中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2022年12月20日

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クロバリマブ、生命にかかわりうる血液疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症に対し、4週ごとの皮下投与により疾患コントロールを達成

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が12月11日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。

原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2022-12-11をご覧ください。

 ロシュ社は12月11日、中国で実施された第III相COMMODORE 3試験の肯定的な新データを発表しました。本データによって、新規抗補体C5リサイクリングモノクローナル抗体クロバリマブの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)に対する有効性および良好な忍容性が示されました。有効性に関し設定された二つの主要評価項目である輸血回避(TA:transfusion avoidance)および溶血コントロールはいずれも達成され、補体阻害剤による治療歴がなく、4週ごとにクロバリマブの皮下投与を受けたPNH患者の疾患コントロールが示されました1。本データは、2022年12月10-13日に開催された米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)総会で発表されました。

 COMMODORE 3試験には、主要試験期間中にクロバリマブを4週ごとに皮下投与したPNH患者51例のデータが含まれています。試験結果により、疾患コントロールの指標である溶血コントロールおよびTAの二つの有効性に関する主要評価項目が達成されました。投与期間第5週から第25週までに溶血がコントロールされていた被験者の平均割合は78.7%(95% CI:67.8%、 86.6%)でした1。スクリーニング前24週間以内にTAを達成した被験者の割合(0.0%)とベースラインから25週までにTAを達成した被験者の割合(51.0%)の差は統計学的に有意でした(p<0.0001)1。TAは、治験実施計画書に規定されたガイドラインに従って輸血が不要となった患者と定義されています。輸血の必要性は、PNHにおける補体調節異常に起因する溶血の重要な臨床的指標です2,3

 また、溶血のコントロールが失われたことを示す指標となるブレイクスルー溶血について、ベースラインから25週目までに発生が認められた被験者の割合は3.9%(95% CI:0.7%、 14.6%)であり、ヘモグロビン安定化を達成した被験者の割合は51%(95% CI:36.8%、 65.1%)でした1。FACIT-Fatigue Scaleでの評価により、クロバリマブ投与後2週間以内に疲労状態の急速かつ臨床的に意義のある改善が報告され、経時的に持続しました1。安全性データ全般は、抗補体C5抗体および原疾患の既知の安全性プロファイルと同様であり、クロバリマブによる新たな安全性シグナルは特定されず忍容性は良好でした1

【参考情報】
 抗補体C5リサイクリング抗体クロバリマブ、発作性夜間ヘモグロビン尿症を対象に、中国当局が優先審査指定(2022年8月10日プレスリリース) 
 https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220810160000_1245.html?year=2022&category=

COMMODORE3(YO42311)試験について
 COMMODORE 3試験は、補体阻害剤による治療歴のない患者を対象として、クロバリマブの有効性、安全性、薬物動態および薬力学を評価する中国での第III相単群試験です4。本試験は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)患者51例を対象とし、クロバリマブを4週ごとに24週間皮下投与しました。本試験に登録された被験者には、負荷投与として1日目に静脈内投与を行い、その後、1週目の2日目、2週目、3週目および4週目と4週間にわたりクロバリマブを週1回皮下投与しました。維持用量のための皮下投与は5週目に開始し、その後は24週間まで4週ごとに投与を継続しました。クロバリマブ投与24週間後、本剤によるベネフィットが得られた被験者は、引き続きクロバリマブの投与を受けることができます。

【参考:クロバリマブについて】
 クロバリマブは、中外製薬が開発したリサイクリング抗体技術を用いた抗補体C5リサイクリング抗体です。リサイクリング抗体は、抗原結合部位にpH依存性を持たせることで、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合し、一般的な抗体に比べて長時間にわたり効果を発揮するようデザインされています。本剤は、補体系で重要な役割を担うC5を標的にすることで補体の活性化を制御するとともに、皮下注射による治療で患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。クロバリマブは既存薬とは異なる部位で補体C5に結合することから、既存の抗体医薬品が結合しない特定のC5遺伝子変異を有する患者さん(日本人PNH患者さんの約3.5%)において有効な治療選択肢となり得ます5
 現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)に対し、抗補体C5抗体による治療から切り替えた患者さんを対象としたCOMMODORE 1試験、未治療の患者さんを対象としたCOMMODORE 2試験の2本の国際共同第III相臨床試験を実施しており、2023年に両試験のデータが得られる見込みです。このほか、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS:atypical hemolytic uremic syndrome)、鎌状赤血球症(SCD:sickle cell disease)に対して臨床試験を実施しています。加えて、ループス腎炎に対する海外臨床試験の開始に向けて準備中です。

出典:

  1. Liu H, et al. Results From the First Phase 3 Crovalimab (C5-Inhibitor) Study (COMMODORE 3): Efficacy and Safety in Complement Inhibitor-Naive Patients with Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria (PNH). Presentation at: ASH Annual Meeting and Exposition; 2022 Dec 10-13 Abstract #293.
  2. Brodsky RA. How I treat paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood 2009; 113 (26): 6522–6527.
  3. Olutogun T, et al. Complement-mediated haemolysis and the role of blood transfusion in paroxysmal nocturnal haemoglobinuria. Blood Transfus. 2015 Jul;13(3):363-9.
  4. COMMODORE 3 (NCT04654468). [Internet; cited December 2022] Available at: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04654468
  5. Fukuzawa T, et al. Long lasting neutralization of C5 by SKY59, a novel recycling antibody, is a potential therapy for complement-mediated diseases. 2017; Sci Rep 7, 1080.

    以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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