNガイドラインでは、進行NSCLCに加え、IB~IIIA期およびIIIB期のNSCLC患者さんにおいても、切除した組織または生検検体を用いたALK融合遺伝子のバイオマーカー検査を実施することを推奨しています。

ALINA試験について
 ALINA試験(NCT03456076)は、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性非小細胞肺がんを完全切除した患者さんを対象として、術後補助療法としてアレセンサとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性および安全性を比較する第III相、ランダム化、実薬対照、多施設共同、非盲検臨床試験です。本試験には、両群のいずれかにランダム化された257例が登録されました。主要評価項目は無病生存期間(DFS)です。副次評価項目は、全生存期間(OS)、有害事象の発現状況などです。

アレセンサについて
 アレセンサは中外製薬の鎌倉研究所で創製された、ALK陽性の非小細胞肺がん患者さんを対象とする、選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。同剤は現在、日本、米国、欧州、中国を含む世界100カ国以上でALK陽性の転移性非小細胞肺がんに対する一次治療薬として承認されています。

肺がんについて
 肺がんは世界におけるがんによる主要な死因の一つです6。肺がんによる死亡者数は毎年180万人であり、世界中で毎日4,900人以上が死亡していることになります6。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)の二つに大別されます。NSCLCは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占めます7。早期肺がん患者さんの約半数(疾患のステージにより45-76%)が、術後補助化学療法の選択肢があるにもかかわらず、手術後に再発を経験します1。再発前に早期に肺がんを治療することで、再発を予防し、治癒につながる治療機会となる可能性があります。

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Yano T, et al. Therapeutic strategy for postoperative recurrence in patients with non-small cell lung cancer. World J Clin Oncol. 2014;5(5):1048-1054.
  2. Chen M F, et al. Early-stage anaplastic lymphoma kinase (ALK)-positive lung cancer: a narrative review.  Transl Lung Cancer Res. 2023;12(2):337-345.
  3. Chia P L, et al. Prevalence and natural history of ALK positive non-small-cell lung cancer and the clinical impact of targeted therapy with ALK inhibitors. Clin Epidemiol. 2014;20(6):423–432.
  4. Lung Cancer Foundation of America: What is ALK positive lung cancer? And what are the options for treatment? [Internet; cited 2023 August]. Available from: https://lcfamerica.org/lung-cancer-info/types-lung-cancer/alk-positive-lung-cancer/.
  5. Arbour K C, et al. Diagnosis and Treatment of ALK Positive NSCLC. Hematol Oncol Clin North Am. 2017;31(1):101-111
  6. Thandra K C, et al. Epidemiology of lung cancer. Contemp Oncol. 2021;21(1):45-52.
  7. American Cancer Society: What Is Lung Cancer? [Internet; cited 2023 August] Available from: https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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