中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2023年06月26日

  • 医薬品
  • 研究開発

ヘムライブラの後天性血友病Aに対する国内第III相臨床試験(AGEHA試験)の新たなデータを国際血栓止血学会で発表

  • ヘムライブラの、免疫抑制療法実施中の後天性血友病A患者さんに対する使用の長期フォローアップ、および免疫抑制療法が適用できない患者さんでの使用に関する新たなデータを発表

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体 血液凝固第VIII因子機能代替製剤へムライブラ®[一般名:エミシズマブ(遺伝子組換え)]について、免疫抑制療法不適格例を含む後天性血友病Aを対象に実施した国内第III相臨床試験(AGEHA試験)の最終解析結果が、カナダ・モントリオールで開催中の第31回国際血栓止血学会(ISTH:International Society on Thrombosis and Haemostasis)において、6月24日(現地時間)に発表されたことをお知らせいたします。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「後天性血友病Aは、指定難病の自己免疫疾患として、出血コントロールが可能な治療オプションが長らく限られていました。今回新たに発表したヘムライブラのデータは、長期投与時の出血コントロールの持続と、標準治療である免疫抑制療法が使用できない患者さんに対する出血リスクの低減を示唆しました。出血を有効にコントロールできる治療オプションとして患者さん、介護者の方々、医療関係者に本剤によるベネフィットを提供できるよう、引き続きヘムライブラのデータ構築と適正使用を推進してまいります」と語っています。

 AGEHA試験は、後天性血友病Aを対象にヘムライブラを皮下投与した際の安全性、有効性、薬物動態および薬力学を検討する、二つのコホートからなる多施設共同単群国内第III相臨床試験です。コホート1には登録時点で免疫抑制療法を開始予定又は実施中の後天性血友病Aの成人12例、コホート2には登録時点で免疫抑制療法不適格と判定された後天性血友病Aの成人2例が登録されました。参加者は1日目に6mg/kg(体重)、2日目に3mg/kg(体重)を皮下投与、8日目から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与されました。本試験では、ヘムライブラの投与終了基準が設定されました。第VIII因子活性が50IU/dL超であることが確認され、かつ直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与から72時間超が経過していた場合、本剤の投与を終了することとされました。

 今回の最終解析において、コホート1の12例中9例(75%)およびコホート2の2例(100%)で、ヘムライブラ投与期間中に治療を要した出血の発現は認められませんでした。各コホートの年間出血率は以下の通りでした。

【AGEHA試験 年間出血率】

有効性
評価期間
コホート1*コホート2**
ヘムライブラ
投与前
ヘムライブラ
投与後
ヘムライブラ
投与前
ヘムライブラ
投与後
治療を要した
出血(回/年)
35.6
(24.91-49.42)
3.2
(0.71-9.08)
17.0
(9.88-27.18)
0.0
(NA-3.69)
大出血
(回/年)
66.4
(51.41-84.44)
0.0
(NA-3.69)
15.9
(9.06-25.83)
0.0
(NA-3.69)
全出血
(回/年)
77.0
(60.80-96.27)
5.3
(1.77-12.04)
26.0
(16.98-38.09)
3.7
(0.92-9.75)
  • *評価期間中央値:へムライブラ投与前68.0日(範囲:17-168日)、投与後44.5日(範囲:8-639日)
  • **評価期間中央値:へムライブラ投与前95.5日(範囲:23-168日)、投与後257日(範囲:64-450日)

 ヘムライブラに関連する有害事象は、コホート1で12例中3例(25%)、コホート2で2例中全例(100%)に認められ、重篤な副作用としてバセドウ病が1例で確認されました。そのうち主要解析時点において認められたコホート1の1例における無症候性の深部静脈血栓症の他に、血栓塞栓症、血栓性微小血管症は認められませんでした。なお、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

【参考情報】

ヘムライブラについて
 ヘムライブラは、当社独自の抗体エンジニアリング技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体です。本剤は活性型第IX因子と第X因子に結合し、活性型第IX因子による第X因子の活性化反応を促進することで、血友病Aで欠損または機能異常を来している第VIII因子の補因子機能を代替します1,2。本剤は、2017年11月に米国食品医薬品局(FDA)より血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する成人および小児の血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏症)における予防投与療法に対し世界で初めて承認されました。現在、インヒビター保有・非保有の先天性血友病Aに対して、あわせて世界110カ国以上で承認されています。本邦では、インヒビター保有の先天性血友病Aに対して2018年3月に承認され、その後、インヒビター非保有の先天性血友病A、後天性血友病Aに対しても適応が拡大されています。

後天性血友病Aについて
 後天性血友病Aは後天的に血液凝固第VIII因子に対する阻害物質(インヒビター)が出現し、その結果、第VIII因子活性が著しく低下して、突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状を呈する疾患であり、重篤な出血もまれではありません。その本態は膠原病や悪性腫瘍、分娩などを背景に第VIII因子に対する自己抗体が産生される自己免疫疾患です3,4。後天性血友病Aは、国の指定難病である自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(指定難病288)の一つに含まれます。治療はインヒビターを消失させるための免疫抑制療法と、出血症状を改善させるための治療があります。

 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Kitazawa, et al. Nature Medicine 2012; 18(10): 1570
  2. Sampei, et al. PLoS ONE 2013; 8(2): e57479
  3. Franchini M, Veneri D. Acquired coagulation inhibitor-associated bleeding disorders: an update. Hematology 2005;10:443-9.
  4. Cohen AJ, Kessler CM. Acquired inhibitors. Baillieres Clin Haematol 1996;9:331-54.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
  • 投資家の皆様
  • インベスターリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0554
  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る